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第7話 イッキリーノ・オレサマーノ

第7話 イッキリーノ・オレサマーノ


有り難いことに、イッキリーノ・オレサマーノと出会うというフラグは立たずに回避できたようだ。

無事に街の外に出て、昨日キラービーなる蜂を一方的に屠った場所にたどり着いた。 

なんでも巨大な昆虫系モンスターは羽根でも甲殻でも金になるから拾っておくといいと聞いたので確認しにきたのだ。

胸に穴が開いたキラービーの死骸はまだ転がっていた。こんなデカい蜂がいるんだからそりゃ皆この辺に近づかないのだろうな。

しかし、このサイズだと人間を普通に襲って餌にしてしまうサイズだよな。こんなのがいるなんて思いもしなかった。

そんな事を考えながら死骸を拾っていく。実際触って見て分かったが、かなり甲殻が硬い。まるで軽金属みたいだ。

試しに転がっていた頭を木の枝に挟んでハイキャパで撃ってみる。

カーンと高い金属音がしたと思ったらどっかに跳弾していく。流石に頭は衝撃で枝から落ちた。

ならばと思い、LVOA-Cを取り出す。流石にアサルトライフルの威力なら大丈夫だろう。実弾はかなり先が尖っているしな。まぁ貫通力まで再現されてるかは知らないけれど。

セミオートにして一発撃つ。激しい金属音がしたが、なんとか頭を撃ち抜けている。

拾ったキラービーの翅をよく観察してみる。透明で薄く軽いのにかなり頑丈だ。威力の弱い銃弾なら余裕で耐えれるかもしれない。この材質を加工できるなら材料としての用途は広く価値は高いだろう。

なるほどAPS-DREIの弾の威力がロケットランチャー並みという謎が解けた。恐らくあのキラービーの巣なんかは、そのぐらいの威力を連発しないと倒せない。つまりそういう頑丈なモンスターがこの世界には沢山いるという事か。

つくづく恐ろしい世界に来てしまったと思う。変身すれば強いけど、エネルギー切れたら元に戻るし、何よりあの精神ぶっ飛びモードは正体を隠してないと本当にやばいよな。

さて、それじゃ丁度いい的も手に入ったことだし今日の本題に入るか。

キラービーの頭を的として枝に挟んでガッチリ固定すると、レーザー距離計で距離を確認しながら射撃する。このおかしな事になっている銃の性能を検証していく為だ。

撃っては移動しを撃っては移動しという、地道な作業をひたすら繰り返していく。気になっていたホップアップ機能も確認していく。

ホップアップとは、BB弾にスピンを掛ける事により気流的な力を利用してBB弾を上昇させて、飛距離を倍以上に稼ぐことが出来るエアーソフトガンの画期的なギミックである。

様々な検証を行った結果、色々な事が判明した。

先ず、有効射程距離についてだ。ある意味で有効射程距離内の弾は無敵モードである。風にも流される事なく、ホップアップも適用されずに、ひたすら直進する。

つまり狙いが正しく射線が通っていれば、ほぼ間違いなく目標に当たるのである。しかも、見た感じだと弾速は、最も高い速度を維持し続けるようだ。

そして、その有効射程距離を超えると、ホップアップが適用され、BB弾が上昇するか下降するかが変わって来る。そして風の影響も受けて流されていく。

最後は最大射程距離にて力を失い落ちる。因みに最大射程距離で弾が当たっても殆ど威力はない。

どうやら、BB弾が当たった時の実弾威力に変換される力は有効射程距離内では100%維持されるも、最大射程距離の到達点で0%の威力になるようどんどん減少していくようだ。

APS-DREIについては危険極まりないので試してないが、恐らくこの法則を当てはめて問題ないだろう。

付け加えて言うなら実のところアサルトライフルもスナイパーライフルも最大射程距離外は遠すぎてスコープを使ったところで何処へ飛んでったかさっぱり分からなかったので検証しきれてはいない。

