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悔いのない人生

作者: レモン
掲載日:2026/10/19

 ここは、病院の産婦人科病棟だ。私は、赤ちゃんを産んだばかりの、山城美香子、27歳。美香子は、未婚の母だ。訳あって、こうなってしまった。赤ちゃんの父親は、既婚者だった。子供ができるとは、思っていなかったが、できた以上は、産みたかった。両親の反対を、押し切り、産むことにした。

 赤ちゃんを産んでからは、両親が、いろんな面で、サポートしてくれた。まわりからは、偏見の目で見られたが、美香子は、気にしなかった。仕事も続けて、頑張って働いた。美香子は、子育ても、一生懸命にやった。

 そんな時、同じ会社で、知り合った、三上純一、25歳と仲良くなった。2歳年下だったが、とてもしっかりしていた。純一も、訳ありだった。奥さんが、男を作って、出ていってしまったのだ。純一には、まだ、1歳の男の子がいた。

 美香子は、考えた。純一のことを、好きになってしまったのだ。純一の子も、一緒に、育てたいと、思うようになっていった。そこでも、両親に、反対されたのだが、反対を押し切って、結婚した。

 美香子は、両親の家から、そう遠くないところに、家を借りて、純一と、子供2人と、生活を始めた。いろいろは、あれど、仲睦まじく過ごしていた。子育ては、大変だったが、パートをしながら、家計を支えていた。

 美香子は、これで、ようやく幸せになれると、喜んでいた。美香子も純一も、お互い、大変な思いを、してきたから、普通の人よりは、お互いが、思いやりを、持てるような、気がしていた。

 そんな矢先、美香子の両親に、異変が起きてきていた。母親の方が、認知症にかかってしまったのだ。父親も、脳梗塞で、倒れて、救急車で、運ばれたりした。今は、元気に、なってはいるのだが、美香子が、今度は、両親のことをやらなくてはいけなくなってきたのだ。

 母親の方は、施設に入ることになった。父親は、自宅から、デイサービスやショートステイに、行っている。その面倒を、美香子が、1人で、やることになったのだ。

 子供2人も、まだ、小さかったから、本当に、大変になってしまった。それでも、純一と、力を合わせて、頑張っている。美香子は、純一で、本当に、良かった、と思っていた。

 ところが、ある日、純一が、いなくなってしまったのだ。会社にも、行ってなかった。実家でも、心あたりがない、と言われた。友達関係にも、連絡したが、知らない、とのことだった。探せるところは、くまなく探したが、いなかった。

 美香子は、子供2人の面倒を見ながら、純一の帰りを、待った。ある時、沖縄の消印で、手紙が、届いた。そこには、「俺の勝手で、すまない。子供をよろしく頼む。探さないでほしい。」 とだけ、書かれていた。美香子は、もう、どうすることもできないのだな、と、思っていた。

 美香子は、両親の実家で、子供2人と暮らすことにした。純一と住んだ家は、売った。

 純一は、沖縄で、ある女性と暮らしていたのだ。それは、元の奥さんだった人だ。よりを戻したのだ。元の奥さんは、純一に未練があったのだ。純一もまた、未練があったのだ。2人は、偶然、会って、話しをするうちに、沖縄で、やり直そう、ということになったのだ。

 美香子は、それを、全く知らない。なぜ、純一が、沖縄に住んでいるのか、わからなかった。もう、純一のことは、忘れなくては、いけないと思っていた。

 そんな時、純一が、自分の子供を、引き取りたい、と、手紙をよこした。美香子は、それを、断った。もう、純一の子供にも、愛情が、芽生えていたからだ。その時、純一が、元の奥さんと一緒にいることを、言った。だから、自分の子供は、返してほしいと、言ってきたのだ。そんな言葉を、聞きたくはなかった。本当に、純一のことを、信じてきたのに、と、思って、辛かった。

 でも、純一と、元の奥さんの子供は、返してやらなくては、いけないと思った。純一が、男の子を、迎えに来るとのことだった。美香子は、気持ちの整理が、つかなかった。

 純一と、元の奥さんとの子供との、別れを惜しむ様に、おいしい物を食べさせて、喜ばせてあげた。自然と、涙がこぼれてきた。

 翌日、純一が、自分の息子を、連れて帰って行った。美香子は、涙が、止まらなかった。純一の息子も、知ってか知らずか、最後は、寂しそうにしていた。

 美香子は、これから、心機一転、自分の子供を、立派に育てようと思っていた。両親のことも、重くのしかかっていたけど、前向きに、頑張っていこうと思っていた。今まで、両親には、お世話になりっぱなしだったから、恩返しをしたいとも思っていた。

 美香子は、こんな人生だけど、悔いはなかった。何より、大切な、わが子と巡り合えたから。


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