EX4 人類最強の七人14
「クロスケていどにボクが倒されるとでも? キミを始末して、魔王因子を捕える、タイムリミットまで余裕だね」
「カカカ! いつも逃げまくってるのに今回は逃げねぇのか!」
一陣の風とともに黄金装甲が復活する。
「それを纏ったところで、キミの戦いは何回も見た、ボクには届かないよ!」
「ンなもンやってみねぇとわかンねぇだろ!」
クロスケは黄金大剣で斬りつける。
ガキィン!
パロムは翼で易々と止めた。
「驚いた?」
もう一つの翼でクロスケの身体を斬り裂く。
「ボクのほうが強いだけ、それだけのことさ」
翼がクロスケに襲いかかる。クロスケが押されている。
「そんにゃ! クロスケが押されるにゃんて!」
「ここに駆けつけるために魔力を使いすぎたのよ、黄金装甲で肉体は再生できても戦うための魔力が残ってないのよ」
「パロムのやつ、それがわかっててあんにゃ煽ってるんだにゃ! 万全にゃらクロスケのほうが強いよ!」
「ええ、卑怯なやつだわ」
「妄想をタレ流さないでくれるかな! 耳障りだよ!」
パロムがエリノアたちに向けて魔力弾を放つ。クロスケが黄金大剣の腹で受ける。
「クロスケ!」
「おう、クソネコ、元気か?」
「クロスケのほうこそ、もう魔力が」
「それがどうした?」
「戦えにゃいよ、さすがに魔力がにゃかったら」
パロムが笑う。
「そうさ、この世界は魔力の総量で強さが決まる、あの神龍でさえその法則には逆らえない。ここに来るのに一時間は掛かる、それを超えればボクと戦う力は残らない、苦しい選択をしたものだね、あはは!」
「ケッ!」
クロスケの堂々とした立ち姿にエリノアたちは魅入る。
「魔力が枯渇すればフラフラににゃるのに、にゃんでそんにゃ堂々としてられるの?」
「……?」
クロスケは心底理解できない顔をする。
「あーー、わかんねぇか」
頭をポリポリ搔く。パロムの魔力弾が炸裂する。
「ほらほら、休む時間なんて与えないよ、グチャグチャのミンチにして、あとから来る彼らに見せてやらなきゃいけないんだから!」
「カカカ!」
無数の魔力弾を受けて黄金大剣が砕ける。
「クロスケ!」
さらに黄金装甲が砕け散る。
「それにしても脆い気合武装だね!」
「ふぁあ」
欠伸をして、歩み寄る。
「ボクの翼をみても、ワンインチ距離での戦闘を望むのかい?」
「カカカ! まぁそんなに怯えンなよ、ちょっとぶち殺すだけだからよ、すぐ終わる」
「吠えたな!」
翼と拳のラッシュ対決。クロスケの肉体がズタズタになっていく。
「カカカ! ……カカカ!」
致死量の出血、飛び散る肉片、バラバラと散らばる骨。クロスケが削られていく。
「ああ、クロスケが、クロスケが死んじゃうよ!」
立ち上がろうとするも身体に力が入らない。
「エリノア、無理よ、ジュたちも限界なのだから」
「だからって見てられにゃいよ!」
歯噛みして睨むことしかできない。
「あはははは!! 細切れだ!」
翼が止まる。
「え?」
クロスケが掴んでいる。
「やっと捕まえたぜ」
「そんな馬鹿な!力どこにそんな──」
クロスケのヤクザキック。パロムの腹にヒットする。口から胃液が溢れる。
「おええーーッ!!」
翼を引っ張っては顔面を何度も殴りつける。
「ぶべぼらぎぎゃぐがごべぼーーッ!!」
胴体を踏みつけて翼を引き千切る。
ドゴンと踏みつける、パロムは必死に回避する。
「な、なぜだ、なぜそんな力を残している!」
「ああー?」
一陣の風とともに黄金装甲が復活する。
「見誤ったンだろ」
「ボクの計算は完璧だ!」
「なら証明してみろよゴルァ!」
クロスケの怒号にパロムの魔力が掻き消される。力なく膝をつく。
「勝負ありだな。お、来たみたいだぜ」
開かれた天井にクロスケたちを囲むように6つの影がある。
「クロスケ様、速いです!」
勇者、アイナ・グリルガード。
「一人でパロムを倒すとは、さすがクロスケ様」
四騎士、サガオ・サンライト。
「……帝王さま、ご無事で……!」
帝国聖騎士部隊大隊長、トゥルーファング。
「むぅ、出遅れたか」
四騎士、グレイブ・ホーリーガーデン。
「ふ、クロスケを舐めたなパロムめ」
四騎士、クゥ。
「……」
元四天王、スカリーチェ。
ここに人類最強の七人が揃った。