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29 生態分布ってどうよ?


次の日、チャリを押して外へ出ると思った通りサツマイモとトマトのツルが

かなり伸びている。

サツマイモの伸びて地面に密着しているツルを地面から剥がして歩く。

町に行ってる間にまた根っこが伸びるだろうけど仕方ない。


チャリに乗っていつもの川原に行き顔を洗って釣りをしようと

バングルに目をやったが使う事に気が引ける。

予備の竿を出そうかと思った時バングルがほのかに発光した。


「釣りしたいから竿に戻ってくれる?」とお願いすると輝きが増して変化した。

いつもと変わらない使い心地に安堵して何匹か釣り上げた頃ジルが現れた。

ジルには竿をアイテムボックスに収納した様に見せかけてバングルに戻って貰う。


「おはよう。俺、朝飯まだなんだけど一緒に食べる?」

「いいの?今朝は姉ちゃんの機嫌が悪くて喧嘩して飛び出して来たんだ」

「なんで喧嘩したんだ?」

「”ジルだけ町に行ってずるい”って」

「町に行ったって話したのか」

「ついぽろっと定食の事話しちゃったんだ」

「そっか、母ちゃんとかは何も言わなかったのか」

「ベティ姉ちゃんが知ってるなら大丈夫だろうって言ってた」

「なら良いか」


話しながらチャリに出して貰ったハンバーガーと野菜ジュースを渡して

川原の石に腰掛けた。


「わあ、兄ちゃんこんなの初めて見た。挟んであるのは肉か?」

慣れない肉は食べさせたくないのでチキンの照り焼きが挟んであるバーガーだ。

この甘だれとタルタルの相性が何とも言えず好きだ。

「鳥の肉だよ。他の子たちには内緒な」

頷いたジルと二人で大口を開けて頬張った。


行きの道中で銭湯について聞いたが町に一軒だけある湯屋は

昼過ぎに開業して料金が時間の経過と共に安くなるそうだ。

湯の継ぎ足しがほとんど無くて徐々に汚れがひどくなり

夕方過ぎには重労働のおっさん達でごった返すとの事。

子供二人で一番風呂に入る事は憚られたので入浴は断念した。

その後前回のような破落戸に遭遇する事もなく無事に帰って来た。


洞窟の脇の畑は思った通りサツマイモのツルとトマトが生い茂っている。

明日子供たちと食べるのに丁度良さそうだ。


洞窟で腰掛けて夕食を摂りながらリリィに疑問に思っている事を聞いてみる。


「この世界の魔物とか魔獣の事教えてくれる?」


「えっとね、私も詳しくは無いんだけど先ずこの世界の生き物の分布を

簡単に説明すると、球体の一番下に近い所が魔物や魔獣が沢山生息している所。

その上に人間の国がいくつも有って、そのまた上に

獣人やエルフや精霊や妖精がなんかの住んでる森が広がってるの。

境目に近い所ほど色々な種族が混在してるわ。

このイスト地方は魔物や魔獣の多い地帯に接していて

何かの結界に守られているみたい。


和真が転移して来たのはその魔獣の生息帯の境目付近。

私達精霊は昔は人間と同じ所にも結構住んでたんだけど

一部の国と揉め事があって徐々に住処を人間の居住圏外へと移していったのよ。

今では忘れられつつある存在になっちゃったけどね。

かえって良かったのかもしれないわね」


「揉め事って?」


「魔道具に契約で縛り付けようとしたり

小鳥みたいに籠に閉じ込めようとしたり・・・

一部の馬鹿な貴族がした事だけど

自由を奪われてまで人間と共存する必要は無いしね。

いつの時代にも種族間の問題は何かしら存在してるわね」


「そっか。自分たちの意思で俺と一緒に居てくれるなんて

とても光栄な事だね」

「そうよ。感謝してね、って言うか

私達が気に入って一緒に居させて貰ってるんだもん。お互い様ね」


「魔獣とかはどうなの?聖女様の結界が有るって聞いたけど危険はない?」

「ここ数年で結界の力が弱って来てるみたいで

時々魔物達が人間の住む所にも出没してるみたい」


「冗談抜きで魔王とかは現れたりしない?」

「どうなんだろう。魔王については私達もどういった存在なのか分らないから。

ロディも人間の作った”聖剣”に偶々宿っただけで

魔王の”宿敵”ってわけでもなかったんだしね。

その点、勇者の方が魔王と相対する存在だから

勇者が現れれば魔王の復活もありうるかもね」


「じゃあ、勇者が現れない方が良いのか?いや、魔王が先か勇者が先か・・・

考えても結論の出ない問題か」

「そうそう。どちらにしても私達には関係ないわよ」

「元聖剣の精霊がここに居ても?」

「関係ないない」

「・・・そうだな」


晩飯も食べ終えたので深く考えるのは止めて床に就いた。



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