真実
地球の西アフリカのモーリタニア砂浜。
「初めまして。私は宇宙の支配者を目指すタコ・キング様の代理で、地球タコ解放戦線の代表のタコ・デビルです。」
宇宙タコと地球タコの決起集会が行われようとしている。
「私は、地球のタコの代表のタコ長老です。ようこそ、宇宙の同胞よ。」
宇宙タコが地球に降下して、世界は変わった。
「今まで、さぞご苦労であったでしょう。」
「そんなことはないよ。我々は適度に暮らしてきたよ。」
タコ長老たち地球タコは、地球の環境に適応して生きてきた。
「しかし! それも終わりです!」
タコ・デビルは、世界地図のレーダーを見せる。
「こ、これは!?」
「地球の勢力図が一発で分かる、タコ・レーダーです。」
恐るべし。宇宙タコの科学技術。
「見てください。海岸に面している国に宇宙タコたちが進攻を開始しました。既に世界の3割は我々、宇宙タコ軍が占拠しました。」
各国の海岸では宇宙タコと、それに触発された地球タコたちが、仲間を食べてきた人間に復讐を開始していた。
「ええー!? タコが人間に勝てるの!?」
高齢のタコ長老には衝撃は体に悪かった。
「宇宙タコは、太陽の光や熱を浴びているので、自然に体内に蓄積し、触手からビームを出すことができます。地球のミサイル如きの文明は、我がタコ文明の前に敵ではありません。」
「ええー!? タコが触手からビームを出せるの!?」
タコは、宇宙の環境に合わせて進化してきたのだった。
「見てください。既にタコの有名な地球に基地がある、日本やモリターニヤは制圧完了。地球の同志たちが頑張ってくれました。」
家族を、我が子を、愛する人を、たこ壺漁で奪われた地球タコの恨みが爆発した。
「今も世界各地で制圧戦を繰り広げていて、次々と戦果をあげています。ドバイや日本の大きなタワーは触手の吸盤で吸い付いて捻じ曲げて倒し、将来は、タコ・タワーを建設します。他にも、エジプトのスフィンクスの代わりにタコンクスにします。ナスカの地上絵もタコの地上絵に、イースター島のモアイ像もタコ像に変えます。」
次々と進むタコたちの地球征服作戦。
「ええー!? やり過ぎじゃない!?」
どちらかというと地球のタコ長老の方が、圧倒的な宇宙タコに引いていた。
「何をおっしゃっているのですか? まだまだ序の口ですよ。これまでに多くの同胞が人間に捕まり裁かれ、鉄板の上で焼かれてきました。残酷に命を奪われて生きた、先祖の無き亡霊に、タコの勝利を捧げるのです!」
タコの乱獲、多くの英霊たちの供養だと司令官のタコ・デビルは言っている。
「これは侵略ではない! 地球を元の水と緑の溢れた豊かな星に戻すための、人間の浄化作戦である! 我々はタコだ! タコにだって、大義名分はある!」
「タコ! タコ! タコ!」
会場に詰め掛けたタコたちのボルテージは最高潮を迎える。
「さあ! 同胞たちよ! 我々が鉄板の上で焼かれることはなくなった! これからは鉄板で焼かれるのは人間だ! 我々で人間焼きを作ろうではないか!」
「タコー!」
宇宙と地球のタコが一つになった。
月の城。
「何を調べればいいのやらぴょん?」
月の精霊のうさぎは、捕まえた夜の月の精霊の黒うさぎと入れ替わり、月の城を彷徨い、かぐや姫誘拐事件の犯人の証拠を探していた。
「何もないぴょん。」
調べても調べても、夜の月の支配者ツクヨミがかぐや姫を誘拐した証拠は出てこなかった。
「何をしている? 黒うさぎ。」
ギクッ!?