一通り検証と考察が終わり、今日のメイン作業が終わる。銃の検証自体は、満足いく結果であったが、それとは別の気になる事が出来たので街へ戻る事にした。

えっちらおっちらとまったり歩いて戻ると門兵に止められる。


「貴方は、確か聖剣姫様のご友人の方でしたよね?」


「ああ、そうだけど」


友達っていうかなんて言うか、変に否定すると面倒くさいので話を合わせておく。


「今はいかない方がいいですよ」


そう小声で言うと門の陰から顎で街中を差す。何のことかと覗いて見れば、豪華な鎧を装備した太ったオッサンが倒れた男を一方的に蹴り飛ばしている。


「もしかして、アレが噂のイッキリーノかい?」


「ええ、そうですが、様、様を付けた方がいいですよ。どこで聞かれてるかわからないですから」


ここからイッキリーノに声が届くわけないが、コソコソと会話を進める。


「ふーむ。あれが伝説の鎧かい?あの鎧が硬いなら鎧じゃ無い所をどうにかすればいいんじゃないか?」


「それがそういう話ではないのですよ。話によれば女神の加護でどこを攻撃しようと不思議なバリアで守られてしまうそうなので」


「へぇ・・・」


なるほどなぁ。しかし、あのまま放置するしかないのか?そう思っていたら、見覚えのある少女がイッキリーノに走って寄って来る。あれはリンシアだ。


「あれは聖剣姫様!ああ、でも聖剣姫様なら止められるかもしれません」


「アレに姫様の声が届くのかねぇ」


「流石にイッキリーノ様でも王族の声は無下に出来ないでしょう。それに、聖剣なら、あの鎧を壊すことが出来るかもしれないと言われていますから」


ほほぅ。なるほど流石は聖剣と言われるだけあるか。

するとイッキリーノは、不満げに街の中心部へ歩いて行った。ここからではどんな話をしたのかは全く不明だが、リンシアの御蔭でどうにかなったようだ。

ボロボロになった男を解放するリンシア。全く、あんないい子がいるのとは反対に、とんでもないクソがいるってのは、どこの世界も変わらないな。


「さて、そろそろ大丈夫かな。あ、そう言えばいい武器屋を知らないか?」


「いい武器屋ですか。うーん僕らの装備は支給品ですしね。どこが流行ってるかは、よくわかりません。街の南側に武具の店が多く集まっていますが一級品を求めるならブラックスミスギルドを訪れるのも手ですよ」


「なるほど。ありがとう。それじゃお仕事頑張ってな」


「ええ、良い一日を」


門兵に挨拶を交わすと、そのままのんびりと教わった南側の武具店が集まっている場所を目指す。

何処が隠れやすくて、何処が狙撃しやすそうな場所だとか、そんな事を考えながら観光気分で適当に進む。

時々、路上の隅に屋台を出している商人達に武具屋通りのある場所を聞きながら向かう。勿論、聞いた屋台の商品を買うのを忘れない。

そうして15分程歩くと剣や鎧の絵が描かれた看板が並ぶ通りが見えてくる。

今回の俺の狙いは短剣だ。大型のナイフでも構わないけれどな。理由は雑林などの場所は刃物で草や枝、蔓、等を切りながら通るスペースを確保しないと進めそうにない場所が多々あったためだ。

それから武器屋を2、3軒と回ってみたがこれだ!という物は見つからず、4軒目の武具通りの中ではそこそこ大き目な店の中で短剣を物色している時の事だった。

突然、出入り口の扉が荒っぽく開けられたと思うと横柄な声が後ろで響く。


「おい、店主、頼んでいた物は入ったか?」


振り向けば、先ほど街で暴れていた豪華な鎧の太った男がいる。イッキリーノだ。

変にケンカを売られるのは嫌なので店の片隅にフェードアウトしながら様子を伺う。


「はい。もちろんでございます。今お持ちしますので。少々お待ちを」


すると店主は店の奥に引っ込み、長く大きな木箱を持って来て箱を開ける。この角度からでは中身がよくわからない。


「お待たせしました、イッキリーノ様。こちらが、魔剣ショーセン・ソンナモンダーです」


「おお、これが!魔剣ショーセン・ソンナモンダーか!ギャハハハ!素晴らしい」


そう言ってイッキリーノは、漆黒の禍々しい剣をもし上げ、ブンブンと振っている。

魔剣ショーセン・ソンナモンダー?そんな名前の装備で大丈夫か?


