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少年期 四話 『コーネリアスの猛攻』

今日は今後の主要キャラを出すよん。

「らぁ!」


手刀を首もとに叩き込み対戦相手はがくりと地面に倒れこむ。とりあえずは5勝くらいしたが未だに手応えのある強い奴とは当たっていない。勝ちを重ねていく度に観客が湧いてくれるのは嬉しいのだがこの程度だったとは期待し過ぎたのかもしれない。


「ルキ、お疲れ。」


「ああ、ありがとう。」


控え室に戻ってくるとフィリナは笑顔を見せて話しかけてくるが今も悔しくてきっとモヤモヤしているだろう。彼女は2回戦目で負けてしまったのだから。一応『ブレンチキャプチャー』という捕獲、拘束緑魔法を使えるが対人相手に手間取って上手くいかなかったらしい。


「ルキ選手、次は2試合後です。」


「わかりました。」


休憩していると係員が次の試合がいつ始まるか教えてくれに来た。そろそろ強い人が出てきてもおかしくない頃合いなのだが果たして。俺は自分の番になったので広間に向かう。


「やぁ、君が今噂になっているルキ君かい?」


「え、子供?」


どうせまた同じ様な相手が来るのだろうと重い足取り来るとそこで待ち構えてたのは美しい顔立ちをしている子供だった。試合は勝ち残り戦、ここまで残ってきているということはこの子供相当強いはずだ。


「君だって子供だろう?僕の名はコーネリアス・エーリー、数試合見させてもらったけど君強いよね。僕よりではないけど。」


喋り方にして見た目以上の精神年齢だ。どこぞのボンボンとはやはり大違い。


「ん、俺はルキ・グラン。ちょっとその言い方は頭に来るんだけどコーネリアス?」


姓があり衣服も貴族服着ているから彼は貴族か。お互いに名乗りあったところで鐘が鳴る。


「はは、結構。まぁ自己紹介は闘いで語ろうかっ!」


コーネリアスは腰に携えてた剣を抜刀し、こちらに向かってくる。しかし体が同じというのになぜ普通の剣が使えるのか……。俺も短剣を抜刀する。


「君、まだ1度もそれを使ってないよ、ねっ!」


「っ、生憎使うような相手がいなかったからね。」


俺は短剣で彼の攻撃を防ぎ金属がぶつかり合う甲高い音が響く。そしてお互いに引くことなく剣を交えたまま動かない、いや動けない。


「へぇ、結構力あるじゃん。じゃあもうちょっと強くしちゃおうかな!」


直後、コーネリアスの身体の周りに白いオーラが現れたと思えば急に力が強くなる。『ブースト』か……?ではないとその大きさの剣も使えるのか。俺はその力に耐えきれずに浮遊魔法を使い離脱する。


「逃がさないよ!」


しかし彼は跳躍して俺を追い詰める。こいつ4メートルは跳んでいるぞ!お父様並の『ブースト』か!?


「おらぁ!」


「ぐあっ!!」


彼の矛先は辛うじて短剣で受け止められたものの俺は体勢と魔法を崩されて地面に叩きつけられる。次の攻撃をもろに受けないために直ぐに立ち直る。


「中々、強い人に当たらなくてね君みたいなのを待っていたんだ。もっと僕を楽しませてくれよ!」


幾度となく強烈な攻撃を叩きつけてくる。その彼の剣を受け止めるだけで精一杯なはずの自分なのに不思議と微笑してしまう。


「ははは……こっちのセリフだな!剣よ真紅を纏え!!」


ただの短剣だったのが炎を纏った大剣になったことで形勢は逆転し、今度はこっちが攻める番になる。


「熱っ!何だその魔法は!!」


「名前は無いオリジナルの魔法だ、さぁ闘いを楽しむんじゃなかったのか!」


コーネリアスは先程まで勝ち誇った顔だったが今は苦しそうな顔をしている。しかしそれも一瞬だった、直ぐに彼は微笑する。その行動から俺と彼は恐らく同じ心境をしていると察した。まさに似た者同士とはこのこと。


「ふはは!そうだよ、闘いっていうのはこういうものだ……『ホワイトアウト』!」


彼がそう言い放ってから辺りは光に包まれた。しかし客の歓声も聞こえるし、感覚器官は機能している。なんだこれは!俺が困惑しているといきなり横腹に痛みが走る。


「本当は使いたくなかったとっておきだけどオリジナルにはオリジナルで対抗だ。ふふ、君の目には白く明るく何も無い世界が広がっているだろう?」


「ごふっ!」


体を起き上がらせようとすると今度は腹に激痛が走る。っ!コーネリアスめ、蹴りで攻撃してきている。また蹴りが飛んできそうなので俺は適当に回避する。


「おっと、避けられたか。でもそんなこといつまで続けてられるかな!」


早く対策を考えなければただ痛め付けられて終わりだ。どうする……?耳の側で空気を切る音が聞こえる。もう蹴りはやめて剣で攻撃してきたか!


「くそっ!」


俺は剣を振り回してとりあえずは間合いを詰めさせないように対抗してみせるがいずれ見切られ『ブースト』を使い、切り込まれるだろう。対策を考えられるタイムリミットはそれまでだ。


「人は追い込まれるほど強くなる。今の君のようにね。」


彼の言う通り、俺は魔物に取り囲まれた絶対的に危険な状況を剣に炎を纏わせ範囲攻撃を可能にして切り抜けた前例がある。今回もこのように閃けばいいのだが……。纏わせる…そうだ思い付いたぞ!


「何も打開策は出してこないのか……。」


しばらく経つとコーネリアスは不服そうにそう言った。俺は何も答えない。


「さすがに『ホワイトアウト』は少々やり過ぎたかなっ!」


微かに聞こえる地面を蹴る音。切り込んで来るこの時を逆に利用してやる!


「はぁっ!」


俺は全魔力をもってして自身の体に電気を纏わせた。電気を自分には通さぬようにとイメージして自分にはダメージが無かったが失敗したら自爆行為だった。


「なっ、ぐぁああ!!」


どさりと体が地面に倒れる音がする。死にはしないにしても全身麻痺、少なくとも『ショック』以上の効果はあるだろう。俺も地面に膝をつける。


「何も纏わすものは炎で剣だけ…じゃないんだ……。」


「くっ…体が言うことをきかない!」


彼の魔法が制御不能になり視界が元に戻る。俺は何とか起き上がり最後の力を振り絞りコーネリアスを気絶させる。


「ぐあっ……。」


そして俺が弱々しく拳を空へと向けて勝率を示すと観客が今日一番の歓声を俺に浴びせてくれた。これがコロッセウムというものか!


ここまで読んでくれてありがとうございます。

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