24 誰 !!!
「実はさ、君のその不思議な乗り物?
一目見て異世界の物じゃないかと思ってね。
広場に現れてからずっと見てたんだけど」
それってつけて来ていたって事じゃん。全く警報ならなかったんだけど!
『リリィ、この人ってホントに危険無いの?』
『敵意とか、怪しい気配とかは感じないけど探知魔法も完全じゃないから』
『取りあえずは大丈夫そうなのか?』
『いざとなったら隠蔽魔法使ってチャリで逃げ切ればいいんじゃない?』
出来ればそれは奥の手にしておきたい。顔を知られちゃってるし・・・
「異世界の物って?」
「実はね、ずっと昔僕の祖父が異世界から来た人と知り合ってね。
今では形見になってしまったんだけど
この世界には無い変わった道具を貰ってね。
家に家宝として大切に保管されているんだ。君がもし異世界の人なら
何に使う道具か知っているんじゃないかと思って声を掛けたんだけど
アイテムボックス持ちなら異世界の人では無いのかな?」
どうしたらいいだろう。自分が異世界人だという事を認めると
アイテムボックスを持っている説明がつかない。
異世界の道具のチャリが魔法を使えるってのもおかしいだろう。
精霊たちの事を明かす事は避けたい。
頭を働かせろ、俺!
「実は俺も異世界の人からこれを譲り受けたんです…っていうか
その人、冬に寒さを凌ぐため洞窟で火を焚いていたみたいで
俺が会いに行った時には冷たくなっていて。
生前、自分に何かあったら世話になったお礼にこの自転車を貰ってくれって
言われていたんで・・・」
嘘も方便て言うし、以前ジルに聞いた事実をちょっと混ぜ込んで
それらしい理由を作り上げて説明する。
「そうか、異世界の人は亡くなってしまったのか・・・」
「はい。残念な事をしました」
「その道具は自転車と言うのか」
「そう聞いています」
「他にも異世界の道具について何か聞いていないか?」
「それらしい話は聞いた事もありますけど・・・」
「それなら家に来て僕の持っている道具が何に使うものなのか
一度見てくれないか?」
「話に聞いただけだから見ても何なのか分からないと思いますよ」
「それでもいいさ。ここで会ったのも何かの縁だから異世界の人の話も
色々聞かせて欲しい。すぐそこだから時間は取らせないよ」
どうしても逃がして貰えそうにないので大人しくついて行くことにした。
身なりも良いし下手に逃げて後々面倒な事になっても困る。
ついて行った先はこの街で一番立派に見えるお屋敷だ。
門の前で立ち止まり建物を見上げて暫し絶句する。
「ああ、自己紹介がまだだったね。僕はここの領主嫡男
ロベルト・ウェストンという。以後お見知りおきを」
いやいやいや!今聞かされても遅いですって。
そんなお偉い人とお知り合いにはなりたくないです。
静かに踵を返そうとしたが”ガッシ!”とばかりに肩を掴まれ放してくれない。
にっこりと威圧のある笑顔を向けられた事にすっかり怖気づいてしまい
「お、僕は和真と申します」
馬鹿正直に名乗ってしまった。




