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EX3 グリムリーパー12

挿絵(By みてみん)


「……なにッ」

「処刑失敗ってことで釈放ですよね?」


 龍騎士が驚愕しているのを無視して重い石製の扉を難なく開きグリムは微笑みながら出てくる。


「シャドーさまを殺したというのか……」

「いえ、師匠が封印し直してくれました、ねー、師匠」

「ござるんるん!」


 魔界アイドルロゴリスの決めポーズを決めるブラギリオン。龍騎士は視線をすぐにグリムに戻した。


「大問題だ……これは紛れもなく戦争行為となるだろう」

「戦争と言うには命の数が少ないですが、あ、もしかして『神々の誓約』を発動させるつもりですか?」

「そんな権限が私にあるわけがない、それにお前のような者に『神々の誓約』が発動することもない」

「えー、では次はえーと、序列7位ですね! 場所知ってたりしませんか?」

「……教えるわけがないだろう、私たちバーミリオン家は主に使えているのだから」

「へぇ、忠義に厚いのですね、じゃあ自分で探します、だいたい見当はつきますし!」

「なに!?」


 その様子を見たグリムはケラケラ笑う。


「一瞬意識があっちの方に向きましたね」

「なっ!」

「その驚きよう、まさか本当に?あはは」

「鎌をかけたな!」

「師匠、マグラ、行きましょう」

「見事な誘導尋問でござった」

「たく、死ぬまでこれ続けるんだな」

「待て、貴様ら!」

「龍騎士さん、私を止められると思いますか? トスさま、ネックさま、シャドーさまより強いのですか?」

「……玉砕して散ることで忠義を示すよりも、遅かれ早かれ辿り着かれるのならば案内したほうがいいだろう」

「それは殊勝な判断ですね」

「それにお前なんかに我らの主人が負けるわけがない」

「それは楽しみですね!」


 再び小龍(ワイバーン)に乗って移動する。山脈を進み、遥か空まで登っていく。


「ほとんど真上に飛んでますね、あんまり高い所を飛ばせると小龍(ワイバーン)が可愛そうですよ」

「これしきのことで音を上げるようなヤワな育て方はしていない」

「ござざ、なかなかの小龍(ワイバーン)捌きでござるな。バーミリオン家は小龍(ワイバーン)を統べる一族でござったな」

「そうだ、並の魔物使いではここまで高度な操作は不可能だ」

「ふむ、ギア派にもバーミリオンの血筋の者がいたでござるな、というかバーミリオン家はネス派ではないのでござるね」

「セギュラのことか。それはガリュウさまがネスさまに個人的に仕えていたからだ、ネスさまが魔族に与することになったとき、ガリュウさま共々、引き抜かれたのだ」

「ガリュウ氏……? ああ、ガリュウ氏はあの『大戦争』で討死した者でござるな」

「……そうだ、ガリュウさまはたった一人の人族の女性を愛した方だった」

「それがなぜ人族を滅ぼさんとするネス氏について行ったでござるか?」

「その女性も人族に殺されたからだ」

「憎しみの連鎖でござるね、いつの時代もそればかりでござる」

「ああ、そしてガリュウさまは人によって殺された」

「人を愛し、人を憎み、人を殺し、人に殺された、巡り巡って行くでござる、それが『理』」

「……話が逸れたな、これから向かうは龍族の防衛施設でも最大の砦『龍宮城(りゅうぐうじょう)』だ」

「うわあ! 見てください、すごいですよ!」


 雲に乗るように出来ているその城は、要塞と呼ぶには似つかわしくないほどに煌びやかだ。


「ここに序列7位がいるんですね!」

「序列7位と呼ぶのはやめてもらおうか。我らが主は、基準龍(ノーマライズドラゴン)さまだ」

「ノーさまですね!」


 小龍(ワイバーン)が開かれた門に入る。


「移動要塞、そして龍騎士軍団、これを持ち出せば戦争も優位になったでござろうに」

「ノーさまは上の判断に全てを委ねているのだ」

「上と言うと、局所的穏健派のレス氏でござるか」

「そうだ、ノーさまは序列1位である、最強の神龍、聖域龍、セックスレスドラゴンさまに全てを捧げている」

「ふぅん、あのレス氏でござるか」

「……」

「グリム氏?」

「な、なまえ」

「セックスレスドラゴンさまだ、何がおかしい?」

「だ、だって、せふにゃふにゃですよ!」

「せふにゃふにゃではないセックスレスドラゴンさまだ」

「うわわ、また言った、もー」


 グリムは顔を赤らめて走っていった。


「こら、我らより先に行くな、お前たちも行くぞ、どうしたそこの者」

「なんでもない」

「マグラ氏もまだ子供でござるから」

「違ぇよ! それに子供扱いすんな!」



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