33 魔王復活あり?
口約束ではあるけどウェストン伯爵家お抱えの運び屋という立場に就任した事で
ロベルトさんは納得したのか政治絡みの難しい話は打ち止めとなった。
前回、俺と関わる事に政治的な思惑は無いと聞いていたので
ウェストン家と王家のいざこざに巻き込まれる気は更々無い。
ロベルトさんはここで俺に会った事でギルドの仕事を
急いで片付ける必要もなくなったので
夕方ウェストン領主館で落ち合う事を決めて俺はギルドを後にした。
ゆっくりチャリを漕ぎ領都の街を目指しながらスマホに話しかける。
「リリィ、魔王の魔石って結界が弱ったらどうなると思う?」
「新しい魔王誕生ね。魔王は大体500年から1000年周期で現れているわ。
あとどのくらい結界が持つか分からないけれど魔物達が活性化しているなら
あと50年も持たないでしょうね」
「えっ、俺の生きているうちに魔王復活?!魔王が復活したら
この世界はどうなる?!」
「今までも復活した魔王を封じ込める事で何とかして来たけど
暫くは戦乱の世が続く事は間違いないわね」
「俺って戦乱の世の中とは無縁で生きてきたんだけど・・・」
「先ずは常に魔物の脅威・危険に晒された状態の中での生活。
食料・生活用品等の供給停止、兵力増強のための招集・家財没収・・・
過去何回も繰り返されて来た事だけどね」
「魔王が復活する前に何とかできないの?」
「何百年も経つうちに伝えられてきた魔王の恐怖は忘れ去られていくから
魔王復活間近にならないと危機感なんて感じないじゃない。
気付いて慌てるころにはいつも手遅れよ」
「魔王が復活する前に魔石の結界張り直せば良いんじゃない?」
「500年前に誰かが張った結界の事なんて張り方も分るわけないから
先ず古文書探して結界の張り方探して、魔術師集めて
あと魔石が何処にあるか探して・・・最低でも数年は掛かるわね」
「魔王の魔石ってどこかに丁重に保管されてるんじゃないの?」
「そんなの討伐完了したらその場ですぐに封印しちゃうわよ。
ちんたら持ち歩いて悪意有る者に奪われたり無くしたり
最悪何かの拍子に魔王が復活するかもしれないし・・・
魔の森のどこかには有るんでしょうけどね」
「魔王は魔の森から出てこなかったの?」
「魔王が復活したらまず魔物や魔獣が森から溢れ出て来るでしょ。
それで魔王が復活したらしいって事になるのよ。
魔王が森から出る前に討伐しないと大変な事になるから
森の中に押しとどめておいて討伐してるはずよ」
「その場所に行けば近くに魔石が封印されているっていう事だよね」
「簡単に言うけど前回関わった人が記録をしっかり残したとして
500年近く前のものだから解読やらなんやら簡単には出来ないし
途中で言い伝えや御伽噺みたいになっちゃうし
地形も変わっちゃうもの。探すの大変よ」
「でも前回はロディが魔王討伐に同行したんだろ?
ロディなら封印されてる場所、覚えてるんじゃないの?」
・・・
「・・・だいたいの場所は判るって」
「魔王が復活する前に封印できないかな」
「私達ならロディが絶対防御結界も張れるし魔石の場所まで行くことは
簡単でしょうね」
「絶対防御結界って三千年前に失敗したやつ・・・」
「だからあの時の事は若気の至りだったんだって。
”今は信用して貰って大丈夫”ってロディが言っているから・・・
先代勇者様だってちゃんと無事に魔王討伐できたんだし」
「問題はどうやって封印するか、だな」
「とりあえず行ってみる?」
「簡単に言うなあ」
「弱気ねぇ。和真、貴方の傍に居る私達の力
嫌というほど思い知らせてあげるわ!」
「魔物に嫌というほどひどい目に合わない様に祈っておくよ」
「じゃあ、チャリでちゃちゃっと行ってきましょ」
「魔王討伐ってそんな気軽なものじゃない気がする・・・」
チャリに乗って隠蔽魔法、ロディの絶対防御結界、リリィの探知魔法で
魔の森に踏み入ったけど最初時々鳴っていたスマホの警報が
暫く進んだところで引っ切り無しになり続け
ロディの結界に弾かれる魔獣・魔物の数が半端ない。
煩いのでスマホの警報はオフにして進む。
暫くして周りの慌ただしさにも慣れて余裕が出てくると
倒した魔獣をそのまま放置していく事が勿体ない気がしてきた。
「高級食材の魔獣だけだも回収していけないかな」
「そうね。解体するのは大変だけどアイテムボックスに入れておけば
後で何とでもなるし…いちいち停まって鑑定するのもなんだから
食用として馴染みのある物だけ回収しましょ」
「馴染みがある魔物・・・」
「そりゃ人間社会に何千年も共生してるからその位は知ってるわよ」
そして魔物の森の奥地に到達したところで大体の場所が特定できたロディが
”この辺にあるの洞窟の中だ”とリリィに伝えた。
チャリが停まりリリィが魔王の魔石の気配探索魔法を発動した。




