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理由

作者: ト部泰史

 遅い。とにかく来ない。友人と映画に行く約束をしていたのだが、約束の時間になっても全く現れる気配がなかった。電話も何回もかけたが繋がらない。ここまで待たせたのだから、どんな理由があろうと許してやるもんか。

 もうしょうがないので一人で見に行こうとしたとき、ちょうどその友人から電話がかかってきた。

 

 「おい。遅いじゃないか。いまどこにいるんだ?」

 「ごめん。ちょっとたてこんでてさ」

 「それで、何時くらいに着く?」

 「すまん。今日は来れそうにない」

 「なんだよそれ。こんなに待たせて理由も言わないのか」

 「……今日人身事故があったろ?」

 「ああ、そういえばそんなアナウンスがあったな。なんだ、それで来れなかったのか」

 「まあそうなんだけどさ……」

 「曖昧な言い方だな」

 「あのさ、人身事故起こしちゃってさ」

 「起こす?」

 「そう」

 「……それは押したってことか?」

 「いや、俺がね……」

 そこで電話が切れた。


 翌日、友人が電車に轢かれて死んだことを知った。電話がかかってきたのは事故のあとだったらしい。

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