EX4 人類最強の七人2
ここはチョウホウ街。創造神ビルディーが球状にしてしまったため、その頂上に人類は拠点を作り直した。
野外の作戦会議場で丸テーブルを囲むもの達がいる。
「始まったみてぇだな」
テーブルに足を放り出し、椅子に体重を掛けてくつろいでいるのは、四騎士のクロスケだ。訝しんだ顔をしている。
「あいつ一人で行かせて大丈夫なのかよ」
質問にスコープを覗いているエリノアが答える。
「まーにゃ、それくらいこっちで任せてくれにゃいと信用できにゃいでしょ?」
「王国と帝国の共同戦線。ぽっと出の国ごっこしてる奴らと組むことになるとはよ」
四騎士のグレイブが反応する。
「おいクロスケ、言いたいこともわかるが、最終決定されたのは王さまだ」
「王さまだって間違えることもあるだろ」
「そっちこそ何を言っている、正しい道が平坦ではないことくらい分かっているだろう」
「けっ、まー俺は俺の好きにさせてもらうぜ、せっかく魔界に遊びに来れたンだ、ちょっくら運動してくるぜ」
「待ちなさい」
テーブルに座して黙っていたオディットが口を開く。
「あ? てかお前って魔王サイドだろ? なんでここにいンだ?」
「ジュは帝国に身を置いているから、今は敵対していないわ」
「何言ってンだ? こんな辺境の地でルール守って仲良しこよしするとでも思ってンのか?」
「はぁ、もういいから、座ってて下さらない」
「カカカ! 面白ぇ!」
「やめるんだよ、2人とも」
「ンだよ、クソ猫が」
「クソね……クロスケのほうが猫っぽいじゃにゃいか」
「俺ァ好きでこうなったんじゃねぇよ。『な』も『にゃ』になってねぇだろ?」
「そんにゃところで判断するにゃ!」
ドォン!!
はるか先、トゥルーファングのいるところで爆発が起きる。
「まぁ、今回の作戦、この『部分』のみなら大賛成だ」
「『スカリーチェ討伐作戦』だにゃ」
「ああ、あのクソ魔女をぶっ殺せンなら、共同戦線もいとわねぇ」
「その割にはジュに危害を加えようとしていたけど?」
「それはマジだぜ。お前らがこの作戦を持ち出して来たんだ、警戒すンに決まってンだろ」
「ん? ちょっと待って、今にゃんて言った?」
「マジにぶち殺してやるってンだよ」
「違うよ、そのあと。ミーたちがこの作戦を持ち掛けた?」
「そうだろ? お前ンとこの従者が間に入ってーー」
「いや、そっちから来た従者が持ち掛けてきた話でしょ?」
エリノアはオディットを見る。オディットは珍しく驚いた顔をしている。
「どういうことかしら、ジュの悪魔の脳みそが気づかないなんて」
「……にゃにか嫌にゃ感じがするよ」
「おいグレイブ、どう思う?」
「誰かの策略にしろ、王国が攻められたとしても、今の俺たちには転移魔法陣がある、何かあっても王国との行き来は容易い」
「まーもう距離は関係ねぇわな、じゃあ何が狙いだ、人類最高峰の戦力を魔界に集めてよぉ」
「……そこまでは分からん」
「けっ、出陣るぜ」
「にゃんでそうにゃる!」
「決まってんだろ、俺はお前らも信用してないンだ、お前らの罠かもしれないし、スカリーチェの策略かもしれない、ならあそこに行くしかねぇよな」
「ただ戦いたいだけだよね!」
「カカカ!」
クロスケは地面が抉れるほどに跳躍して空を駆けて行った。
「あーもう、まだ皆集まってにゃいのに!」