試験
ペースが落ちてから初めての投稿です。
仕事が・・・きつい。
「えっと・・・どういう事ですか?」
「えっと・・・お金は赤龍の討伐素材でチャラにならない?」
正直、チャラなんてもんじゃない。未知の素材を手に入れられる・・・一瞬考えた一だったが、
「いやいや、着いていくって話ですけど・・・俺、邪魔になりますよね・・・?」
「ジャックさんって人が「外」に遊びに行く時用に自衛はできる。・・・って言ってたけど。」
ジャックさぁぁぁぁん!!内心絶叫しながら、無理な条件を出せば・・・と思いたった一だが・・・
「あ、もう敬語はいらないよ!」
「・・・お前の実力を見たいんだけど、「魔法適正」は?」
一が二年間で「魔法適正」と言う単語があるのを知った。「属性魔力」には得意不得意があると言うことだけだが実力を指す言葉としても使われている。
ちなみに一は・・・
適正A・・・火、風、雷、氷
適正B・・・水、土
適正C・・・闇、氷
「えっと、火、水、風、土、光がAで残りが全部C・・・です。」
一は内心驚愕した。適正はAが平均2つで、4つある一でもとても驚かれたのだ。
「もともと武器は持っていたのか?」
「お母さんがくれた杖とお父さんがくれた・・・」
そう言ってウルスがポケットから取り出したのは手に収まるサイズの刀だった。その形に一は見覚えがあった。
「『シックルセイバー』・・・!?。て事はお前のお父さんってバルド軍曹か!」
隠密性極薄剣「シックルセイバー」・・・言いかえれば手裏剣だが、その武器を渡したのは、一人しか思い浮かばなかった。
バルド軍曹は王都騎士団の元軍曹で1年ほど前に一の工房に武器作成を依頼をしに来た人だった。
・・・なるほどな。適正が高いわけだ。バルドさんも魔法適正が高かったからな・・・などと考えていると、
「やっぱりぃ!お父さんが言ってたとうりだぁ!」
「お父さんが言ってたってなにを?」
「『困った時はハジメさんに頼りなさい』って言っていたから・・・。」
「・・・じゃあ着いて来いてこい。」
そう言って一とウルスがやって来たのは、一がよく訪れている採掘場の最下層だった。
「ここになにかあるの?」
一が採掘場の壁に触れ、魔力を流し込むと、突如壁が動きはじめ、奥が暗い空間へ繋がる階段が出現した。
「な・・・なにこれ?」
ウルスが驚愕しながら一に尋ねると、
「『セントレアダンジョン』。ダンジョンは聞いたことあるだろ?」
そう淡々と告げた。
この世界のダンジョンは最下層に納められている「神器」の強さのレベルによって難易度が変わる。
ちなみにセントレアダンジョンの神器は1年前にジャックと一が攻略したときに、一が回収している。そのため、今のダンジョンのモンスターの種類は固定で1年前よりずっと最下層に到達するのは容易になっている。
「ウルス。俺がこれから言う事を達成できたら、お前の「赤龍」討伐。手伝ってやるよ。」
「ほ・・・ほんと?」
「いまから10時間以内に地上に一回も帰ってこないで、このダンジョンの最下層にある「感知鉱石」を採ってきたら、だけどな。ただし、『シックルセイバー』を使うのは禁止。使っていいのは杖と『ヴェイルシス』だけな。」
「どうして使っちゃいけないの?」
「単純に扱いが難しいから。バルド軍曹用にオーダーメイドで造ったのに・・・。」
「ば・・・ばかにしないでよ!」
「俺でもたぶん出来ないから言ってるの。」
ウルスは一の言葉にふくれっ面になるやいなや階段を下りてダンジョンに向かってしまった。
「あいつ・・・「感知鉱石」の形知ってんのかな?」
一人になり、静かになった一の声が採掘場に響いた。
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