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幼年期 二十五話 『闘技大会コロッセウム』

誤字があれば報告してくれると助かります。

宮殿にやって来たものの人気がまったくと言っていいほどない。メインイベントが開催されているんじゃなかったのか?


「ルキ様、この宮殿の奥へ案内します。」


フレッドがそう言ったので大人しく俺とフィリナはついていく。確かそのコロッセウムは平民も参加できると聞いている。宮殿に貴族以外のものはどうやって参加しているのだろうか。そんなどうだっていいことを考えているうちに何やら歓声のような声が奥は行くにつれて大きくなっていく。


「着きました。」


そこには宮殿の裏側なのに随分と大きいドアがあった。裏口と言うには少し大きすぎると思いながらフレッドと共にドアをあける。


ドアを開けた瞬間に熱気と人びとの歓声が俺たちを出迎えてくれた。


「ここが闘技大会コロッセウムですぞ!」


「うわぁ!すごぉぉい!!」


「本当…すごいな。」


あまりの壮大さに思わず心中で感じたことを呟いてしまう。心なしかフレッドも興奮しているように見える。ここはドーム型になっていて中央の広間を囲むようにして客席がある。宮殿側は貴族の特等席になっておるようで貴族しかいない。逆に向こう側は平民たちがいる。


「さぁ、席に着きましょう!」


促されるままに席に着いたものの前の人が立って観戦していて良く見えない。いくら特等席になっていて幾分か見易くなっていても俺の身長では到底見ることはできない。


「失礼します。」


困っているとフレッドがひょいと体を持ち上げてくれた。もう片方の腕にはフィリナが乗っている。


「ありがとう。」


「ありがとうございます!」


フレッドは本当に気転が利く人だ。もう護衛じゃなくて執事、いや家族のようだな。ともあれようやくこれで中央が良く見える。


「ちょうど開会式が終わって試合が始まる頃ですね。」


「試合?」


「はい、ここは闘技大会という名のまま、あの中央で闘ってもらいます。殺しは原則無しにしていますが両者が敗けを認めるか継続不可能になるまで行います。貴族の部下や屈強な冒険者が多額の賞金を目当てにやって来ます。」


これはまた貴族が好きそうな行事だことだ。しかし、これは興味が湧いてきた。


「これは何でもありな試合何ですか?」


フィリナもまた、興味がありそうにフレッドに問いかける。


「はい。魔法で、拳で、または大会側が用意した武器を使用して闘う者もいますよ。」


彼が言い終わった途端、よりいっそう会場が沸いた。おそらく始めの選手が入場したのだろう。俺らもそちらに目を向ける。…嘘だろ?何でお父様がいるんだ?


「はっはっは!今回はあのグラン様も参加しておられるのか!これは楽しみですな。」


「フレッド!なぜあそこにお父様がいるんだ!!」


「選手も貴族、平民と参加が自由なんですよ。年齢は六歳からですけどね。」


お父様がさっき言っていた意味深なことはこういうことだったのか。極魔法が使えるお父様なら敗けることはないだろうがこれだけ大きな大会だ。万が一もあるかもしれない。


「すごいねルキ!お父様があそこにいるよ!!」


「…まぁ確かに貴族がこういうのに出るのは勇気がいるよ。」


もしそこら辺の奴等に敗けたら貴族たちに馬鹿にされてしまう。馬鹿にされるまではいかなくとも居心地は悪くなってしまう。


コーンと試合開始の鐘が会場に鳴り響くと同時にお父様の対戦相手が倒れる。起き上がる様子はない。その様子で一旦会場が静まり返るがすぐに大きな歓声の声で帰ってくる。対戦相手も体ががっしりしていていかにも強そうな冒険者だったのになぜ一瞬にして倒れたんだ?


「あれはグラン様お得意の白魔法、『ブースト』ですね。先の襲撃にも使用しておられました。身体能力を大幅に上げる上級魔法です。」


何が何だがわからない俺たちにフレッドが解説をしてくれる。なるほど。あれで一瞬にして剣を抜刀していたのか…。あの盗賊襲撃の日からじっと疑問に思ってきた一つが解消した。


「フレッドさんはお父様の動きが見えるんですか?」


「ええ、これは白魔法の『サーチ』で見ることができます。白魔法が使えなくとも大抵の人は魔力を目に集中させることでちょっとは見ることが出来ますよ。もっとも、集中させただけではなんの魔法でもないので全く見えないからほとんど見えないに変わるだけですが。」


白魔法か、それなら助かった。何とかお父様の動きにはついていけるな。


「そういてばルキ様も『ブースト』を使っておられましたよね。あれはどうやって…」


フレッドが俺に何かを訊いているが次の選手入場の歓声で何を言っているのかわからない。


「フレッド?何か言った?」


「…いいえ。次の試合を見ましょう!」


「今度はエルマン伯爵様だよ!ルキ!!」


次の試合も驚いたことにエルマン卿が選手として出ていた。試合開始の鐘が鳴る。お父様の時とは違い、今度は対戦相手から仕掛けてくる。対戦相手は小柄な男性だか剣を両手に持っていてエルマン卿に襲いかかる。が、男性はいきなり地面に倒れる。まるで何か重いものをいきなり持たされたように。


「あれは?」


「…私にもわかりませんがおそらく闇魔法でしょう。」


フレッドでもわからない魔法。一体どんな魔法をエルマン卿は使っているんだ?試合前のお父様と彼の会話から何やらライバル同士のようだが…。


「そういえばこの試合はどういう形式ですか?」


「勝ち残り戦です。グラン様とエルマン様が出ているということはきっと闘いますな!はっはっ!」


フレッドも歳に見合わずウズウズした様子でいる。気付けば俺も嬉しさか楽しさかわからないが鳥肌がたっていた。お父様、祭りのメインイベント期待以上だったよ!

ここまで読んでくれてありがとうございます。

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