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26 おやつを作ろう


帰って来たのは昼過ぎだった。

川原に行くとジルと子供たちが魚を捕まえようと奮闘している。

役割分担なのか一人だけせっせと薪を集めて焚火の番人だ。


「魚獲りがんばれよ」と声を掛けて河原に下り

太めの薪を何本か拾って火にくべる。

買ってきた鍋に水筒のお湯を移して火にかける。

まな板に収穫したカボチャを乗せてチャリに風魔法で半分に切って貰った。


半割れになったカボチャを見て驚いた。種が無い!

なんで?と思ったが分かるわけはない。それは一旦置いておいて

ナイフで適当な大きさに切り分けて鍋にほり込む。

砂糖と醤油を少し入れて薄味に煮付ける。

少なめの水分で焚くので木杓子で焦げない様混ぜて

火からおろし潰して餡にしておく。


慣れない事に没頭していたら

いつの間にか魚取りを止めた子供たちが集まって来ていた。

ボールに小麦粉、重曹をいれて混ぜ、ミネラルウォーターを少しずつ足して

手に付かない硬さに練り上げた。


「手、綺麗か?」と子供たちに聞いてから作り方を見せる。

練った生地を適量とり団子状に丸めて平たく伸ばす。

すくった南瓜餡を真ん中に乗せて包み込む。

最後に両手でそっと押さえて平たく伸ばす。

「中の餡が出てると焦げるから出ない様に気をつけて」

注意を一言


みんな家でよく手伝っているんだろう。なかなかと手つきが良い。

俺もお彼岸のおはぎ作りとか草餅作り、よく手伝わされたっけ。

俺の一番好きなおやきの具は

乳酸発酵で旨味の増した野沢菜漬けを一晩水につけて塩抜きし

ごま油で炒めた後に煮干し、醤油、みりん、砂糖で炊き込んだ

具材を詰めたものだ。


具材を詰め込んだおやきの元を焚火の灰が溜った所にそっと埋める。

熱いので火傷しない様に百均で買ったトングを使う。

釣りをしたときに棘や毒のある魚を掴むようにと買った物だ。

釣具屋に魚を掴む専用のが売っているけど百均のトングでも十分だ。


熱がまんべんなく当たるように時々薪や灰を混ぜる。

これは俺の婆ちゃんの郷土のおやきだ。おやきには2種類あって

一つは良く店で売っている鉄板やフライパンで焼いたもの。

もう一方が婆ちゃんが子供の頃おやつとして食べていた

囲炉裏や火鉢、堀炬燵の灰の中で焼いたもの。


地方によって違うらしいが今は衛生面から灰の中で焼いたものは

見かけなくなったそうだ。

しかしここは異世界、フライパンが手元に無ければ

灰の中で蒸し焼きにするのもアリだろう。


程行く焼けた頃、トングで取り出して灰を払って大皿に並べていく。

子供たちは目をらんらんと輝かせる。コップに麦茶を注いで渡す。

果汁入りドリンクは癖になりそうで虫歯になると後が大変だ。


「一人二個ずつだな。火傷しない様に気をつけるんだぞ」

そう言うと一斉に手が伸びた。

俺も見様見真似、目分量で作ったので味が気になる。

ガキンチョたちと一緒にかぶりついた。

南瓜の自然な甘みが丁度良い。


「そうだジル、俺明々後日用事が出来たから町に行くなら

明日行きたいんだけどどうする?」

「ホントに、明日連れてってくれるのか?」

「おお、いいぞ。その代わり明日行ったら暫く留守にするかもしれない」

「どっか行くのか?」

「ウェストン領都って知ってるか?」

「うん。領主様が立派な人だって有名な領土の領都だ。

ここの領主様も立派な方で仲が良いっていう話だぜ」


因みに地図で確認したらこのイーストン領の隣がウェストン領。

イスト地方はこの二つの領土とアネスト領を含む王都南に位置する

三つの領土の総称らしい。


そうか。領主様の評判は良いんだ。

まあ子供はバカ息子って事も考えられない事も無いけど・・・


「ウェストン領都に行くのか?」

「そのつもりだけど何か問題があるのか」

「いや、結構遠いから長い事留守にするのかと思って」


そうか普通馬車で行っても往復数日はかかるのか?

二、三日ぶらつくだけのつもりだったけどもう少し

ゆっくりしてきた方が良いのかな。


「ああ。一ヶ月くらいはかかると思う・・・」

「今日食べたおやきって言うの美味しかったけど暫くお預けだな」

「じゃあ明後日は”暫くお別れパーティー”でもするか?」

「パーティーてなんだ?」

「そっか知らないか。ご馳走ってわけにはいかないけど

ちょっとした食べ物摘まみながら皆で集まってわいわいがやがや楽しむんだ」


「良いなそれ。じゃあ明後日来れる奴はここで集合な」

「天気悪かったら次の日な」

「いいのか?」

「別に一人旅だから日伸びしたってどうってことないよ」


ロベルトさんとの約束は2,3日後だがチャリなら日帰りも可能だ。



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