「はい、どうでございましょう。私共でも中々見る事の無い業物。気に入って頂けたら幸いです」


「おう、気に入った気に入った。よし、店主こいつは貰っていこう」


「有難うございます。それでは、こちらが・・・」


「おう、このイッキリーノ様が使う店として宣伝しておいてやろう。この俺様のお墨付きと宣伝すれば売り上げは上がりまくり、だからこれはその献上品!そ・う・だ・よ・な!」


そう言って魔剣の切っ先を店主に突きつけて威圧している。


「は、はい。その通りでございます!」


顔を真っ青にしながらも笑顔で答える店主。


「そうだろ!じゃぁ邪魔したな!ギャハハハハ」


笑いながら上機嫌に店を出ていくイッキリーノ。普通に恐喝に強盗じゃねーか。まったく酷いもんだな。

そのまま店からでてイッキリーノに出くわすのは嫌なので、もう少し店内を見て回る。

すると、刃渡り40cm程の刀身が若干反った背に刃の無いカタナタイプのナイフを見つけた。装飾は他の武器に比べて質素な黒い金属一色だが、そのセンスは他にはない鋭角的なかっこ良さだ。


「さっきは災難だったな。店主、このナイフを見せてもらっていいか?」


そう言うと、店主は苦笑いをして、展示してある柵の鍵を開けてナイフを持たせてくれる。


「これは、タンゾー・マニアッキーっていう方が作成された物です。造りもかなり頑丈で切れ味も最高ランク品ですが、デザインが独特すぎるので倦厭されてますね」


そうか、この世界ではこれは今一つなのか。面も角も驚くほど真っ直ぐにラインが出ていて最高にカッコイイと思うんだがなぁ。値段は金貨1枚か。

見た目だけじゃなく、バランスも悪くない。刃先の方に重心が寄っているが、このぐらいの方が遠心力が効くし、この重さと長さなら力任せに振っても体勢が崩れて身体が持ってかれる事もないだろう。


「よし、これもらえるかな?銀貨10枚でいいかな」


「ええ、等価値であるなら、銀貨でも金貨でも構いません。有難うございます」


代金を払うと丁度ベルトに止められるようになっているので、左の腰にっかりと装備してから店をでて、一度、宿に帰る事にした。

宿の部屋に戻るとベッドに座りながら今一度、袋を開いて中身を確認してみる。

一部のエアーソフトガンのアイコンの右上に短いバーの様な物があって小さく100%と出ている。なんだろうこれは?

試しに腕についてるエルリードに聞いてみると、どうやらバッテリー関係の充電らしい。なんでもエネルギー関係の一部は袋で補充しているとのこと。

しかも、ガスガン用のガス缶やガスバーナーのガスの缶も袋に入れて置けば補充される。すげーな!この袋。

するとアイテム欄に、大事な物、という項目がある事に今更気が付いた。開いてみると、ギルドカード、スマートフォン、100Vコンセント・・・100Vのコンセント?

どーすんだコレ?試しにそれをタッチして出そうとすると、ニョキニョキと縦に2本の穴がある良く見慣れたコンセントの四角くい枠がのびて来た。もちろん根元は魔法陣についたままだ。

その姿はものすごいシュールである。普通に延長コードが出てくる仕様とかに何故しなかったんだろうか。四コマ漫画チックすぎる。

えーと・・・これは・・・。そう言えば電動工具箱があったのを思い出したので取り出しす。

有線インパクトドライバーに、グラインダー、ベルトサンダー、オービタルサンダー、ハンドミラー、セーバーソーなど、日本の狭いマンションでは決して使えないパワーのある電動工具が揃って入っている

因みに、怪しげな100Vコンセントに有線のインパクトドライバーをつけたら問題なく回った。・・・この袋、青い狸、いや猫型ロボットを超えてやがる。

どのみち宿で使えば騒音とかで、只の迷惑撒きちらし機になるだけなので、今はしまっておくほかない。そのうち使う時がくるかもしれない?

