一の過去 後編 そして転生
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今回は前半は一視点、後半は第三者視点で執筆しています。
普通、刃物を持っている人間を見たら 怖い とか どうしようとかって考えると思う。
でも俺の思考はそんなことを考えさせてくれなかった。
いや、なにも考えさせてくれなかった。
とっさに飛び出した俺の体は結を突き飛ばした。しかし同時に父さんの振るった包丁が俺の脇腹を切り裂いた。
「---!!」
言葉にならない痛みが俺の体を貫いた。
「・・べぇ・・・やべぇよ・・・」
意識が朦朧とする中で父さんの焦った様な声が聞こえる。
「ゆ・・・い・・・。」
「喋らないで!今救急車を呼ぶから!」
「へへっ、たぶん・・・もう間に合わねーよ。」
途切れることのない痛みに抗いながら、結に最後の言葉を告げる。
「おまえは・・・自分のやりたいことをやれよ・・・?」
その言葉の後、俺は痛みに抗うのを辞めて目を閉じた
目が覚めるとあたりは薄暗く一は椅子に座っていた。
「ここは・・・天国か?」
「合ってるとも言えるし、合ってないとも言えるよー。」
見覚えの無い声が聞こえ、一が後ろを向くがそこには誰もいない。
「にゃはは、こっちだよ。」
前を向くと青い服を纏い透明の羽衣を羽織った女性だった。
「ゴホン。初めまして、篠宮 一君。私はエルゼ。君たちからしたら神様ってことになるのかな?」
「神様って・・・それで私に何の御用でしょうか?」
「堅苦しい口調だなーもっとフラットに話せないの?まぁいいや。えっとね、一君にはすごく後悔の残る人生だったでしょ?」
「同情ですか?」
「ちがうよー。君、鍛冶師になりたかったんでしょ?」
「・・・なんで知っているんですか?」
「だーかーらー私は神様だよ?下界のことを見てたから君のことも知ってるの。・・・で?なりたかったんでしょ?」
唖然とする一だったが、正直に
「なりたかった・・・です。まぁもう死んじゃったので叶いませんけどね。」
エルゼはにやっと笑うと
「その夢・・・叶うよ?」
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