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EX2 オーバーライト16

挿絵(By みてみん)



「全員ぶち殺すです!」


 俺は地空烈断を解除して飛び退く、大量の血がなだれ込む。洞窟が血で満たされていく。


「ダリア! ここにいたのだな!」

「主人、オディットに命令されていたとはいえ、使命を果たせなかった」

「いや、コスモは俺の中にいる、俺が来るまでダリアは立派に過酷な魔界でコスモを守り続けてくれていた!」

「……主人」

「お喋りはいいから、ファングとアウドキアを始末しなさい」


 ヒマリの首に手を絡めている。


「主人にとって大切な人だと聞かされた」

「ああ、ヒマリもコスモと同じく守るべきもの、今はオディットに従うのだ!」

「承知、この血は主人を守る盾であり剣」

「俺の中のコスモに輸血できるか!?」

「可能です」

「やってくれ、一刻を争う!」


 俺の中にダリアが操作する血が流れ込む。コスモの体に血が入っていく。


「うっ、く……」

「耐えてくれ、もう終わらせる」

「何を終わらせるんだ、サガオ」


 地空烈断を喰らっても平然と立っている。


「足場が無くなってきた、ロイーズも流されてしまったし、なんとも侘しい真実だ、サガオ」

「厳しい現実を突きつけてやるのだ!」


 こうなったらあの技しかない。サンザフラを合体させる。


「ダリアは俺の後ろにいるのだ!」


 魔力を一点集中、俺の魔力で勇者魔力を再現、聖属性、電属性、地属性の魔力を的確にブレンド。完全再現!


勇者斬(ブレイブスルー)!!」


渾身の一振だ。剣先から放射している魔力が洞窟を縦に割る、聖なる魔力が周囲を包む。


「ぐぅう! この忌々しい魔力、これはやべぇです!」


 直撃しなくても邪悪な魔力をガリガリ削っていく。勇者斬(ブレイブスルー)は悪しき者だけにダメージを与える特性がある。ヒマリはこの光に照らされても大丈夫だ。ダリアは魔犬だから俺が盾になってやればいい。


 敵だけを的確に攻撃できるため、大技を味方のいる場所で気にせず放てる。これもこの技の利点の一つだ。


「サガオ」

「なっ!?」


 ファングは光の中を歩いている。


「悪しき者は、その中では生きられないはずだ!」

「簡単なことだろうサガオ。俺は悪いやつじゃない、それが真実だ」

「そんなバカな!」

「お前たち王国民の悪い癖だ、まぁ歴史上仕方の無いことだ、あんな悪い魔王と長年戦い続けていた。それが王国民を盲目にさせてしまった。自分の掲げる正義に疑問を持たなくなってしまった。弊害だ、魔王の残した負の遺産とも言えよう」

「バカな、俺は間違ってなど……」

「考えてもみろ、サガオ。誰が悪い? 悪いんじゃなくてお前にとって都合が悪いやつの間違いだろう? なぁ、サガオ」

「それは……それはそうなのだ、家族の害をなす者を排除するのが俺の役目なのだ」

「家族単位でしか見ることの出来ない、大局を見ようともしないのがお前だ、サガオ。妹を残し、魔界に一人で突っ込み、無惨に死んだ。妹を一人にしたのは、他ならないサガオじゃないか」

「……ッ」


 ぐうの音も出ない。俺は俺の実力不足を棚に上げ、魔界に行って、実験に利用されてしまった。さらにはコスモを中途半端に助け、ダリアの忠誠心を利用して、全てを投げ出してしまった。あの時一緒に王国に戻ればよかったのだ。


「俺は半端者だ……」


 勇者斬(ブレイブスルー)の光が収まる。


「真実を頂いていくぞ、真実の(トゥルー)

「水晶魔王砲!」


 ファングが飛び退く。


「サガオ、何をやっているのかしら」

「……オディット」

「過去は変えられないし、興味がないわ。未来だってね。今を生きているのだから、今ある者を精一杯救いなさい」

「ヒマリを人質にとって言うことか……」

「構うものですか、そんな惨めったらしい者を警戒していたなんてジュは絶対に認めないわ。貴女はジュたちの天敵有り得る存在、だからこうして回りくどいこともした。なのにそんな戯言で折れるようならここで引導を渡してあげるわ」

「……もう何が何だかわからないのだ」


 悪だと思っていたものが悪じゃないし、敵に励まされる。ならば俺は。


「俺は勇者なのだ! 俺の家族の勇者なのだ!」

「それが真実か!サガオ!」

「ああ! お前は気に入らないからぶっ飛ばすのだ!」


 合体聖剣サンザフラをファングに叩きつけるように振るう。黒狼爪(こくろうそう)で受けられる。


「おああああああああッ!!」

「不格好だが、迷いのない太刀筋、重いな!」


 魔力生成された爪を斬る。鎧をかすり削る。ファングは剣を構える。


大黒狼爪(だいこくろうそう)!」


 大きな爪型魔力を剣に纏わせる。もう崩壊し始めた洞窟をさらに切り裂きながら猛烈な攻撃を仕掛けてくる。さらに、


「ヤーを忘れるな、です!!」


 落ちる岩を避けながら高速でアタックしてくる。


「水晶魔王砲!」

「ちっ!!」


 危ないところはジュがカバーしてくれる。


「勇者流、疾風吹上(しっぷうふきあげ)!」


 真下から上に向けて連続した剣戟、風魔力を使い吹き上げる。洞窟から飛び出した。



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