折角なので、大事な物からスマートフォンを出してみる。

自分が使っていたもので間違いはなく、指紋認証も機能していた。

ただし電波は圏外で、使えそうなのは音楽プレイヤーとカメラ機能、計算機、時計に照明くらいである。当たり前の事だが通信機能がないと使える機能は一気に減ってしまうな。それでもこの世界では神の能力ではあるが。

何となく写真のフォルダを開けば、つい先日撮ったばかりのアーマー勢の仲間たちが映っている。動画もいくつかあった。みんな本当に楽しそうで、お調子者ばかりで見ていて飽きない。

そのままフォルダの写真を閲覧していくと、ツインテールの黒髪少女が紺のセーラー服を気て校門の前に立っている写真が出てくる。16歳も歳が離れた妹の入学式の写真だ。俺が12歳の時に再婚した母親が生んだ子供である。

次の写真には、年齢不詳の姿をした母親と母親似の童顔を笑顔で満たした二人が仲良く立っている。2人とも元気にしてるかねぇ。まぁあれから2日しか経ってない筈なんだけどね。

少しセンチに浸っていると、ピロリンという音と共に突然スマートフォンからお知らせのポップアップがくる。


<スキルオペレーターアプリ・グシオンver1.2 所持者との同期が完了しました>


はい?そんなアプリをインストールした覚えはない。どういう事かとホーム画面に戻ると一番後ろに、円の中にラッパのマークが何個も描かれている魔法陣のアイコンがあり、その下にグシオンと書かれた物が追加されている。

うーん、なんじゃこりゃ。取りあえず、起動してみる。

すると、自分の名前が一番上に書かれていて、スキルポイント:10と書かれている。

スキル名と思われる名前の隣に、オン・オフがありとスキルレベル、内容、レベルを上げるための必要ポイントが書かれている。MMOとかRPG的なアレなのか。


通常スキル

 弾丸製造 Lv1・OFF【アイテム袋に自動でホローポイント属性の弾が製造される。1/10秒/MP1 レベルUPまで必要ポイント1】

 索敵能力 Lv3・ON【殺気や追跡、視線に関して敏感になる。レベルUPまで必要ポイント3 気配を消すタイプのスキル及び魔術をLv3相当までを自動で無効化する】

 命中精度UP Lv5・ON【射撃に関する命中精度が上がる。レベルUPまで必要ポント5】

 初速UP Lv1・ON 【装備に設定された初速を+5した数値が実際の初速となる 初速がどれだけ上がっても発射音は変化しない。レベルUPまで必要ポイント1】

 気配消し Lv3・ON【物陰に隠れている時や、移動する際に見つかりにくくする レベルUPまで必要ポイント3 索敵タイプのスキル及び魔術をLv3相当までを自動で無効化する】

 視力UP Lv1 ・ON【視力が上がる。暗闇にも強くなる レベルUPまで必要ポイント1】

ユニークスキル

シンクロニズム 【一定の波長とシンクロする】

 転移者 【運が上がる、様々な運命や縁に廻り逢いやすくなる。このスキルは通常スキル及び魔術による透しは不可能】

 転移体 【病気、怪我、毒物、等の耐性、及び身体能力が大幅に上がり丈夫な体となる。このスキルは通常スキル及び魔術による透しは不可能】


魔術

 - - -----


なんだかスキルは色々あるな。既にレベルが上がっている物もある。だけど魔術はすっからかんだ。ただ表示があるって事は少しぐらいは期待していいのだろうか?

折角ファンタジーの世界に来たんだから魔術ぐらいは使ってみたいよねぇ。MPかぁ。マジックポイントって意味だよな。ステータスとか数字であるのかな?

