EX6 ハンバーガー転生2
そんな平和な日々を過ごしていると。
「バーガーさまはおられるかー!」
朝っぱらから外から元気な声が聞こえてくる。隣で寝ていたアイナが起きようとするも、俺がぷるぷると震えて止める。
「俺が行ってくるよ」
「……ありがとうございます……むにゃむにゃ」
昔ならついてきただろうけど、今のアイナからは以前にも増して強い信頼を感じる。俺の夫としての尊厳を優先してくれているのだろう。
俺はベッドから飛び降りて鏡を見る、うむ美味しそうだ。そしてベビーベッドで眠っているマイリトルエンジェルを見る。うん食べちゃいたいくらい可愛い寝顔だ。
部屋から出て階段の手すりを使い滑り降りる、ひんやりとした朝の空気が俺のバンズを引き締める。颯爽とドアノブに乗って玄関の扉を開く。
「こんな朝早くからなんなのぉ、新聞はとってませんよぉ?」
そう言いながら尋ねてきた人を見る、そこには聖騎士の鎧に身を包んだ少女がいた。一番最初に浮かんだ人物がヒマリだが、ヒマリよりは歳上っぽいな。
「えっと、どちらさまで?」
「お初にお目にかかりまする!」
大袈裟な動きだ。
「いや、もっと普通にしてくれていいよ?」
「そう?」
あんたの態度は100か0しかないのかい!
「まぁいいか、それでどなたですか?」
「私は聖騎士大隊長、アリサ・ミジシッピです!」
ビシッと敬礼する。
「大隊長って、十大大隊長の?」
「はい!そうであります!」
「普通で」
「ま、そっすね。ちょっとあがってい?」
「えー、まぁ立ち話もなんだしいいか、あ、妻と子がまだ寝てるから普通のほうでね」
「はーい」
家にあげる。ちょこっと観察しただけでも確かに立ち振る舞いは大したものだ、細身だが魔力を多分に含んでいるのだろう、いい筋肉をしている。
「そうやって視姦するのは如何なものかと」
「変な誤解されちゃうからやめてね!?」
「うそうそ、私が若いから疑ってる感じだよね」
席に座るよう促すと、ガチャりと鎧を着たまま綺麗な姿勢で座る。
「そうだなぁ、俺の知ってる大隊長はみんな大人だしね」
「私も大人なんですけど」
「え、そうなん?」
「ちょっと幼く見えるけどね」
「エルフ?」
「ヒューマンすよ、それで訪れた理由だけど」
「はい」
話を脱線させてしまうのは俺の悪い癖だな。
「お子さんも出来たってことで大隊長クラスが護衛につくことになったよ」
「けっこーです」
「では帰ります……って、おい!」
ちゃんと玄関先まで行って戻ってくる。ちょっとノリが古い、確かに見た目より歳いってるな。
「つぎ見た目より歳いってんなーとか思ったら鞭で叩くからね」
「エスパーかよ!」
「聖騎士大隊長の経験則です!」