幼年期 二十四話 『コロッセウム?』
内容薄めですいません。
お父様のことだろうからきっとあまり気にしないで俺とパベルのことを見ていたのだろうけどもしも大事になったらどう言い訳するのだろうか。しかし、ああいう奴をちょっと懲らしめてやるのは実に愉快になる。
「お父様、お母様見ていたのなら止めてくれたっていいんですよ?」
「子供同士の喧嘩にわざわざ親が入る必要はないと思うぞ?…まぁそれなりに楽しめたよ。」
やはりお父様は楽しんでいた。ニヤニヤとしている。
「ふふふ、ルキ強いのね。でもね、ああいう憎たらしい子にはもっとこうガツンと!」
ああ、お母様まで。俺が呆れた様子をしているとエルマン卿が話しかけてきた。
「親に不満を感じているのか?」
不満とは違ったような変な気持ちだ。確かにお母様とお父様の行動には異議を立てたいところがある。けれど、なんだかこの家族と一緒にいると心がけ安らぎ、あたたかくなる。
「いいえ、エルマン伯爵様。僕はグランとして生まれてとても幸せです。」
「そうか…いい子じゃないかルーシーの血があるというのに。」
「おい、一言多いぞ。」
エルマン卿はとても冷静で賢い人だろう。俺の第一印象はそうだ。
「エルマン伯爵様とお父様はどういう仲何ですか?確かさっき…友達に会いに行くとか……。」
フィリナがそう訊く。
「ルーシーとは魔法士官学校から今までの仲でね。私とは正反対の性格だが何かと気が合う。ところで君は?男の子だけだと聞いていたが。」
フィリナはもともとグラン家の人間じゃなく、獣人だ。まさかとは思うがエルマン卿は人間至上主義じゃないだろうな?フィリナもそれは分かっているらしくどう返答していいか戸惑っている。すかさずお母様がサポートに入る。
「話は別の所で話しましょう?ずっと立ち話する気は無いわよ。」
俺らは貴族が大勢いる食堂を後にした。散々だったような少し愉しかったような朝食だった。
「…そうか、そんなことがあったのか。君は獣人。しかし生む親は違えど君はもう立派なグラン家の一員だな。」
「えへへ、ありがとうございます!」
エルマン卿のグラン家は宮殿のある一室にいる。会談室か何かの部屋だろう。彼は獣人を差別するような人ではなくて良かったと俺は安堵する。
「ううむ。もうこんな時間か。そろそろコロッセウムの受付が終わる頃だな。」
つられて俺も時計を見ると長針は10時過ぎを示していた。エルマン卿とはフィリナのことだけではなく、最近あったことや今までグラン家がどうしていたかなど沢山喋ったのに関わらず、暇なく過ごせた。しかし、そのコロッセウムとやらは何だろう。
「コロッセウム?何ですかそれは?」
「んん?聞いていないのか?そいつはな…」
「ああ!ロビン!!これ以上は言うな。」
エルマン卿がせっかく説明しようとしてくれていたのにお父様が遮る。きっとこれをお父様は隠してきたんだ。
「ふふふ、ごめんなさいねエルマン卿。ルーシーはルキを驚かせたいのよ。」
「…まぁいい。それじゃあまた後でな。」
「ロビン、今回は俺も参加させてもらう。」
お父様が意味深なことを言った瞬間二人ともニヤリとする。そしてエルマン卿は部屋を出ていった。
受付、彼はそう言った。受付?参加するために必要なものか?でもそれじゃあ俺らも受付しなくちゃいけない。
「お父様、俺たちも参加しましょう。」
「ルキにはちょっと早いかなー?」
お母様、参加できなかったらお父様があそこまで溜めた意味がないんじゃ?
「大丈夫だ。それじゃあ俺も準備があるからそろそろ行くぞ?ルキ、楽しめよ。」
そう言ってお父様もどこかへ行ってしまう。まったく、何をしたいのか。なんだか疲れてきた。
「お母様、そのコロッセウムってのは午後のいつから始まるんですか?」
「フィリナも興味があるの?そうね、確か1時頃のはずよ。」
約3時間後か。それまでは何をして暇を潰そうか……。商店街では祭がやっているからフィリナとお母様でちょっと回ってみるかな。
「フィリナ…」
「ルキ…」
丁度、フィリナに話しかけようとしたら彼女も同時に俺に話しかけようとした。
「お…お先にどうぞ?」
「え、うん。コロッセウムが始まるまで暇だろ?ちょっと街を回ってみない?」
「丁度私もそう思ってた頃なの…。」
側でお母様があらあらと微笑んでいる。何だが気まずい。
「じゃあ早速行こう!」
あれからしばらくして午後の1時になり、俺らは再び宮殿に戻った。祭は…フレッドを合わせて3人だったはずなのに後ろからずっと監視されてるような気配がして気が気でなかった。後で分かったことなのだがどうやらお母様だったらしい。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
目標は高くもつ!(涙)