プロローグ
私は飽き性、揺るがない性格だからまた失踪するんじゃないか(笑)。そんな不安を抱きながらやっぱり書きたくなる小説。テンプレート大好きなので書いちゃいました。
時刻は6時を回った頃だろうか。俺は夜道の大通りを歩いていた。そう、何の変哲もないただの帰宅途中だ。少しいつもと違うとならばいつもは5時に帰れるはずが5時半になってしまったことだろう。顧問の先生が地区で開催されるちょとしたバスケット大会に張り切ってしまって遅くなってしまったのだ。
晩御飯は何かなとか、明日は休日だから何をしようかなとかを考えてるときにこのただの帰宅に異変を感じた。
通行人や走行中の車が全然少ないのだ。ここは大通りなのでいつもはうるさいくらいいるというのに。学校を出てしばらくはいつも通りにいたはずだが…?こんなこともたまにはあるのだろうと思いつつも俺は歩み続けた。
家の側までくると不安が恐怖に変わった。人が全くいないのだ。さっきまで走行中だったであろう車の中にも人がいない。勿論、通行人も。今夜は月がでている快晴なのにやけにまわりは暗く、寒く感じる。家にいる叔母さんと愛犬タマは大丈夫だろうか?親を亡くしてまだ二週間しか経っていないがあの子犬をみていると妙に元気付けられる。叔母さんの優しさも、学校のみんなも支えてれた。だからこそもう誰とも別れたくない。分かっているとも人はいずれ死ぬってことを。でもこんな理不尽な別れかたがあってたまるか!いつの間にか俺は走っていた。
ああ、鍵を鞄から出すのも鍵穴に入れて回す時間も惜しい。頼むから無事でいてくれ!俺はドアを開けた。
しかし、待っていたのは愛犬でもなく叔母さんでもなく、玄関でもなかった。さっきまでの恐怖は一瞬にして消え、疑問だけが俺の心を支配した。
「は?」
誰だってそう思う。なぜドアを開けたら空の上と考えられる場所にいるのだ。そしてなぜ俺はそこに立っていられる?いや、浮いていらる?
「ああ、君で最後か?」
後ろから老人とも青年ともはたまた女性とも聞き取れるわけがわからない声が聞こえる。俺は振り返るがそこにはだれもいなく、あるのは雲だけ。
「誰だ、お前。」
この意味不明な状況で正気を保っていられるのは不可能だろう。腹が立ってきた。俺の家族は無事なんだろうな、変態?
「会って早々変態とな、こんな者は最初で最後だな。」
うん?今俺は声に出して言ったか?ああ、いよいよ俺の頭はイカれたのか。そもそもこんな状況にいるって思っている時点でイカれていたのかな。
「私は今君の心の声を聞いてそれに答えたまで。」
心を読んだ?ふざけるな、じゃあ今の俺の気持ちを知らないとは言わせない。
「ふむ、複雑な心境だ。」
本当に読んだのか…。じゃあ誰なんだお前は?
「はぁ、この質問はもうこりごりだ…私の名はカミューだ」
では、カミュー速やかに元の世界に戻してくれ。
「無理だな。」
勘弁してくれ、そもそも冗談に付き合い正気を保っていられるのも限界だ。いますぐ、発狂しきって何も考えずに放心状態になりたい。
「私も同じだ、ちとこちらの都合でな大変申し訳なく思う。」
家族…叔母さんとタマは大丈夫なのか?
「無事だ、もうお前以外の人間はあの世界に帰っているぞ。犬はこちらの世界に来ていない。ああ、それとこちらの世界では時間の概念をなるべく抑えてるぞ。」
お前が世界中の人々を呼び出したのか?なぜ俺だけ都合でもどれない?こちとら質問したいことが山ほどだ。
「面倒だな…よし、まとめて話そう。まず、こちらの世界に世界中の知的生命体、太陽系にはお前たち人間しかいなかったがそいつらを呼び出した。お前も同様にな、そしてお前と同じように会話をした。いや、したかったが正気を保っていられるのは少なかったな。」
それで?まだ俺が帰れない理由を聞いていないぞ。
「そう、急ぐな。結局そやつらと会話をしたが才能とかやる気がなかったので元の世界に返していった。残ったのがお前でお前には…ああ、地球人にはなんて言ったらいいか……異世界、そう異世界に転生しても我らが果たしたい目的が達成できるからもとの世界に返せないのだ。」
その才能とやらは?目的?達成??カミューの仲間たちでやってればいいじゃないか。
「地球には、魔法と言う概念がないからな。簡単に言えばその才能が異世界に行っても発揮されるかどうか。そして、我らが目的はガウスを倒すこと、ガウスというのはな…まぁ、邪神とでも思ってくれ。」
俺にとっちゃカミュー達が邪神だけどな。
「それもそうかもな。」
邪神というがお前たちは神か何かなのか?
「神と思ってくれて構わない。」
で?俺を異世界に送り込んでそのガウスとかいう邪神をドラ◯エみたいに倒してこいって?嫌だといっても返してくれないのだろう?どうせ。何をすればいい?
「今、私たちの陣営とガウスの陣営が地球から遥か彼方で戦争をしている。殺し合いではないぞ。話し合いだが私たちにとっては戦争だ。どちらが銀河系の覇権を握るかの戦争だ。それである惑星で代理戦争をすることになったそこに私たちの陣営ということでお前を送りたいのだ。」
だいたい分かってきた倒すというのは殺すということではないのだな。ガウス側の陣営は何を覇権するか知っているのか?
「当たり前だろう?ガウスを殺すなど無理だな、私たちも簡単に殺せないし私自身も自殺ができない。我々はそんな存在だ。…ガウス側の陣営になにが派遣されるかわからない。無論ガウスも同じだろうが。」
よしよし、把握できた。俺も魔法とかあるファンタジーの世界に憧れてたしな。だが、ふたつ問題がある。ひとつに、地球での俺自身だ。元の世界に帰れないとなると家族は心配する。それにタマと別れるのは寂しいな。ふたつにいくら夢の世界に行けるとしても俺にメリットが少ないようか気がする。それにガウスを倒しても倒さなくとも俺ら地球人に何か害悪になることはあるのだろうか?
「理解できて助かる。やはりお前で正解だったようだ。その点については対策してある。害悪はどちらが覇権を手にしたとしても地球人には特にないな。」
そう言うと今まで雲だけしかなかった世界に一人の青年が現れる。髪は白く、目は青い非常に美男子だ。
「確認する。お前は異世界へ行き、ガウス側が派遣した者を何らかの方法で倒す。いいな?」
「問題ない。」
カミューは微笑み、こちらに手を出してくる。
「ようこそ、我らが陣営に!」
ここまで読んでくれてありがとうございます。