色々調べて見るもステータスを見れる項目はみつからない。


「ステータス!」


試しに、前に読んだ漫画の様に手を伸ばして言ってみた物の何も起きなかった・・・。

・・・恥ずかしい!!!だけど誰も見てなくてよかった。


≪マスター、コノ世界デハ特にステータスト呼バレル物ヲ見レタリハシマセン≫


ひぃぃぃーーー、一人(?)だけ見てた奴がいたぁぁぁぁっぁーーー!ベットに飛び込んで悶える。

冷静を取り戻してから、人の失敗を覗いていたエルリードに思念を飛ばす。


≪なぁ、ステータスが見れないのにMPってどういう事なんだ?≫


≪MPトハ、空間中、アルイハ体内ニアル魔素ヲ回路ニ通ス事ニヨリ活性化シタ魔素ノ事トデス。マタ数値トシテ観測出来ナイダケデMPトイウ概念ハ存在シマス≫


≪という事は俺にもその回路があり魔術が使えるという事か?≫


≪ハイ、魔素ガホンノ僅カシカナク魔術回路ガ退化シタ地球生命体デモ、生命活動トイウ循環システムヲ回路ニ代替エ出来ルノデ、マスターモ魔術ガ使エル可能性ハ0%デハアリマセン≫


≪使える可能性が0%ではないって、なんだか凄く微妙な言い方なんだけど・・・≫


≪魔術ヲ使用スルニハ魔力ガ必要デス。魔力トハ活性化シタ魔素ヲ操ル(ちから)ノ事ヲイイマス。現在マスターノ魔力値ハ不明デス≫


≪因みにどうすれば魔力があがるんだ?≫


≪段階ヤ使ウ魔術ニヨリ内容ガ変ワリマスガ、一番最初ハ魔素ヲ意識スル事ト、ヨク言ワレテイマス≫


なるほどねぇ。意識かぁ・・・。うん、さっぱりわからん。まぁ暇みて、ヴァンに聞くか魔術ギルドにでも行ってみるかな。

そうだ、話がそれてたけど思い出した。スキルポイント割り振るんだったな。投げ捨てたスマートフォンを手に取り、試しに弾丸製造スキルを2レベルほど上げてみる。


弾丸製造 Lv1・OFF【アイテム袋に自動でBB弾(ホローポイント属性)が製造される。1/10秒/MP1】

  ・  Lv2・OFF【アイテム袋に自動でBB弾(焼夷属性)が製造される。1/20秒/MP2】

  ・  Lv3・OFF【アイテム袋に自動でBB弾(徹甲属性)が製造される。1/30秒/MP3 レベルUPまで必要ポイント3】


おお、スキルが追加されていったぞ!試しに製造してみると、ホローポイント属性弾が白地に灰色の水玉模様で、焼夷属性弾が赤地に一本黄色い線が入っていて、徹甲属性弾は黒地に白のラインが一本はいっている。

ふむふむ。なかなか面白いな。特に今は必要なスキルもないし取っておくことにしよう。

一応、今は弾製造もOFFにしておく。無暗にMP消費して体長崩しても嫌だしな。エルリードの話だと生命活動を利用するとか言ってたから良くは分からないが、注意必要そうだ。

それから一休みしようと、窓を開け外を見ると不思議な事に道路には人がほとんどいない。

どうしたものかと見てみると、何やら道路で男三人が悪さをしている。倒れているのは女の子とその母親か?

気になって、スナイパーライフルを取り出し、そのスコープで覗いて見る。

ありゃあ・・・イッキリーノじゃねぇーか。どうやら女の子が何かしたようで母親が誤っているらしい。それを蹴とばしているのか。酷い奴め。道路に人がいないのはアイツのせいか。

すると、イッキリーノは何を思ったのか、あの黒い魔剣を鞘から引き抜き、大きく振り上げている。

おい、あん馬鹿野郎!何やってんだ!!!

