EX5 魔王と勇者2
「にゃはははは!!」
馬車を運転するエリノアは高らかに笑う。
「まさかミーの馬車に2人を乗せることににゃるとはにゃあ」
「別に乗せてくれなくてもよかったのだぞ」
「もう!ネスは素直じゃないの! お礼を言うの!」
「いいよいいよ、旅は情け人は心だよ」
「受け取れ運賃だ、金貨を支払おう、いや情けなら要らぬか」
「それはそれで受け取るよ」
しっかりと受け取る。小袋の確認はしない。
「それで聞くが、帝王となったお前が何故自ら手網を握っているのだ」
「んー、あー、プライベートだからだよ」
「護衛も付けずにか?腕利きの騎士がいると聞いたが」
「結構知ってるんだにゃ」
「ネスは軍事系には耳聰いの!」
「ファングは帝国に置いとかにゃいと色々あるからにゃあ、ミーの姉妹たちを抑えられるのは、今のところミーとファングだけだからにゃ」
「建国したてはそうだ、だが王がしっかりしていれば民はついてくる」
「元魔王が言うと重みがあるにゃ」
「あと説教臭いの!」
「……忠告だ、我も失敗したからな」
「あれは失敗と言うよりもミーの親父が一枚上手だっただけだよ、気を落とすことにゃいよ」
「ふ、言ってくれるな」
「にゃはは、ミーも、もう一国の主だからにゃ」
「それでプライベートでこの街に来た理由はなんだ? 観光スポットなのか?」
「そういうことには疎いのにゃ……。世界を救った勇者が生まれ育ち、今もいる街というだけで、世界で一番の観光スポットににゃるに決まってるでしょ」
「むぅ、そうか、言われてみれば」
「だから栄えたの!」
「んにゃ、ただ王国から一番遠いから転移魔法陣が必須だけどにゃ」
「兄の魔法を人が使う日が来るとはな、ではお主は観光で来たのだな?」
「まぁ、それもあるけど、違うよ、あ、スーには関係あるよ」
「え?」
「勇者パーティで同窓会を開くんだよ」
「ええええ! なんで教えてくれなかったの!?」
「いや、探そうにも龍の里にゃんて誰も知らにゃいし、もう死ぬまで会わにゃいと思っていたから」
「ひどいの! 探す素振りくらいするの! 連絡手段を考えるの!」
「まーまー、にゃんかいい感じにいたから許してよ。2人とも行くってことでいいよね?」
「もちろんなの!」
「……我は、よしておこう」
「どうして?」
「勇者パーティが集まる場に我が現れればどうなるか、わかるだろう」
「にゃはは! 気にしすぎだよ! バーガーがそんにゃ事でハブるわけにゃいでしょ!」
「そ、そうか?」
「そうなの! そもそも僕たちはバーガーたちに会うのが目的で来たからちょうどいいの!」
バーガーのみならまだいいが勇者パーティが勢揃いするのか。ふむ、これは心の準備がいるな。
「パーティまで時間はあるか?」
「夜からだから、まだあるよ」
「ならば我らはここで降りよう」
「え、金貨もらったしバーガーの家まで連れてくよ」
「いやいい、ここからは歩いていく、バーガーが守り、栄えさせた街を踏みしめたいのだ」
「そっ、にゃらいいけど、ミーは荷降ろししにゃきゃだから行くけど、これこの街のマップ、迷子ににゃらにゃいようににゃ」
「うん、エリノア、ありがとうなの!」