類は友を呼ぼないで欲しいの、だと思います。
どうやって書いたらいいのかよくわからない。だって、間隔が空きすぎたもんね。
「お兄ちゃん、じゃあね」
「おう」
ドM症があると言え僕達兄妹は学年が違うため、学校に着けば必然的に離れ離れになる。どうせ休み時間に遊びに来るし1時間とて離れれないし、発作が起きれば出向かないといけないけどな。
「お兄ちゃん、お別れのスパンキングを」
当然、今この場所には登校時間なのでドM症の都合を知らない生徒たちがたくさんいる。そんな環境でかわいい(客観的に見て)女の子にそんなことをしたらどう見られるかなど言うまでもない。よって、
「たく、しょうがないな」
授業中に発作が起きても面倒なのでしますとも。ええ、しますよ。とは言っても、前述の通りただ叩けば周りの目が冷たくなることは言わずもがなだ。なら、どうするのか。簡単だ。僕を誰だと思っている?あまり誇りたくないが妹を叩き続けてもう10年のベテランだ。こういう場面ではコツがあるのだ。まずなるべく優しい目をして音羽を見つめ、音場に背中を向けさせる。そうして、なるべく音をたてないように、でも力強く叩く。そして、最後に
「頑張れよ」
優しく一声添える。すると、なんか兄と離れ一人になるのを怖がる妹の背中を優しく押す兄みたいな構図となる。こういう無駄なテクニックだけ上がってる自分が嫌だね。こうして、音羽と別れた僕は一人自分の教室へと向かう、なんてこともなく
「はぁはあ、響羽。おいてくなんて、はぁ、ひどいじゃない」
「何をはぁはぁ言ってんだ?ホントに音羽のドM症が感染ったか?」
「これは息切れよ。走って追いかけてきたから」
「うん、まぁ知ってる」
わりと引き離したつもりでいたが、御幸は全速力で走って追いついてきたらしい。ちょうど音羽と別れたあとなので、ベストタイミングだ。
「じゃあ、変なこと言わないでよ。って、こんなこと呑気に話している暇ない課題やらないと」
そう言うと御幸は息切れが止まってないにも関わらず全速力で教室へと駆けていった。若いっていいね。
僕は時間には余裕があるし別に急ぎの用もないのでゆっくり歩いていく。途中すれ違うクラスメイトと何人か挨拶を交わしたがみんな課題をやらないと行けないらしくすぐ走り去っていった。うちのクラスの課題の提出状況が心配だ。
教室へ着くと案の定ほぼ全員課題をやってるので誰とも話せなくて手持ち無沙汰になった。マジで何でこんなに課題やってないの?もしかして昨日クラス全員で遊びに行ってて課題できなかったとか?僕だけ呼ばれてなかったの?
することもないので鞄から文庫本を取り出しているとスマホが震えた。どうやら着信を伝えるバイブのようだ。スマホの校内での使用は禁止されているので、バレないようにトイレで見ることにした。尿も出せて一石二鳥。
朝のトイレは僕みたいにスマホを弄りに来る生徒で埋まってることが多いが今日は課題をやっている生徒が多いので空いていた。個室に入った瞬間もう一度スマホが震えた。また着信がきたようだ。こんな時間に誰だ?疑問を胸にスマホを見てみると音羽からのLINEだった。1つ目の着信で別れてからトイレで撮ったのだろう音羽の全裸画像。2つ目の着信で今トイレに入ってたけど私をオカズにぬくの?との言が。何で知ってんだよ。僕はすばやく画像を消すとすぐさまスマホの電源を切った。やっぱり規則は守らないとね。
なんやかんやで時間が潰れ朝のホームルーム直前に教室へと戻るとそこには幾人もの屍が。もちろんホントに死んでる訳ではない。比喩表現だ。間に合わなかったんだね。その後、担任がきて課題を回収したがその時僕含め3人しか課題を提出した者がいなかったたのはこの学校の偏差値の低さ如実に表していた。いや、実際は並程度にはあるはずなんだけど。
こうして僕らの学校が始まる。国語、数学、物理、生物、体育、世界史といったなんの捻りも何もない時間割。けど、結局それはあいつに邪魔される。
2時間目の途中。恒等式を解いていると、教室へ一人の教師が入ってきた。その教師は僕に近づくと周りに聞こえないように小さく端的に告げた。
「また音羽さんが発作を起こしました」
感想等、いろいろ待ってます