周りには誰もいないし、助けはこなさそうだ。残りの2人もイッキリーノの取り巻きっぽいしな。

くそ!間に合えよ!俺は慌てて、構えたまま、ボルトハンドルを起こしてから後ろに引き、すぐさま元に戻し、狙いをつけて引き金を引く。

弾丸はイッキリーノに向かって飛んで行ったが、イッキリーノのすぐ目の前で一瞬バリアの様な物が出てきて、音だけキーーンと響かせて弾は跳弾して消える。

あれが鎧の能力か。念の為、あと2発連射してみるが、同じだった。だが、有り難いことにイッキリーノは気が付き魔剣を振り下げるのをやめて周りを確認するがそこには誰もいない。

ここからは、推定150mほど離れているが、まさかそんな距離から狙撃されてるとは、イッキリーノは思ってもいないようだ。もっと近くをキョロキョロと探している。

こちらはカーテンの隙間から様子を確認する。しかし、スナイパーライフルの7.62NATO弾相当の威力を無効化するって恐ろしいな。

外での実験では、あのハンドガンの弾をはじくキラービーの頭に穴をあけ、周囲にひび割れさせる程の威力だった。

イッキリーノはバリアとの衝突音から大体の方向だけは分かっているようだ。取り巻きと一緒にコッチに向かってくる。

よし、いいぞ。あの親子に対する意識が3人ともなくなってきている。っていうか単純すぎる奴らだな。その方がこっちにとっては都合がいいので全く有り難い事ではある。

親子との距離もかなり開き、2人もズルズルと移動しながら建物の後ろに隠れた。よしよし、いいぞ。これならアレが使える。

俺は、袋からAPS-DREIを取り出す。スコープは無いがこの世界の仕様なら当たるだろう。それにさっき見たスキルの補正も入るはず。

普通のBB弾をすでに本体に付いている弾倉(マガジン)に込め、安全装置を解除して上部のBB弾をチャンバーに送るレバーを開く。そして今度は下部の空気圧縮レバーを引き上げてから、今一度引き戻して空気を圧縮する。最後に最初に開けたレバーを閉じて弾丸を固定する。

あとは、狙いを澄まして引き(トリガー)を引くだけだ。これは威力の説明がやばかったので一切使ってないが、まぁあのバリアが在れば大丈夫ではないだろうか?でもぶっちゃけ良く知らないんだよね対戦車榴弾の威力って。

カーテンの隙間からイッキリーノを狙う。命中精度を上げる為にライフルを構える様に左手はバレルに添えて両手でしっかり持つ。

バレルの端のフロントサイトの凸と本体の一番端にあるリアサイトの凹の凹凸を合わせて狙いをつけるとそのまま引き(トリガー)を絞るように引く。

そうすると、どんなエアーソフトガンより静かにパスンと小さな音を立て弾丸はイッキリーノに直進していく。予想通りバリアに防がれるがバリアに着弾した瞬間、突然、激しい音と共に爆発を引きおこす。

激しい爆発に取り巻き2人は吹っ飛ぶと地面で悶えている。

煙でイッキリーノが見えたのは数秒した後だった。確認すると奴はやはり無傷ではあるが、、何故か耳を塞いでしゃがんでいる。どうやら爆発の爆音までは防げなかったと見える。

しかし、あのバリアは戦車の装甲より頑丈なのか?いや、対戦車榴弾って装甲は壊せなくても衝撃で中の人を殺すんだっけか?

まぁ、どちらにしても転移2日目にしてボス級の防御力の人間が出てくるわけか。そんな事を思いながらBB弾をリロードして2発目を発射する。

今度は煙に構わず、残りの5発を立て続けに打ち込んだ。しかし、無傷。ライフルのスコープを外してバレ無い様にコッソリスコープ越しに細かく観察するも、別段傷がついてるようには思えない。

音響兵器としては効果があったものの、これは・・・どうなんだろうなぁ。まぁ御蔭で人殺しをしなくて済んだけれども。

外ではイッキリーノが、立ち上がり次の攻撃が来ない事を確認してから、反対側に取り巻きをほっといて走って逃げいった。音という耳にくるダメージは耐えきれなかったようだ。

ともあれ、あの愚か者にお灸を据える事が出来たので個人的には物凄く満足である。

これで、街が少しでも平和になればいいのだが。そう思いベットに転がると眠りにつくことにした。




お正月三日間で一気に投稿してきました。読んで頂いた方有難うございます。

明日からは早くても一日一話になる予定です。

これからもよろしくお願いいたいます。

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