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エルフさんは幸せになりたい


あの子は…守れたのだろうか?

私は薄れゆく意識の中それだけが気がかりだった。


だが…、確認することは叶わないだろう…

私はきっともう……




…………!!?


……これは…一体どういうことだろう…?

死んでしまった筈の彼女が目覚めたのは覚えのないログハウスのベッドの上だった。


戸惑いつつも窓辺の方へ行き、地形を確認する。

…そこには彼女の知らない森が広がっていた。


…ここはどこだろうか?…少なくともこんな禍々しい森を私は知らない。


私は森人だ。森人は世界中の森の場所を把握しているが、…この森は書物に載っていなければ両親から話を聞かされたこともない。


彼女が抱いたそんな疑問は…声を掛けてきた一人の女性により解決した。


「お目覚めになりましたか。ここは魔樹の森近くの私の小屋です。」


「…魔樹の森?」


やはり聞いたことがない森だ。魔樹…というのも知らないがおおよそ魔力が関係しているのだろう。


「すまない。まだ感謝を言葉にしていなかったな。」


深呼吸で戸惑う気持ちを落ち着かせる。

聞きたいことはあるが礼節を欠いてはならない。


「この度は助けていただき感謝する。私はフィアット・ワルツという。貴女の名を教えてもらえないだろうか?」


「ご丁寧にどうも。私はナシアです。よろしくお願いしますねフィアットさん!」


最初に私の感じたしっかりした女性という印象は、彼女の歳相応の笑顔に書き換えられた。

やはり子供はこうあるべきだ。


「…ところで可笑しなことを聞くようだが魔樹の森とは?」


「ご存じないですか?では、説明させていただきますね。」


少女ナシアによると、ここはかつて人族と魔族とが

争った戦場で、その時の魔族の死体が新たに生えてきた木々の栄養になり、魔力をもつ樹木で埋めつくされ魔樹の森と呼ばれるようになったようだ。


魔樹は定期的に魔物を産み出すようで、今はまだその時期ではないらしい。


「君はすごいな。両親はいないのか?」


「……」


少女の声から明るさが消えた。

他に気配がないのでもしやと思ったが、その予想は外れてはくれなかった。


「…すまない。不躾だった。」


「いえ、気にしないでください。…大丈夫ですから…」


そういう少女はこちらを心配させまいとぎこちない笑顔を向けている。

我ながら何もできない自分が情けない。


「…フィアットさんはこれからどうなさるんですか?」


「…行く宛もないからな。君が迷惑でなければここに住まわせて貰えないだろうか?」


「…いいんですか?」


「いいも何も…決定権は君にある。残念なことにこの辺りの地理は詳しくないのでな。」


「…それじゃあ、これからよろしくお願いしますフィアットさん!!」


「任せておくといい。私は器用な方だからな。」


少女に少しだが元気良さが戻ったようだ。

私でも少しは人の役に立てたのだろうか…?


ーそんな想いを余所に日は沈んでいくのだった。




翌朝、朝食の準備をしている時に食糧が足りないことに気付き、私は今採集に出ている。


魔樹の森に生えている植物は食べれるか心配だったが、大丈夫なようだ。


「このキノコなどは体に良さそうだ。」


私には鑑定スキルがあり、この眼で視たものの詳細が解るため安全で高品質のものがすぐに集まった。


私自身も鑑定したが、なぜかLv.1になっていた。

経験値を対価に生き返ったのだろうか?

そこのところもこれから調べていかなければならない。


ーガサッ


茂みの向こうから猪?のような動物がこちらに向かって来ていた。


鑑定するとワイルドボアという魔物だと分かった。

条件反射で魔力弓で攻撃をする。


光輝く矢はワイルドボアを貫通し、消滅した。


…この威力はおかしい。私はLv.1なのだ。一撃で倒せるほどの威力はないだろう。それならばどうしてだろうか?ステータスを再度確認するともう一段階鑑定ができた。


フィアット・ワルツ Lv.5 年齢:253 森人族


 HP:126500 MP:126500


STR:126500 VIT:126500 DEX:126500


AGI:126500 INT:126500 MGI:126500


RMG:126500 LUK:126500 SP :126500


魔力属性:水、風、光


【スキル】

赤紫の魔眼 隠蔽ー 隠密ー 調合ー 言語翻訳


〔称号〕

森人族の英雄 *********














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