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不屈~横山大観「屈原」より

挿絵(By みてみん)


横山大観「屈原」1898年

(著作権フリーの画像を掲載しています)


────────────────────────────




上司がバカなんですが

どうしたらいいですか


同僚の中傷に悩んでます

解決策を教えて下さい


紀元前の社会も

現代と変わらない

ねえ 屈原(くつげん)さま

泪羅(べきら)の河にドボンは止めとこうよ


自分ひとりが清廉潔白(せいれんけっぱく)

ご立派ですとも

でもさ 自己憐憫(じこれんびん)入ってない?


結局 真理は一つ

理想と現実の間には

真っ黒な底なし沼が待ち構えてる


憤慨してる屈原さま

そこで一緒に 精一杯じたばた足掻(あが)こうよ

みっともなくても

1ミリでも 理想の壁に近づくように


あなたが抱えた百合(ゆり)の花は

高潔な心の(あかし)

捨てろとは言わないわ

押し花にして 今は(たもと)に仕舞っとかない?


さあ

怒りを燃料にすればいい


毒を盛る気まんまんで

こそこそ隠れてる鳥を

一羽残らず草むらから叩き出せ


ピーチク騒ぐだけの小鳥は放っておこうよ


魔法の言葉を教えてあげる

燕雀(えんじゃく)(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)(こころざし)()らんや!



────────────────────────────


注:燕雀えんじゃくいずくんぞ 鴻鵠こうこくこころざしらんや


意味:つまらない人物には、大人物の遠大な志は分からないということ。


燕雀えんじゃく」は、「つばめ」と「すずめ」。

鴻鵠こうこく」は、「おおとり」と「くぐい」という大きな鳥。


小さな鳥に、どうして大きな鳥の心がわかるだろうか、という意味。


出典:史記しき陳渉世家ちんしょうせいか

「三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺」より


────────────────────────────



「屈原」


「屈原」は、中国の春秋戦国時代、楚王に仕えた人物。

名門の出身であり、王の信任も厚かったのですが、外交問題を巡って失脚し、追放されてしまいました。

王は、彼の正しい意見を聞き入れず。

清廉な屈原を妬んだ同僚は、彼を中傷し、陥れたのです。


結局、楚の国は隣国の秦によって首都陥落。

絶望した屈原は、汨羅べきらの河に身を投げて自殺。

救いようのないバッドエンディング。


楚の詩集の『楚辞』に、屈原の作とされる「漁父辞ぎょほのじ」が収録されています。

教科書でもよく取り上げられていますので、読んだ方も多いのでは。

追放されて彷徨う屈原が、漁師と対話した様を描いた作品です。



挿絵(By みてみん)

(AIで生成した画像です)



屈原は「世の中が濁っている中で、自分だけが清らかなんだ」と嘆く。


漁師は「世の中に合わせて生きることも大切なんじゃね?」と諭す。


理想と現実。その間での葛藤。

そんなシチュエーション、現代だって山ほどありますよね


その時、理想を貫くのか。

現実におもねるのか。

きっぱり「こっち」というのではなくても、どちらに比重が掛かるかは人それぞれ。


さて、あなたはどっち派ですか?



────────────────────────────


今週より「日本画編」が始まりました。

また毎週投稿して参ります。

どうぞよろしくお願いします!

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