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EX2 オーバーライト20

挿絵(By みてみん)



「みんな、行くぞ!」

「「「おおおお!!」」」


 俺のボディが劇的に変化する。拡張工事だ、胴体部分に3人分のスペースを確保する。ビルディーさまはここまで読んで作ったのか?それとも……


「5mとちょっとか、大きくなったなサガオ。コスモは右胸か左胸か、それともそれ以外か、サガオ」

「教えないのだ!」


 一歩踏み出す。それだけで凄まじいエネルギーを放出してしまう。キラーキラーマークIIセカンドWでも魔力消費が凄かったのに、これはその比ではない。


「無理をしすぎだな、サガオ。お前の魂が耐えられないぞ」


 そうだ、この体はビルディーさまが改造してくださった、つまり神クラスのボディ。それを一般人の俺の魂でも動くようにセーブをしていたのだ、今まで安定していたのは正しく神業なのだ。……それでもギアレベルの魂であれば最大スペックを引き出せたのだろう。不甲斐ない。


 少し歩くだけでも魂が霧散しそうだ。意識が……


「おにぃちゃん!」

「サガオ、わたし、がんばる」

「主人……ッ!」

「おおおおお!!」


 血液魔法(ブラッドマジック)によって機械の体に血が巡る。これにより魔力操作の効率が飛躍的に向上する。放出されていた無駄な魔力が機内を血液と共にめぐり始める。漆黒線状魔力が筋繊維の役割を果たす、暴走していた動きをアシストする。ヒマリのマナーの盾の加護が俺の体の耐久力を大幅に上げてくれる、これなら霧散しない、魂も留まれる……!


「俺は一人じゃない、うおおーーッ!!」


 ひび割れた体が修正する。鮮血と禍々しい魔力が勇者の覚悟を包む装甲となる。


「『勇者装甲』!!」

「ほう、気合武装に達してはいないが、それに近いな、サガオ。それなりに至ったか、サガオ」


 ファングの気合武装、黒狼装甲の特殊能力が分からないがそんなもので物怖じする俺たちではないのだ。


「ならば俺も『そんな感じ』でいくぞ、サガオ」


 黒狼装甲がパンプアップしていく。俺と同サイズになった。


「そんなことも出来るのか」

「気合だ、サガオ。気合武装とは己の魂を炉に焚べる行為、わかるか、サガオ」

「何となくなのだ」

「ふ」


 互いに円を書くように間合いを取り合う。


「ダブル走稲妻(バシリズマ)!!」


 サンザフラをブーメランのように投擲。ファングはひらりと躱した。


雷鳴炎刃(ライエンジン)


 雷と化して高速移動、サンとフラに追いつき掴む。真っ赤になった双剣でファングに斬り掛かる。


「そのコンボは勇者の雷コンボだな、サガオ」


 このコンボは雷属性の勇者奥義だ。雷属性のメリットは大きくわけて3つある、まず速度だ、雷の速さにより他の属性魔法よりも速く相手を攻撃することができる、そして2つ目が麻痺効果だ、生物の体は電気信号で動いている、それを狂わせて相手の動きを封じることができる。剣は伝導率がよく、鍔迫り合いするだけでも相手にダメージと状態異常付加の2つが狙える。そして3つ目が熱による炎属性魔法への繋ぎ。属性魔法には互いに高めあったり、様々な副作用を引き起こす組み合わせがある。雷の場合は副産物として熱を発生、それは炎魔法のアシストとなり繋げやすくなる。走稲妻で高速投擲をすると刃が高熱になる、それを利用して雷鳴炎刃は刃に炎を宿らせる。


 このコンボは童話の勇者がよく使っていたものだ。投擲を受ければ痺れ、そのまま接近するか、躱せば雷鳴炎刃で高速接近するという2択を迫れる。向こうの選択肢を潰し、こちらの選択肢を広げる優秀な手なのだ。


「だろ? サガオ」

「な!?」

「言っとくがな、サガオ!」


 腹を蹴りあげられた。この巨体が宙に浮く。


「お前が憧れ、使いこなしている技の数々は、王国でベストセラーになっている「童話の勇者」で全て掲載されている。つまり真実は解明済みだ、真実が暴かれている技を使うのは具の骨頂、だから皆、オリジナルを目指す、わかるか、サガオ!」

「お前に俺の勇者LOVEが分かるものか!!」

「おお!!」


 背中から炎属性魔力を強力噴射して、ファングを押しつぶす勢いで剣を叩きつける。


「例えお前が真実を暴いた技や能力を無効化出来るとしても、俺のこの、勇者への憧れは止められない!! ていうか絶対許さないのだ!」



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