勘違いは程々に……!
学園での生徒としての業務も終え、自室で一息ついた所で
婚約者ーーアムール第二王子の寮室に呼び出された
流石王家、立派な部屋ね
綺麗な宝飾品で彩られている部屋だが、協調性があり……何というかセンスが良い
前に第一王子の寮室にお邪魔したけれど、あの部屋は酷かったわ。
宝石と金で固めれば良いってモンじゃないのよインテリアは
やっぱり性格が現れるのかしらね……
ちょっと色々見過ぎたかしら
婚約者とは言え政略結婚だし、お部屋に招かれるなんて事はそうそう無いし、だからキョロキョロしちゃうのは仕方……無いし
部屋の中心に置いてあるテーブルセットに腰掛け、王子と向き合う
白いクロスを挟み向こうに居るのは、私の婚約者、アムール様だ
白い肌に王家特有のアメジストの様な紫の瞳
ちょっとばかしふくよか過ぎるけれど……そこも愛嬌だわ、きっと
いつもならそろそろ従者がお茶でも淹れてくれるのだが、来ないという事は……もしかして大事な事かしら!
さぁ!私への正式な愛のプロポーズを……!
「プリューム公爵令嬢ッ……貴方との婚約は破棄させて貰う……だから構わず生きるんだ!!」
「……へ?」
おっと失礼、間抜けな声を出してしまったわ
あら妖精さんの悪戯かしら、耳がおかしくなってしまったようね、うふふふ
「ちょっちょっと待ってくれ!プリューム!自分の耳をそんなに引っ張らないで!」
「あはは……きっ、きっと妖精さんの悪戯ですわ……」
婚約破棄だなんて、聞こえませんわーー
好きな方が出来たとか、私に不備があったとかでしょうけど聞きたくありませんわーー
「別にプリュームに不満は無いし!私が愛しているのはプリュームだけだ!」
「ならッ何でですの……!」
そんな事言ってどうせ裏ではプリュームうっぜぇーーこんな奴嫁とかふざけんなよーーとか言ってるんじゃありませんの?
「プリュームッ!君は第一王子の方が好きなんじゃないか!?」
「……ふへ?」
なっ何を言っているの……アムール様。
あんなセンスと女性への愛の無い方、眼中にありませんわ!
きっと第二王子は意中の方が他にいるのだわ……だけれど第二王子が私情で婚約破棄だなんて許されない、だから私の恋を応援するという名目で婚約破棄を求めているッ!
それなら、わたくしは引くべきですわ
アムール様の恋を応援致しますの
だけれど……だけどッ最後に伝えておきたいんですわ
「……わたくしの好きな方は一人だけですの」
「……やっぱりそうじゃないか」
……やっぱり!?
えっ何?もしかしてカマかけですの?
本当に愛しているかの確認でしたの!?そんなッアムール様ッ可愛い!
それなら、もうハッキリと言うだけですわっ!
「わたくし、政略結婚なんて関係有りませんわ!アムール様が好きですの!」
「こんなに太ってて見栄えも悪いし、第二王子の僕なんて気にせず、好きな人と付き合っていいんだよ!好きだから邪魔したくないんだ!」
「……へ?」
「……ん?」
「……カマかけじゃないんですの?」
「兄さんの事、好きじゃなかったの?」
二人の顔がカッと赤くなった。
お互い勘違いして大声で告白し合ったのだから仕方無し……めでたしめでたし?