表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/212

EX2 オーバーライト17

挿絵(By みてみん)



「ダリア! 足場を作れ! ヒマリたちにもだ!」

「御意!」


 ダリアは血液魔法(ブラッドマジック)で足場を作る。下を見れば洞窟が完全に崩壊していた。間一髪だ。


「ダリア、コスモが限界だ、預かってくれ」

「承知」


 背中の装甲を開きコスモを出そうとする。しかしコスモは機内を掴んで抵抗する。


「コスモ!?」

「やだ、ここ、いる」

「ダメだ、これ以上は危険だ、これ以上はコスモの身体が勇者奥義に耐えられない!」

「やだ、やだ!」


 ファングが瓦礫を吹き飛ばして現れる。無傷だ。


「サガオ、楽しいな。闘争は、これは本能だ、本能こそ、俺たちの体に刻まれた真実だ!」


 認めよう、トゥルーファングは四騎士と同等の力を持っている。ここで止めなきゃならない。だが。


「死ぬつもりはない、この絶望的な状況下でも俺は死ぬつもりはない」

「一度死んだ者がよく言えたな、サガオ」

「それでもだ。俺はもう死なないし、お前を倒すのだ」

「本心だな、サガオ。やっと本心で語り出したな。しかし本心を聞いてわかったが、随分と強欲なヤツなんだな、サガオ」

「ああ、俺はわがままだ、強欲なのだ!我を通させてもらう!」

「今のお前なら俺と対等に戦うに値する」

「だから勝手に話を進めんじゃねぇです!!」


 アウドキアが俺に突っ込んでくる。マズい、背中を締めなければ、く、間に合わない。


「ぎゃあ!?」


 跳躍したファングがアウドキアの背中を斬っていた。


「対等に戦うと宣言したそばから邪魔をするんじゃない、小娘」

「ちくしょう!!」


 落ちていった。


「さぁ、サガオ。コンディションは文句言ってくれるなよ」

「もちろんなのだ」


 ファングのマントには飛行の魔法が宿っている。空中戦もお手の物とみた。


「サガオ、わたしも、いのち、かける」

「コスモ?」


 コスモがコックピットの中にある俺の腕を強く握りしめる。力が湧いてくる……これは!?


「この魔力は!?」

「『にた』ひとたち、みたから、わかった」


 そうかオディットはこのことに気づいていたんだな。あの目で。


「魔王の娘なんだな、コスモも」

「うん」


 漆黒線状魔力が機体に張り巡らされていく。


「力が湧いてくるのだ……」


 複雑な気持ちだ。勇者を目指すものが、魔王の魔力を纏っている。


「いまは、たたかって」

「ああ。行くぞ!ファング!!」

「来い、サガオ!」


 俺は両方の腕からワイヤー状の漆黒線状魔力を発射する。ギュララララと弧を描く。


「それが初代魔王の特異魔力か、一番の強みはどんなものとも適合する適応力、勇者サイドともよく混ざる」

「はぁ!!」


 発射したワイヤーからさらにワイヤーを枝分かれさせて連結させる。これで捉える。


真実の牙(トゥルーファング)!」


 ファングはフルフェイスを被り、牙を魔力生成させる。


大黒狼爪(だいこくろうそう)!」


 腕ごと包む大きな爪が魔力生成される、今回は両足にもだ。さらにマントが伸びて、鬣と尻尾のような形態に変化する。


「まるで獣人、お前まさか」

「ふ、まだだ、サガオ。俺の真実は、こんなものじゃない」


 咆哮が響き渡る。


「気合武装。『黒狼装甲』!」

「なに!?」


 気合武装だと!? その域に達しているというのか!? ワイヤーがファングを雁字搦めにする。ファングの姿が見えなくなる。


「アオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 漆黒線状魔力が引きちぎられようとしている。ファングの体積が何倍にも膨らんでいく。


「オディット! ヒマリを返せ!」

「このタイミングで何を言っているのかしら?」

「パワーが足りない。ヒマリも俺の中に入れなきゃ勝てないぞ!」

「ダメよ、ヒマリを返したら、次はジュを殺すでしょう」

「殺さないのだ!」

「保険もなく貴方と取引するつもりはないわ」

「じゃあファングに皆殺しにされるのだ! 見てみろ、あれは紛れもない気合武装だ。気合武装には気合武装じゃなきゃ対抗できない」

「貴方、気合武装使えないじゃない」

「最大のパフォーマンスが発揮できれば可能性はあるのだ!」

「……ダメよ、せめてジュの逃げる時間を稼ぐことね」

「わからず屋さんめ!!」


 ワイヤー状の漆黒線状魔力が完全に引きちぎられた。


「サガオ、なかなか苦労したぞ、さすがは魔王の魔力。まぁ本来のパワーは出ていなかったがな」

「その獰猛な姿で冷静な口調はやめるのだ」

「ふ、俺は俺の力を完全に支配している。獣化したていどで俺の理性が失われることはない」

「いま獣化って言ったな、やっぱり獣人なのだ」

「あ……まぁいい。そういうミスもある、しかしまだまだ真実は俺の中にある」

「それはどうだか」

「ッ!?」


 ファングが慌てて振り返り空中で膝を着く。背後に誰かいる。


「ファング、帰りが遅いぞ」

「帝王さま!」


 あれが帝王、ファングと同じ装備だ、マントで浮遊している。


「ってあれ……?」


 帝王がフルフェイスを取る。あれは!!


「エリノア!?」

「サガオ、にゃんでここにいるの?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