31 ロベルトさんの事情
「何で領主嫡男がギルドマスターやってるか不思議?」
「別に気にしてません」
「でも僕の事ちょっとでも知ってほしいから勝手に説明しちゃおかな」
「・・・」
「ここが魔の森に接しているのは知ってるよね。
故に辺境って言われてて魔物の討伐がこのウェストンを含めて
イスト地方三領土の役目でもあるんだ。ウェストンお抱えの騎士団と
冒険者のまとめ役として僕がギルマスをやってるんだけど
今までは結界のおかげで魔物討伐なんてほとんど無かったんだけどね。
最近の結界の状況も含めて君に話だけでも聞いて欲しいんだ」
「俺が聞いても何の役にも立てませんよ。魚獲るくらいしか能が無いですから。
元々は異世界の人の道具を見て欲しいという話だったと思うんですけど」
前回話していた内容とのずれに警戒心が頭を擡げる。
「その事も気になるけどせっかくこうしてここで再会したんだから
冒険者としての君の事を聞かせて欲しいな」
「そんな事ですか。冒険者は温泉がタダになるから登録しただけですよ」
「大物だね。たったそれだけの為に?」
「後は獲った魚とか売るのに丁度いいし・・・」
「そんなに警戒しなくても良いのに・・・って言っても無理な話だよね。
でも君と仲良くなりたいのは本心だから警戒を解いてもらうために
本当の事を白状しちゃおうかな」
「・・・」
「実はね、僕は鑑定魔法が使えるんだ。それで最初に君と自転車を見た時
異世界から来たって確信して鑑定してみたんだけど」
「・・・」
「結果は”鑑定不能”。何かの魔法に阻まれたのか
君の魔力が僕より高いのか・・・君なら理由が判るのかな」
『リリィ、鑑定不能ってどういう事?』
『魔法攻撃無効が働いたのね。敵意が無い場合は無効化だけで
悪影響を受け無いから警告が無かったのよ』
「アイテムボックス使えて魔力が高いならお友達になっておくべきだろ?」
「そんな事は無いと思います」
「いや、アイテムボックス持ちってだけでも貴重だよ。
そのほとんどの人材が国か大商人お抱えだ。
辺境の伯爵家にとっては喉から手が出るほど手に入れたい存在だよ。
君は自分の価値をもっと知っておくべき…というか
そう言うところが世間知らずで単独行動するには危ういと思うし
その知識の無さからこの世界の者では無いと思ったりもするんだけどね」
「田舎育ちで時世に疎いんです」
「ほら、そういうところ。田舎育ちの平民はそんな言葉、使わないよ」
どうしても俺が何者か知りたいらしい。
「それ故に僕と手を組むというか、僕に雇われてはくれないだろうか?
雇うというと主従関係が前提になってしまうけど
あくまで形式上の雇用関係という事で実際は同等もしくは
君の意思を最大限尊重するという事で構わない。
他の土地の権力者にお里が知れて身動きが取れなくなる前に
ウェストン伯爵領を君の隠れ蓑として使って貰う代わりに
君が納得した時だけで良いから僕に協力してほしい」
『リリィ、どうしたらいいと思う?この人を信用して此処に留まるか
イーストンでの生活を続けるか』
『和真はあの洞窟にずっといる気はないでしょ?
もし街に出て何処か借りて住むにしても今よりも稼がないと無理よね。
私達の力が必要ない仕事だけで稼ぐ自信ある?』
『・・・最低でもアイテムボックスは必要・・・』
『この人はもうその存在を知っているわ』
「どう?まだ決心つかない?もう一つ付け加えておくと
これからこの国はちょっと厄介な問題に直面する事になる。
その時に備えて心から信頼できる見方が欲しいんだ」




