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幼年期 九話 『庭にいた者』

異世界物は展開が早い方が丁度良いとどこかのサイトで載っていたのでなるべく早くします。

昨日のパーティーで疲れていつもより早く床についたが夜中に目覚めることなく眠れた。さて、今日は赤魔法の鍛練の日だ。昨日のように軽く朝食を食べた後に庭へ向かう。


庭の噴水の側に人影が見えた。こんな朝早くに屋敷内にいるのだから俺は当然ながら慎重に近づく。


「あの、どなたですか?」


恐る恐る問いかける。人影の正体はダリエル団長よりも少し老いていて、ちょうど初老にさしかかったような人だった。


「おはようございます、ルキ様。私はフレッドと申します。今日からルキ様の護衛兼、剣術の教師を務めさせていただきます。」


「おはようございます、フレッドさん?」


そういえば昨日ダリエル団長が剣術の稽古をしてくれる人をつけてやると言ってくれたっけ。それがこの人なのか。思っていたよりも随分と早く来たな。


「なぜ、庭にいたのですか?」


「ダリエル団長から聞きましたよ。朝早くから心身のトレーニングを庭で行っていると。なるべく早く稽古をつけた方がルキ様のためになるかと思いまして。」


「稽古については納得しました。しかし護衛とは?」


「ルキ様はこれから街に出たり王都へと出向いたりしますので私が護衛をします。」


「なるほど。」


一応俺も貴族だもんな。街に出向くとなると護衛がつくのは当然だな。


「今から剣術の稽古をつけてくれるのですか?」


「はい。しかし、ルキ様の日課を壊すつもりはありません。魔法の練習の後や今日じゃなくても構いません。」


「では、魔法の鍛練の後に。」


どうやらこの日課は崩さなくてすみそうだ。正直、剣術よりも魔法の方にどちらかと言うと力をつけたいしな。


俺はいつものように準備運動をした後にランニング、給水をする一連の動きをした。その間もフレッドさんは興味深く俺のことを観察していた。給水をしているときにフレッドさんが短く邪魔にならない程度に話しかけてきた。


「感心ですな。3歳のときからこの体力とは…将来は有望です。」


「ありがとうございます。」


ふむ、この程度で褒められるのか。じゃあ中級魔法を使えることを示したらどんな感想を言ってくれるのだろうか。少々の期待を込めて魔法の鍛練へととりかかる。


俺が使えるのは本に書いていた基本的な魔法しか使えない。本物の魔導師は、ほとんどオリジナルの魔法を使ってくる。しかし、それも基本の技の応用。しっかりと初級から魔法を積み重ねていかなければならない。赤魔法も同様に初級から練習していく。


俺は人差し指を立ててそこに意識を集中させる。すると、指先から火が出る。これが『ファイヤー』だ。対人戦ではほとんど役に立たないが冒険者たちの間では野宿などをするときに役立っているそうだ。隣で見ていたフレッドさんが驚きの声をあげる。『ファイヤー』も腐っても魔法なのだから3歳の俺が使っているところをみて驚いたのだろう。ダリエル団長から聞いていなかったのかそれとも聞いていても信じていなかったか…。


余計な思考は停止して、中級魔法の『ファイヤーボール』を発動するためにイメージを膨らませる。『ファイヤーボール』はその名の通りに火のボールだ。大きさは人それぞれによるらしいが生憎その基準は本に載っていなかった。


俺は直径2mほどの球をつくり、頭上へと飛ばす。本来ならばここまでで『ファイヤーボール』は完成しているのだが俺は少しでもオリジナリティを作るためにあの球を操作できないかを練習している。


手の平を球へと向けて飛ばしたい方向へ手を向ける。球は急に方向を90度変えて地面と平行にどこかへ飛んで行った。前回までは成功しなかったが今日は成功した。よし、と小さくガッツポーズをとる。


ふと隣をみると唖然としていたフレッドさんを見つけた。


「3歳であの球の大きさ…。それに操れもできる。ルキ様は本当に3歳なのですか?」


なんだ。珍しいことなのか。じゃあもう少し驚いて焦ってくれたっていいのに。しかし、フレッドさんは現役は引退していても元は戦場で戦っていた騎士だ。冷静に訊いてくる。


「はい、正真正銘3歳児ですよ?」


「これは、予想をしてたよりも遥かに鍛えがいがありそうですな。」


フレッドさんの目の奥がキラリと光り、口元がニヤリと笑った。

ここまで読んでくれてありがとうございます。日に日にpvが増えて嬉しい限りです。

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