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EX2 オーバーライト5

挿絵(By みてみん)


「コスモは魔人細胞に侵されている」

「魔人細胞だと」

「ええ、コスモはそれによってこの姿になった」

「どうして、どうしてこんなことになったのだ!」

「それもこれも3代目魔王を決める戦いのため」

「お前たちのくだらない勢力争いにコスモは巻き込まれたというのか!」

「そうよ」

「やはり、ここで……」

「軽率すぎるわ、やはり苦手なタイプ」

「本人から話を聞くのだ、コスモ。コスモ!どうしたのだ返事をしてくれ!」

「無駄よ、今は薬で返事が出来ないようにしてあるの」

「なぜだ! なぜこんなことを!?」

「対話する気があるならついてくることね」


 部屋から出ていくのを止めることが出来ない、今動けばコスモが危険だ。……言われるがままだ。


「まさか俺が来ることがわかっていたのか?」

「もちろんこの目で見てたわ」

「千里眼か」

「千里眼ではないけど、まぁ、そんなところよ、この部屋ならちょうどいいわね」


 くれてこられたのは1階の大部屋。


「適当にかけていいわ」

「いや、立ったままでいいのだ」

「そう、私は座るわ」

「勝手にするのだ」


 上座に座る。コスモはその隣に虚ろな目をしたまま立っている。


「さて、話をしてあげるわ。今は暇だから特別に質問にも答えてあげましょう」

「コスモを犯す魔人細胞はどこから来たのだ?」

「アヴドキアがね、厄介なのよ」

「は?」

「アヴドキア・ダークロード、私の姉妹よ」

「それは知っているのだ」

「あれは魔物使い、魔物と魔人を問答無用で支配できる力があるわ」

「それも知っているのだ。九大天王すらも支配できる力なのだ」

「そのせいで魔物関係の下僕は使えないのよ」


 なるほど、だから魔族たちで周りを固めているのか。


「それと魔人細胞になんの関係があるのだ」

「魔人細胞を植え付けられた人は魔人と人の間の存在になる。魔人でもなく人でもなくなる。でも魔人の強さと人の精神力を持ち合わせることができる」

「まさか、アヴドキアを攻略するためにコスモを改造したのか!?」

「私ではないと言ったら信じるかしら?」

「……正直、すごく疑ってるのだ、いつ剣を抜いてもおかしくないくらいに」

「よかったわ、真っ当な警戒心は持っているようね。単身で魔界に来たからとんだ無知さんだと思ったのだけれど」

「私もいるよ!」


 前来たときは一人で魔界に来て殺されたのだが、ここでは掘り返さないのだ。


「本当のことしか言わないわ。コスモをここに連れてきたのはダリアよ」

「ダリアが!?」

「話は最後まで聞く事ね、ダリアが連れてきたときからコスモは魔人細胞に侵されていた」

「なぜオディットのところに?」

「私が一番話がわかるから……そんな目で見ないでくれるかしら?」

「ダリアはいまどこにいるのだ」

「コスモを私に渡して、駆け出していったわ」

「それはおかしいのだ、ダリアにはコスモを守るように言ってあるのだ」

「元凶を倒しに行ったのよ」


 オディットは立ち上がり、コスモの背後に立つ。


「そこで取引よ」


 取引、嫌な予感しかしないのだ。


「コスモを返して欲しくば、ジュの魔王道の妨げになる障害物を排除してきなさい」

「やはりそう来るか、姑息な手を使うのだな」

「姑息?王道よ、どうするの目の前で私の魔眼に焼き殺されるコスモを見たい?」

「やめるのだ、でもコスモは魔人細胞に侵されているのだろう、早く治療してやらねばならぬのだ!」

「たしかに長引けば魔人細胞に耐えきれず命を落とすかもしれないわね。あまり体力のある子には見えないものね」

「だったらーー」

「ダメよ、人質を解放するわけないじゃない。さぁ、早く行きなさい」

「くっ……」


 どうすれば、一刻を争うかもしれないのに、ここでオディットを倒せば……いや、俺の剣よりも先にオディットの水晶魔王砲がコスモを撃ち抜く方が速い……。


「おにぃちゃん」

「ヒマリ?」

「私が人質になるよ」

「何を言っているのだ!? そんなことできるわけ」

「コスモは私と同じように扱うんだよね?だったら怪我してるコスモと私は交換してもいいはずだよ」

「……だが、しかし」

「大丈夫だよ、おにぃちゃん」


 オディットを見る。品定めするようにヒマリを見ている。


「マナーの盾は持ってきていないようね」

「これは私たち家族の問題だもん、王国の防衛の要であるマナーの盾は持ち出せないよ」

「わかっているのかしら、いくらマナーの盾の適合者といえど、これだけ離れていれば私の魔眼でも撃ち殺せるわ。それにヒマリならサガオ以外にも人質としての価値がある。いいでしょうトレードしましょう」

「勝手に決めるな!」

「おにぃちゃん!」

「む!」

「おにぃちゃんは私の勇者なんだから、こんなことでへこたれたりしないでよね」

「……そう、なのだ、俺はヒマリの勇者なのだ」

「行ってくるね、おにぃちゃん」


 ヒマリとコスモを交換した。



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