表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

緋色の目の少女

2章開幕と同時についにヒロインが登場します!

「シュベルト・カリバー」を造ってから2年が経った。あれから俺は、「珍しくて強い武器を造る鍛冶屋」としてそこそこ名前が知られるようになっていた。そんなある日、一人の客が武器作成の依頼をしてきたことから、後の運命が大きく変わるとはそのときの俺はまったく想像していなかったのだった。




 「武器作成を依頼したいのだけど。」


 店に入ってきたのは目が赤・・・と言うより緋色の少女だった。

 

 (女の人か・・・)「はい!どのような武器をお求めでしょうか?」


 「ドラゴンを倒せる武器。」


 「えぇ!?」


 「もしかして・・・最近話題になっている「赤龍」を討伐するつもりじゃあないですよね?」


 一がそう尋ねると少女は図星だと言うかのように黙り込む。


 一が転生してから1年が過ぎたころ、この世界では伝説の存在とされている「九神龍」を祭っていた「パルトルド龍神殿」が突如崩落し、そこから9つの光が飛び出したと周囲の村人は言ったらしい。だがそのすぐあとに紅い鱗にその身を包み、真紅の瞳を輝かせる赤き龍が村の上空に現れたらしい。その姿はまるで、神殿に祭られていた「九神龍」の一体である「赤龍」にそっくりだったらしい。


 しかし「赤龍」はその後、眼下の村を焼き払い、そこからあまり遠くない「イグニート火山帯」に自分の住みかを作ったらしい。その後、王都は騎士団を派遣したが、誰一人帰って来なかったらしい。


 一も最初は少しだけ怯えていたが、半年が過ぎたころには、


 「まあ、別に来てもいざとなったらジャックさんに武器を渡してさっさと逃げよう・・・。」


 などと思い始めるようになった。


 ジャックとは、あの一件以来度々この工房を訪れており、一度一緒にモンスター退治に行ったりもしているのだが、その話はまた今度することにする。


 そんな回想に浸る一に気づかず、少女は自分の話をする。


 「私のお父さんは王都の騎士団の一員で、お母さんはすごい魔術師だったの・・・なのに帰って来なかった!」


 「・・・わかりました。『ストレージ』」


 そう呟くと、一の右横に黒い穴が出現した。その中に手を入れていくつかの武器を取りだした。


 「なに・・・これ・・・?」


 なにが起こったのか飲み込めずに呆然とする少女。そんな彼女を見ながら一は淡々と説明を始めた。


 

 「空間物質保管魔法「ストレージ」。まぁ要するに小型のワープゲートみたいなもんです。じゃあ、この中から好きな武器を選んでください。」


 迷った少女だったが、ある武器に目がとまった。


 「じ、じゃあこれで・・・。」


 そう言って彼女が一に差し出したのは、


 「『ヴェイルシス』か・・・なかなか見る目が高いようで。」


 魔力弾丸装填式リボルバー拳銃「ヴェイルシス」小型のマナタイトストーンを埋め込んだ弾丸を採用することで、属性ごとの銃撃を可能にしている。


 「じゃあ、代金についてのお話を・・・」


 そう言って小屋に備え付けてある机に向かう一。


 「えっと・・・「ヴェイルシス」の代金が32000メイヤ。弾丸の値段が一ダース3000メイヤで、それが3ダースあれば十分か・・・合計で41000メイヤですね。」


 「そ、そんなにするの・・・?」


 「え、ええまあ。なにぶんここの採掘場の中で一番貴重な「ハードメタル」を使用してますからね。」


 彼女はしばらく震えていると、突然顔を上げ、


 「あなたと一緒に「赤龍」を討伐すればいいじゃない!」


 「・・・は?」


 「私の名前は『ウルス』。よろしくね!鍛冶屋さん!!」


 これが、一と少女・・・ウルスとの出会いであった。

 

誤字・脱字・感想はコメント欄におねがいします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