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幼年期 八話 『魔法と祝い』

一気に書き上げたので誤字があったら報告していただけると嬉しいです。

グラン邸の庭は2500平方メートルほどで中央にはちょっとした噴水がある。俺はいつも噴水を壊さないように庭の端で魔法の鍛練をしている。鍛練は黄魔法、赤魔法、白魔法の順に日替わりに練習をしているのだ。


俺はランニングをするために体のストレッチを始めた。魔法は基本的に体力は使わないが精神力と集中力を使うのでランニングなんか必要ないのだが、後々は魔法だけではなく剣術も習得したいので体も少しだげ鍛えておく。


小さいからだなので肺活量も少なく、五週も庭を回れば息を切らしていた。なんとか十週走りきって給水をしてようやく魔法の練習をし始める。


黄魔法の初級魔法は『ショック』で対象とする生き物を数秒間麻痺させる効果だ。しかし、『ショック』は他の魔法で打ち消し易いし、動体視力が良いものだとかわせれる攻撃だ。もし、対人戦になるとしたら初っぱなから不意で発動しないとあまり使えない。


ちょうど小鳥が噴水の水を飲んでいるので俺は『ショック』を発動する。鳥は「ピピィ…」と鳴きながら倒れ小刻みに震えてる。五秒もするとその鳥は起き上がり、いそいそと空へと飛び立っていった。魔法は積み重ねが大事なので初級魔法でも毎日必ず使っているようにしている。


次に中級魔法の『プラズマ』の練習をする。この魔法はつい最近使えるようになったばかりでまだ素早く発動できない。俺はイメージする。『プラズマ』は手のひらから目に見えるほどの電流を発生させて対象に当てる魔法だ。この魔法は中級魔法にしては威力が高いが今の俺のように発動前に時間をくってしまう。


「はっ!」


俺は手のひらを噴水に向けて『プラズマ』を使う。すると勢いよく黄色い電流が出て噴水に当たった。噴水の中の水はしばらくバチバチと音をたてていた。成功だ。前回よりも威力も上がっていて素早く発動できた。ふと思ったのだがこれだけの威力を持ちながらなぜ俺は平然としていられるのだろう。手のひらから出しているのだから自分にも『プラズマ』が当たっているはずなのだが…。


噴水の隣にあるイスに座りながら魔法のことについて考える。出た結論は結局「わからない」だった。さっきよりも日は昇っていてそろそろお昼時なので俺は屋敷の食堂へと向かった。


「「ルキ!誕生日おめでとう!!」」


「「おめでとうございます。ルキ様。」」


食堂のドアを開けたとたん。屋敷の皆が集まってそんな言葉をかけてくる。今日は俺の三歳の誕生日だったのか…。ああ、そういえばこのアミノマ王国では三の倍数で誕生日を祝う習慣があったっけな。成人するのは18歳だったし。


俺は一瞬戸惑った。が、使用人の皆もお母様もお父様も笑顔で俺を迎えてくれて、奥にはご馳走があるの見てしまったら俺は自然と涙を流していた。


「ありがとう…ございます。」


この一言で俺は精一杯だった。俺の心は心地よい温かさで溢れていてあんまり声を出すと泣いてしまいそうだっからだ。


「あらあら、三歳は感動して泣かないで素直に喜ぶところよ?」


お母様の言葉で皆が笑う。そのお母様自身も自分の息子の様子を見て涙目になりながら震えた声で言っているからだろう。


俺は涙を拭い。大きな声で


「ありがとうございます!これからも末永くお願いします!皆大好き!!」


ちょっぴり恥ずかしかったがすべて素直に言った。


「さあさあ、今日は祝いの日だ!マーゴットもペッツも皆でルキを祝おうではないか!」


お父様の声で一番に反応したのはおそらくこの祝いに招待されているダリエル団長だった。


「さすがだぜグランの旦那、俺はそういうところを気に入っているだ。さあ、昼間から飲むぞ~!」


ダリエル団長が遠慮なく行動してくれたので使用人たちも会食し始める。俺はグラスにオレンジジュースを注いで各自挨拶に来る人たちの合間に飲んだ。最初に来たのは両親だった。


