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これがいわゆる森人の食事

魔樹の森から帰ると、綺麗な茶色の髪を持つ少女は起きておりベッドメイキングいるところだった。


それもそうだろう。私は徒歩30分程度で往復できる道のりを1時間半かけて帰ったのだから…。


その訳は自身のステータスにある。

私はLv.100以上だったが今のステータスには遠く及ばない。


…私の苦労は一体なんだったのだろうか?

さらにまだLv.5なのだ。

成長が計り知れない…。


「フィアットさん、おはようございます」

「ああ、おはよう。今朝食を用意しよう」


急いで朝食の準備に取りかかる。

バターがあったので、キノコとアオハの炒めものでも作ろうか


「君は何か食べられないものはないか?」

「お肉が…食べれないです。アレルギーがあって…」

「分かった。野菜などが中心だから大丈夫だ」


朝食で食べれないものはないようなので早速キッチンへ向かう。


私の知っている魔道具とキッチンにあるものは使い方が同じだった。

魔力を流すと火が出てくるものだった。


確か『異世界人』が考案したものだ。


「よし。さあ、食べてくれ」

「わあ、おいしそう!」


自身の手料理を誰かに食べさせたことがなかったため、少し不安だったが心配は無さそうだ。


それにしても美味しそうに食べてくれる。

…こんなのも悪くないと思ってしまった。


「森人の料理はお気に召したかな?」

「すごくおいしいです。こんな料理初めて食べました!」

「そうか。…ところで君の食事が終わったら、この辺りについて教えて貰えないだろうか?」 「説明不足でしたね。少し待っててくださいね」


そういうと少女は食事のペースを上げ、あっという間に平らげてしまった。




「じゃあ、改めて説明しますね」


彼女は地図を開き終え、ある場所に指を差しそう言った。


「ここが最南端にある魔樹の森で、この近くの国はリガタ王国、北の方にある国はツンドラ帝国、東の方の国が魔法国家マーリン、西の方の国が商業国ガリス、真ん中の国が精霊都市ティンベルです」

「ちなみに私はリガタ王国出身です」

「そうか。精霊都市というのはどういったところなのだろうか?」

「ティンベルは精霊が集まって造り上げた都市で、普通の人はほとんど入れないので詳しいことはよく分かってないんです」


なるほど。魔樹の森を知らない訳だ。

まさか本当にあったらしい…ここは異世界のようだ。

そういえば、『勇者』は異世界から召喚されていると聞いたことがあったな。


ということは

「…私が生まれ育った森もここにはないんだなぁ」


思わず溜め息と共に声が漏れてしまった。

ぼそっとしか漏れていなかったため、彼女は気付いていなかった。


…これからどうしたものだろうか

とりあえず、彼女と街中で暮らすことを最優先事項としよう。


此処だと買い出しも一苦労しそうな上、魔樹の森が近いが故に子供がいるのは危険だ。


「…もし、住むとしたら君はどの国に住みたい?」

「そうですねぇ…実は魔法に憧れがあって出来ればマーリンに住みたいです!」


「…そこには私もいるのだろうか?」

「ええ、もちろんです!」


…彼女は思った以上に耳がいいらしい。

私の独り言が聞こえてしまっていた。

恥ずかしいことに即答されてしまった…それが彼女の幼さから出た言葉だったのか、私を気遣って言った言葉だったのかは分からない。


…だが無性にむず痒い感情が込み上げてきた。

心のどこかでは嬉しく思っているのかもしれない。


…まったく子供というやつは


そういう彼女の顔はどこか幸せに見えた。

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