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梅の夜道の後の喧嘩

 夜気の中をずんずん早歩きで歩く。今は梅の花の季節だから通り過ぎる家に咲いている梅の花の芳香に頭部が何度も包まれた。それを切り裂くように私は一心に家に向かう。

 私の家の庭にも梅の木がある。やはり花盛りだ。何度も梅の芳香をくぐった私の鼻孔に梅酒サワーの梅の実の香りは、季節の梅の花の香りにすっかり上書きされていた。玄関を開ける。自然に力が入ってしまい、勢いよく開けてしまった。靴を脱ぐのももどかしく中に上がり、居間でテレビのニュースを見ていた両親に声を荒げる。

「あのねえ二人とも、私が小説家デビューしたってこの辺の人に話したでしょ!特にお母さん!」

「なんだ雪子、騒々しい。お父さんはこの辺の人には喋ってないぞ。会社の人に文筆業やってるって話ただけだ」

「そんなに怒らなくってもいいじゃない雪子。お母さんお前の中学校の頃のお母さん仲間に話しただけよ。二、三人くらいよ」

「やっぱり!あのね、私が夢を叶えることに成功したって分かったら、昔の同級生たちどんな風に思うか想像つかないの?」

「みんな祝福してくれるでしょ。仲間が成功したら」

「あのね、私は仲間なんかじゃなかったの!!」

「そんな事無いでしょ。みんな仲良しのお友達よ?」

 母親と会話をしていたら腹立ちよりも疲労を感じてきた。いつもこうなのだ。母親は、青春は必ず美しくなければいけない、仲間は絶対的に尊く、誰もがその中に入れると信じて疑わない。


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