30 会いに行きます
翌日、天気も良かったので見事に実ったトマトやサツマイモを適当に収穫して
いつもの川原に行き、焼き芋やおやき作り、魚釣りをして夕方近くまで
子供たちとわいわい騒いだ。色々楽しんだ後
”いつ帰れるか分からないから洞窟脇の作物を自由に収穫して食べて良いよ”
と伝えてるととても喜んで別れを惜しんでくれた。
ロベルトさんとの約束の日、自分が転移した時に通って来た通称”魔の森”伝いに
隣の領地まで行くことにした。
来たばかりの頃なら絶対にそんな気にはならなかったと思うけど
今は頼りになる味方がいる。よほどの事が起こらない限り多分安全だ。
結界が弱っていれば魔の森に面したジル達の村も安全とは言えない。
俺がどうこう出来る訳でも無いけれど、知らない振りをしてもいられない。
弱い魔獣くらいなら以前森を抜けた時の様にチャリが何とかしてくれそうだ。
イーストン領を走っている間は何事も起こらなかったけど
ウェストン領に入ったところで森の中から何かが飛び出して来て
チャリにぶつかったが、前回同様結界に弾かれて転がった。
頭から勢いよくぶつかったらしく鼻血を出して息絶えた様だ。
スマホを出して検索する。
”キラーラビット
食用小型魔獣
素材 皮革・角
生息地 南方森林・魔の森”
魔の森以外の場所にも生息している魔獣もいるんだ。
結界が張られる前に森以外に生息していてもおかしくは無いか。
チャリに収納して貰って再び走り出した。
その後は何事もなくゲーロ温泉に到着した。
受付でギルドカードを提示すると前回とは違ってお姉さんはにっこり笑顔だ。
今日も身なりは汚れているけど・・・
入浴後キラーラビットを引き取りカウンターに持って行った。
「今日は岩マスじゃないんだね」
とカウンターのお兄さんは早くも俺の顔を覚えてくれたらしい。
「この間の岩マスの評判が良くてね。
”また手に入ったら是非うちに”って言われてるんでね」
「そうなんですか?じゃあ今度張り切って獲ってこなくちゃ」
「お願いするよ。さて、このキラーラビットは・・・
こん棒か何かで一撃したの?」
「似たようなものです・・・」
「また企業秘密?」
「飛び掛かって来たので思わず避けたら後ろの岩に激突しました」
「・・・ラッキーだったね」
「はい・・・」
まあ、そんな昔の歌もあったから全く無い事とは言えないだろう・・・多分
そんなやり取りをしていたら奥の扉が開いて人が出てきた。
「あれ、和真じゃないか。魚を持って来たのかい?」
「何でロベルトさんが此処にいるんです?」
「あれ、支部長お知り合いですか?」
支部長?!
「そうだよ。僕の大事なお友達。ねっ?」
大事も何もお友達にすらなった覚えは無いんですけど。
「・・・」
「いやだなあ。今日は君が訪ねて来るといけないから
こうして朝早くから仕事を片付けに来てるのに」
「なんだ。支部長のお客さんて和真君の事だったんですか」
「そうだよ。大事なお客さんなんだ。
でも丁度良いや。用事が済んだんなら僕の部屋で話を聞こうか。
屋敷まで移動するのも面倒でしょ」
という事になって今、ウェストンギルドマスターの部屋に通された。
異世界人の道具について聞きたいんじゃなかったのか?




