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EX4 人類最強の七人8

挿絵(By みてみん)



「解読し、網羅する、奇跡の事象を判読し理解する、解明し記し、これらを既知のものとする。魔法分解(マジックディスアセンブル)


 クゥの月白の剣から放たれた光がカセキくんを照らす。カセキくんにコーティングされた耐性が著しく低下する。


「今だグレイブ!」

「おう!! 全身全霊全属性全力斬(フルエレメントフルスイングフルバースト)!!」


 放たれた全属性魔力が、恐ろしい破壊力を持ってカセキくんの左足を粉砕する。


「なにぃ!?」


 しかし倒れない。


「クロスケ!」

「言われなくたってやってるぜ!」


 黄金大剣をカセキくんの右足に突き刺す。


黄金波(ゴールデンウェイブ)!!」


 黄金大剣から放たれる超振動がカセキくんの右足を破壊する。両足を失ったカセキくんがその場に崩れる。


「俺を止めただと!」

「カカカ! 解体してやるぜ!!」


 クロスケはカセキくんの体に黄金大剣を突き立て疾走する。次々に破壊していく。


「グアア!!」

「ふん!」


 グレイブが周囲の魔力を手のひらに集める。


空気爆破(エアバースト)!!」


 次々に穿つ。さらに空より降り注ぐ水晶魔王砲も効くようになっている、オディットもそれに気づいたのか、狙いを足元から本体狙いに変えてきた。カセキくんの身体がみるみる削れていく。


「終わりだ、パロム! 聞いているのだろう!」

『あっははははははははははははは!!』


 嘲笑う笑い声がどこからともなく聞こえてくる。


『あー、ボクの作った対精神力、対魔力コーティングをこうも簡単に剥がすとはね、やるじゃないか!』

「ふん、バカにするな、今なら呪いも効かんぞ」

『これでも侮ってはいないんだよ、でもこうも計算が上手くいくとね』

「なんだ、次の手は? どんな卑劣な手を使おうとも全て粉砕して、最後にお前の頭を叩き潰してやろう」

『あはは! じゃあ、いくよ、フェーズツーだ』


 魔界全土が震え上がるような振動だ、先程よりも強い揺れだ。山々は崩れ、大地に無数の亀裂が入る。


「この反応は、まさか」

『隠蔽コーティングもしておいたのさ。もう隠す必要もないから、魔力感知で魔界全土を見てみるといい!』

「カセキくんと同等の反応が他に6つか」

『あはは! それも離れた場所から猛進行中さ、どうするクゥ、皆で頑張って一つを破壊してたけど、そんなことは無駄だったのさ! それ!』


 カセキくんが起き上がり、崩れた骨が組み上がっていく。


『あはははは! 驚いた? アンデッドなんだから当たり前でしょ! あっははははははは!』


 クゥは亜空間から通信水晶を取り出す。


「各員に通達、カセキくんクラスの個体が計7体。グレイブ、クロスケ、アイナ、サガオ、ファングの各員は一柱ずつ対応しろ」

「残りの2体はどうすんだ?」

「私がやる。クロスケとグレイブは左右の一番離れた場所にいるカセキくんのところに転移させる、いいな」

「おう、だがいくらクゥでも物理的に2柱は無理だろ、人員が足りねぇな」

「クロスケが弱音を吐くとはな、ついにこの世の終わりが来たかな?」

「ンなもン来ねぇしさせねぇよ、わかったよ、やってくンぜ! さっさと転移させろ!」

「ふ、グレイブもいいな」

「ああ、コツは掴んだ」


 クロスケとグレイブはクゥの亜空間内にある転移魔法陣によって転移する。


「さて、やるか」











____________________________________________________________









「どうしたものか、3人の面倒を見に来てみれば、3つに別れてしまった、それに俺にも討伐ノルマが一柱」


 移動中のファングは速度を落とさないまま独り言ちる。


「漠然としたものは好きではないが、嫌な予感がする。術中から抜け出す真実とは」


 ファングは真実を突き止めたものを対象に真実特攻を得る能力がある。しかしこうも掻き乱されては肝心の真実が見えてこない。


「やることは限られている、そして暴くためには、まずは知らなければならない」


 ファングは方向を変える。


「今は指示された一柱を討伐するのが真実に近そうだ、その真実がいかようなものであったとしても」










____________________________________________________________










 チョウホウ街、頂点。


「では私は向こうの一柱を討伐してきます!」


 元気に駆け出そうとするアイナをサガオが止める。


「待つのだ」

「どうしたんですか? サガオは向こうの一柱担当ですよ」

「一人で大丈夫か? 二人で討伐したほうがーー」

「気合武装『深緑装甲』!」

「おお……!」


 アイナが纏った気合武装を目にしたサガオの目が煌めく、そして頭を下げる。


「失礼したのだ」

「いえ、昔の私を知っているからそう言いたくなる気持ちもわかります、でも今の私はめっちゃ幸せで、守るものも出来ました、だから大丈夫なんです!」

「ああ、こちらも気合いを入れていくのだ!」

「ふふふ、私はサガオと同じなんですよ」


 アイナとサガオは飛び立ち、別々の方向に飛んで行った。残されたのはエリノアとオディット。エリノアが円卓の上に座る。水晶魔王砲を撃ち続けるオディットがそのまま話し始める。


「逃げないの?」

「逃げて勝てるにゃら逃げてるよ」

「降伏したら? 現状はパロムが有利よ?」

「んーや、それもにゃいにゃ」

「そこまで人間に固執する理由は……ああ、あの小娘ね」

「まーにゃ、それにここはジゼルと初めて会った場所だからにゃ」

「そうだったわね、まったく、お父様は何故エリノアを選んだのかしら」

「……にゃんでだろ、ここまで、いやこの先も見据えていたから?」

「どうかしら、お父様も万能ではないとわかったでしょ、未来の見えない相手がいたから、倒された先は見えていないんじゃないかしら」

「でも、見えにゃい相手がいるにゃりに最悪を想定して動いていたとしたら」

「憶測もいいところね」

「あの人にゃらやるよ」

「さっきからまるでお父様が生きているかのような口ぶりだけれど」

「え、そう聞こえた? そんにゃつもりはにゃかったんだけどにゃ」

「どれだけ最悪の魔王だとしても、死んだものは死んだものよ」

「あー、スーに確認取ればよかったにゃあ」

「やっぱり生きてるって思ってるじゃない」

「あんにゃのでも親だからにゃあ、本当に最悪なやつにゃんだけど」

「その強欲さが潜入に選ばれた理由かもしれないわね」

「えー、その強欲さでジゼルたちも捨てられにゃくにゃって結果として敵ににゃったのに?」

「お父様も強欲だから、敵でも味方でもどっちでもよかったのかもね」

「全部が欲しいってやつかにゃー、ミーはそこまで強欲じゃにゃいよ、一国の主ていどで十分だにゃあ」

「十分強欲よ、それ」



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