「もう、ルキも三歳なのね…成長は早いわ…。おめでとう愛しのルキ!」


やめてくれよ…。そんなまだ涙目の状態で言われたらまた涙を流しそうだ。


「ありがとうございます。これからもそんな優しいお母様でいてください。僕はお母様のおかげで毎日が幸せです!」


その言葉を聞いてお母様はハンカチをもって急いで俺から離れる。お母様の代わりにお父様が俺に話しかけてくる。


「ごめんな…サラちょっと感動しすぎたみたいだ。改めてルキ、おめでとう。そしてここまで成長してくれてありがとう。何か欲しいものはあるか?俺は王都で忙しくてなかなかお前にかまってやれなかったからな…」


「そんなことないですよ、お父様も仕事の合間に僕に顔を出してくれたじゃないですか。優しく、領民に愛されるお父様は僕の目標であり誇りです。あ、そろそろ一日中書物庫にいるのはやめて街に出ようと思うのでお金が少しだけ欲しいです。」


「はは、本当に三歳なのか?ありがとう。俺もお前は自慢の息子だと思ってるよ。やっと屋敷を出てくれるのか…ちょっと心配してたんだぞ?お前が引きこもり過ぎて。」


笑いながら俺たちは会話をする。久しぶりだなお父様と会話するのは。それとなく別れた後はメイド長のマーゴットさんとアゲダさんが来てくれた。


「ルキ様もご立派になられましたね。今後ともなんなりと私共を使ってください。」


ちょっと堅苦しいのはマーゴットさんらしいな。マーゴットさんはアゲダさん異常にいつも丁寧で俺がちょっと苦手なタイプだ。でも俺を影から支えてくれる大切な人だ。


「ありがとうございます。マーゴットさん。これからもよろしくお願いいたします。」


俺も丁寧に礼をしておいた。マーゴットさんはちょっと堅苦しい表情を緩めて微笑んだ気がする。


「ルキ様。おめでとうございます。私は専属メイドとしていつもルキ様を見てきたつもりでしたが改めてみるとよく成長なさいました。失礼かもしれませんが私はここまで成長してくれてありがとうと勝手に思っているところです。」


アゲダさんと俺との付き合いは一番長い。本当に俺はアゲダさんのおかげで助かっている。赤ん坊のときから普通嫌であろうことも表情一つ崩さずやって来てくれたのだ。


「ありがとうございます。アゲダさん。あなたがいることによって僕はもの凄く助かっています。これからも僕の専属メイドとして自分を支えてくれますか?」


「ふふふ、もちろんです。こちらからお願いするつもりでしたよ。」


メイドたちの次はさっきまで豪快にしかし、どこか品のある食べ方をしていたダリエル団長が来た。


「おめでとうルキよ、大きくなったな。最初は体の弱い奴だと思っていたが最近は随分とたくましくなったじゃないか。何か俺にできることがあったら何でもしてやるぞ。はっはっは。」


ダリエル団長は屋敷で何度も会ったことも話したこともある俺の数少ない知り合いだ。彼は基本的に敬語を使わない。でもそのおかげですぐに親しくなれる。


「ありがとうございます。そうですね、もう少ししたら対人戦とかにもてを出してみたいので剣術とか馬術とかを教えたくれませんか?」


「ほぅ、なかなか面白いことを言うじゃないか。これは鍛えがいがある。と言いたいところだがあいにく俺も暇ではなくてな代わりに教育係をお前に付けよう。現役は引退していて少々老いてはいるが剣術の猛者だ。」


「ありがとうございます!」


「なに、お安いご用さ。はっはっは!」


そう言って彼は食事に戻っていった。俺はああいうダリエル団長のところが好きだ。ダリエル団長の次は料理人のペッツさんが来た。


「おめでとうございます。ルキ様、大きくなられました。私としても嬉しい限りです。」


「ありがとうございます。それもこれもペッツが毎日栄養のある。料理を作ってくれるからです。いつもありがとうございます。」


ペッツさんはニッコリとして


「ありがとうございます。では」


と短く答えて調理場へと消えていった。きっとダリエル団長が沢山食べているから料理の追加をしに行ったのだろう。


一通り挨拶が終わった後俺もようやく料理にありつけて食事をし始めた。うん、いつもよりよさらに美味しく感じられる。俺は幸せものだ。


ほとなくして、俺の誕生日パーティーは終了した。食事の後も多目的室へ移動して皆でダンスをしたり歌を歌ったりしたのだ。俺は疲れきって祝いが終わったら自分の部屋へと直行してすぐ眠りについた。その日はいい夢が見れたのを覚えている。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回の投稿はおそらく水曜日になるかと。


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