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デスゲームが最近のブームな件  作者: 八虚空
ファーストログイン『Dungeon History』
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第五十八話 掘り出し物

 特技、ガード。20の固定ダメージ減少を10のHP消費で行う戦士職の防御特技だ。

 スラッシュとブレイクという同消費特技でも30の固定ダメージなことを考えると防ぎきれない計算になる。

 クラッシュや盗賊職の韋駄天特技も考えると、やはり攻撃特技で攻撃特技を迎撃する方がダメージは少ない。

 だが、この特技の本領は一切の衝撃を抹消する点にある。ブレイクの爆発力で防御をすると体勢が崩れ次の攻撃動作にワンテンポのズレが生じる。

 そこを不動の体勢でしのぎ、クラッシュの重い一撃で反撃するカウンター戦法を取ることが出来るようになる。

 他にも武器や盾で防げない緊急の状態でも任意の場所に発動できるガードは攻撃を無防備に受けないで済む利点がある。

 近場に自力でこの特技を習得した戦士職がいないのか、1万ゴールド代の特技のくせに5万ゴールドもしたが、それでも買うだけの価値はある。

 と、思っていた。


「はははっ。マジか、ヤベえってこれ」

「嘘みたいだな。こんなことが可能だなんて」


 空中を跳躍する加藤と笑い合う。

 早速、買い取ったガードの秘伝書を読み込んで加藤と試運転をしていたんだが、気力操作で何時ものように高速戦闘の模擬戦をしていた時に気が付いた。

 ガードの特技は一切の衝撃を無効化する。それは相手の方向からだけではなくこちら側の方向からの衝撃も同じように。

 ならば、足下に発生させて蹴りつければ急激な方向転換も可能なのではないかと。

 そう思いダッシュと組み合わせて予測困難な軌道で加藤に木刀を打ち込んでいたんだが、それを見た加藤がブレイクとの合わせ技で反撃をしてきたのだ。

 空中にブレイクで飛び上がった後、ガードを利用しての急降下攻撃で。

 本人は自分が何をやったのかわかっておらず驚愕に固まるこちらを不思議そうに見ていたが、とんでもない。

 ガードで発生した気力の盾は空中での足場に利用できる。格闘ゲームに登場する二段ジャンプだ。

 一回の発動に10HPしか消費しないこの特技は連打も可能で、突き詰めれば空中戦も可能だ。

 つまりブレイクとガードの特技を併用すれば空を飛べる。

 魔法職が飛行魔法を会得するには100以上の知識パラメーターが必要で上級魔法に分類されるというのにだ。

 比べものにならないほどの短期間だとしても空を飛べることのアドバンテージはヤバい。上空からアイテムボックスを利用するだけでメテオの真似事すら可能なのだ。

 まあ、飛行を行うにはガードの足場だけでなくブレイクによる強力な反発力を利用する必要があって、スピードを出す為のダッシュも含めれば三つの特技の併用が必要になってくるが。そこまでやると俺だと器用パラメーターが低すぎて硬直時間が発生してしまうんだよな。

 高橋が証明したんだが、器用が20を超えると三つの特技を併用しても訓練で硬直時間を無くすことが出来るから将来的には解決可能な問題ではある。これまで以上にステータスアップが必須になるな。

 現時点だと体力回復ポーションを湯水のように使っても穏やかな空中浮遊が限界か。それでも使い道はあるけど。

 こんな有用特技が5万ゴールドなんて安すぎるな。戦士職は全員が習得しておくべきだ。


「買えるだけ買っておきたいんだが、5万ゴールドの工面は無理だな。自分の分だけでカツカツだ」

「ソルトの店じゃ売ってないよな」

「注文して取り寄せて貰えば買えると思うが、5万ゴールドじゃ済まないと思う」

「だよなぁ」


 今は自分達の分だけでもガードの秘伝書が手に入ったことを喜ぼう。

 生首畑で誘引香を仕掛けて上空から状態異常アイテムをばらまくとか利用方法は現状でも幅広い。

 高速鳥停のハーピーも上手くやれば狩れるかもしれない。高く飛びすぎると着地に失敗して死ぬかもしれないのが悩ましい所だが。

 行商人の鬼族の少女によると、この後に一座でソルト街に寄る予定はあるらしいので詳しい予定日時を予め聞いておいた。

 ガードの秘伝書も幾らでもあるわけではないのでパーティメンバー全員が買えるわけじゃないが、飛行部隊は少しでも多く欲しい。


「やっぱ初級ダンジョン探索してるだけあって稼いでんな。5万ゴールドをポンっと出せるのか」

「うん。今回のクエストは初心者ダンジョンよりちょっと高い程度の依頼料しか出ないけれど大丈夫だった?」

「初級ダンジョンを探索できるならクエストを受けるよりそっちの方が効率いいよ?」


 砦で一泊した後の朝練でガードの特技を検証してたんだが、いつの間にか臨時パーティのメンバーが集まっていたようだ。

 何時からいたんだろう。


「一度はクエストに挑戦して様子を見たかったから助かったよ。俺らは少人数で行動することに慣れてないからさ」


 竹林がドヤ顔で礼を言っている。尊敬の眼差しが気持ちいいんだろうな。いい笑顔だ。

 俺達もガードの秘伝書なんてレアアイテムを手に入れられたから今回のクエストは大当たりだった。

 こうして、たまには遠出をして各地を回るのも自己強化には必要不可欠なのかもしれないな。

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