EX4 人類最強の七人6
『あははははははは!! 宣言するよ、このまま魔界を進み、海を渡り、王国まで行くよ!!』
クロスケが悪態をくつ。
「これ止めんぞ! ファング!」
「あの大きさを見てみろ、山より遥かに巨大い。まずは帝王さまのところに戻るのが先だ、それにスカリーチェもーー」
ファングは異様な気配を感じ取る。
「……」
スカリーチェの表情がこれまで見た事ないほどに焦燥している。
「なんだその顔は、何を焦っている、スカリーチェ」
「……」
「ほっとけほっとけ、そんなやつ。俺は戦うぜ、どっちみち進行方向はチョウホウ街に向いているンだからな、戦いながら合流するのが俺流だ!」
カカカ! と笑いながら突っ込んで行ってしまった。ファングはスカリーチェを置いてチョウホウ街に戻っていく。
「あの方向は……」
スカリーチェの額に汗が浮かび上がる。
『あっちに何があるのかなーー?』
「何もないでスよ」
『ボク相手にシラを切り通すのは不可能だよ、あるんだね、そっちに『魔王因子』が』
パロムの声が消える。もう用はないと言わんばかりだ。
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「という真実です、帝王さま」
チョウホウ街に帰還したファングがエリノアに報告する。パロムというワードを聞いたとたんエリノアの顔が露骨に引き攣る。
「大変にゃことににゃったにゃ」
「クロスケさまの加勢に行きましょう!」
「アイナ(あいにゃ)待って」
「ジュも聞き捨てなりません、パロムが魔王に?魔王になるのはこのジュよ」
「オディットも待って」
「やはり先制攻撃しかないのだ! 勇者斬で打ち倒してやるのだ!」
「サガオも! みんにゃ待って!」
その様子を見ていたグレイブが咳払いをする。
「冷静に、落ち着くんだ」
「にゃんかいい案ある?」
「パロムが正々堂々とくるか、それともいつものように姑息な手を仕掛けてくるかはともかく、あの遠方から迫ってくる魔力をみるに人類の力を纏めあげねば対抗できないだろう」
「ってことは、どっちみちやることは一つだにゃ」
「そういうことだ。クゥを呼ぶぞ」
グレイブは懐から小さな水晶を取り出すと握りしめて魔力を流し込む、赤く光り出す。
「それはなんですか?」
「この水晶はクゥも持っている、魔力を流すと、別の水晶も反応する」
「にゃるほどにゃ、緊急事態信号だにゃ」
「何用だ」
空間を割いて四騎士のクゥが現れる。
「うわ!早いにゃ!」
「私の空間の中に転移魔法陣が常設されているからな」
「私用転移魔法陣!?」
「それでどういった人類の危機だ?」