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34 魔王の魔石


リリィの案内でゆっくりと辺りを見回しながら進んで行くと

谷合にある木立の手前の岩肌にぽっかりと口を開ける様にして

高さ幅共に1メートルちょっとの歪な隙間が開いている。

チャリを押してぎりぎり通れるくらいの大きさだ。

チャリから降りて近付いて行き入り口手前で立ち止まった。

穴を覗き込んで固唾を吞む。


「大丈夫よ。まだ魔王は復活してないし他の魔物の気配は感じないから。

私も封印された魔石なんて見るの初めてだけど

ロディは魔王と戦った上に魔石の封印現場も見て無事に生還したんだし」


「勇者様と一緒にだろ?

他にも魔術師とか剣士とか聖女様なんかもいたんじゃないのか?」

「ここまで来ておいて今更何怖気づいてんのよ!

そんな一行より私達と一緒の方が断然安全!覚悟を決めて進みなさい!」


リリィに諭され気を引き締めて踏み込んだ洞窟は思った通り真っ暗だ。

チャリにライトをつけて貰って進んで行く。

人一人が通れるくらいの狭い通路はじめじめと湿気が多くて蒸し暑い。

嫌な汗をかく・・・背中に何か落ちてきたら飛びあがって気を失いそうだ。


そんな事を思っていたが奥に進むにつれてそんな事とは比べ物にならない程の

忌避感を抱く。恐怖で頭がおかしくなりそうだ・・・


「リリィ、ロディの絶対防御って効果無いんじゃない?」

「効果が有るから正気でいられるのよ。物凄い瘴気が漂っているわ。

封印されて尚この威圧感。厄介な事この上ないわね」


「かなり不安になって来たんだけど。

ここに在るっていうだけでこんなに威圧感がある物を

どうやって封印し直したらいいんだ?」


「私たちの結界は守りに徹したもので何かを閉じ込めるっていう魔法とは

別のモノだから・・・

ここまで封印が解けてきていると結界を張り直すのも並大抵の魔術では

難しいかもしれないわね」

「ここまで来て諦めるしかないのか?」

「今更何言ってるの!とにかく今の状態だけでも確認してみましょ」


言い合っていても埒が明かないので更に奥へと進むが足取りは重い。

やがて狭い通路の先が少し開けた場所に出た。

「魔物や魔獣が出入りできない様に結界が張ってあるみたいだけど

かなり力が弱っているわね」


「・・・」


洞窟最奥に到達したが目に見えるほどの瘴気を纏った拳ほどの何かが

壁に開けられた穴の様なくぼみに納まっている。


「間違いないわね。ロディもあれが魔王の魔石だって言ってる。

あの漏れ出ている瘴気だけでも何とか抑えることは出来ないかしら」

「リリィたちにどうしようもない物、俺に何とか出来る訳ないだろ」


「異世界の物で何か閉じ込める物って無いの?」

「無茶な事いうなよ。俺のいた世界に魔王なんて存在してないんだから。

閉じ込める物って言ったて・・・」

魔石をまじまじと見つめてみる・・・


「あれって触っても大丈夫なの?」

「ロディが言うには500年前は勇者も触ったけど何ともなかったらしいわ」


瓶なんかじゃダメだろ。そんなのこの世界にもあったし

割れやすい瓶なんてチャリになんて積んだこと無い。

密閉できそうでチャリに乗せた事が有る物・・・


「ランチジャー出して。ついでに農作業用ゴム手袋もお願い」

流石にあんな状態の魔石を素手で掴むわけにいかず

出して貰った手袋を嵌めて恐る恐る魔石に手を伸ばす。


先ず指先で突いてみる。結界に守られている所為か触る前に何かが指に当たる。

勇気を出して両手を伸ばし・・・掬い上げた。


「和真、その手に嵌めている物、瘴気を遮断しているみたい!」

「そうなの?じゃあこれで包み込んでおいた方が良いかな?」

「それって軟らかい素材で出来ているんでしょ?

念の為にその硬い容器にも入れておいた方が良いと思うわ」


リリィに言われたように片方のゴム手袋を手から外すように魔石を包み

もう一方の手袋も同じように魔石に被せた。

念入りに包み込んだ魔石をランチジャーに突っ込んで蓋をきっちりと締める。


「この蓋の隙まって大丈夫?」

リリィに言われてチャリにビニールテープを出して貰って

蓋の隙間をぐるぐる巻きにした。


「完璧ね!異世界の素材で此処には存在しないから

中からの魔力じゃ封印の解呪はほぼ不可能なんじゃない?」

こんなんで魔王の魔石の封印完璧ってどうなんだ?

まあ、ランチジャーもあちら世界の魔法瓶の一種だし・・・


「魔物除けの結界がかなり弱っているみたいだから

魔物や誰かに見つけられて何かあったら大変だわ。

穴に埋めておいた方が良いんじゃない?」

「チャリのアイテムボックスに収納しておくわけにもいかないな」


魔石が納まっていた壁の穴にランチジャーを押し込んで

土で塞いで壁の中に埋め込んだ。


「完璧に瘴気の漏れも無くなったわね。

これでまた何百年かは魔物の脅威に関しては平和に過ごせるわね。

和真は勇者並みの仕事を数時間で達成したのよ」


ゴムは電気を通さないけど瘴気や魔力もそんなんで良いのか?

ランチジャーだって熱を通しにくくするものだけど

異世界の未知の素材って事で魔王の魔力を遮断できるのか?

まあ考えても分からないし精霊がそれで完璧って言うんだから

そうなのだろう。


「俺一人では何も出来なかったから此処にいる皆の偉業だよ。

但しこの偉業を知ってるのも此処にいる四人だけだけどね」

「その方が良い気がするわ。

もう暫く人間は魔物に対する危機感を持った方が良いのよ」


そんな話をしながら帰途についた。



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