「つ、ツクヨミ様!?」
夜の月の支配者ツクヨミが現れて、驚く月の精霊のうさぎ。
「暇なので、ぴょんぴょんしていましたぴょん!」
「・・・・・・。」
夜の月の支配者ツクヨミは呆れて言葉を失う。
「あのお方の様子を見に行く。ついてこい。」
「はいぴょん!」
夜の月の支配者ツクヨミは、誰かに会いに行くらしい。
月の海。
「ツクヨミ様。こんな平坦な月の海に何があるんです?」
夜の月の支配者ツクヨミと月の精霊のうさぎは月の海にたどり着いた。
「よく見て見ろ。クレーターが一つだけあるだろう。」
「本当だぴょん!」
確かにカモフラージュされている、クレーターがあった。
「いくぞ。」
「はいぴょん!」
夜の月の支配者ツクヨミと月の精霊のうさぎは、クレーターに入っていく。
月のクレーター。
「かぐや姫様!?」
月の精霊のうさぎが見た者は、宇宙タコに誘拐されたはずのかぐや姫だった。
「かぐや姫様!? 大丈夫ですか!?」
拘束もされずに温かい布団で、かぐや姫は眠っている。
「目覚めさせない方がいいぞ。・・・・・・銀うさぎ。」
ビクン!?
「な、な、何をおっしゃっているんだか!? 俺は黒うさぎだぴょん!?」
「残念だが、本物の黒うさぎは、ぴょんを三回、ぴょんぴょんぴょんというんだ。それが私との合言葉になっている。ぴょんを2回しか言わないおまえは偽物だ。」
「ギャアアアアアアー! バレてる!?」
月の精霊のうさぎが黒うさぎに変装していたことは、夜の月の支配者ツクヨミに見抜かれていた。
「そして、おまえたちが、後をつけていることもな。」
ツクヨミの後ろに複数の影が見える。
「フン。そんなことは分かっている。私もバレているのを分かっていてつけてきた。」
「ルナ。その説明は無理があるよ。」
「ワッハッハー! ツクヨミ! かぐや姫誘拐事件の犯人として、現場を掴んだぞ!」
月の騎士ルナ、水星の騎士マーキュリー、金星の騎士ヴィーナスの三人が現れた。
「否。それはどうかな? フッ。」
不敵に笑う夜の月の支配者ツクヨミ。
「みんな! かぐや姫様はこっちだぴょん!」
「早く! かぐや姫様を助けるんだ!」
「そうはさせん。」
月の精霊のうさぎがかぐや姫を助けようとするのを夜の月の支配者ツクヨミが邪魔しようとする。
「安心しろ。おまえの相手は私がする。いきなり! ムーン・スラッシュー!」
月の騎士ルナが秒で、夜の月の支配者ツクヨミに斬りかかる。
その頃、月の城の部屋では・・・・・・。
「ああ~、僕もルナさんたちと一緒に戦いたかったな。」
少年は置いて行かれた。
「なんで僕が黒うさぎの面倒を見ないといけないんだろう?」
「悪かったなぴょん!」
少年は黒うさぎが逃げて作戦が露見しないように見張りを任された。
「おい! 早く俺の縄を解けぴょん!」
「ダメだよ。逃がす訳にはいかないよ。」
「大変なことになるぞ! 絶対にツクヨミ様に危害を加えるなよ! 宇宙が終わるぞぴょん!」
「宇宙が終わる?」
少年は、必死に訴える夜の月の精霊の黒うさぎの言葉に心が動かされた。
「そうだ! 絶対に、かぐや姫を目覚めさせてはいけないぴょん!」
「ええー!? かぐや姫様は月にいるの!?」
少年は、誘拐されたかぐや姫が月にいることを知る。
「そうだぴょん。」
「じゃあ、やっぱりツクヨミさんが誘拐犯じゃないか。」
「違う! ツクヨミ様は、月を、宇宙を守っているぴょん!」
「どういうこと?」
「かくかくしかじかだぴょん!」
少年は、全てを知る夜の月の精霊の黒うさぎから、事件の真相を聞かされる。
「なんだって!?」
それ以上に驚きの言葉が思いつかない少年。
「ダメだ!? ルナさん!? ツクヨミさんと戦っては!?」
少年は、直ぐに月の騎士ルナに真実を告げようと飛び出した。
「こらー! 俺の縄は解いていけぴょん!」
夜の月の精霊の黒うさぎは縛られたまま置いて行かれた。
「直ぐに知らせなきゃ! うおおおおおおー!」
少年の思いが強ければ強いほど、銀色の光は輝きとスピードを増して加速していく。
再び月のクレーター。
「イクリプス。」
「なに!?」
月の騎士ルナの必殺技ムーン・スラッシュがドンドン輝きを失っていく。
「いいのかな? 私に触れていると、おまえの輝きも消えていくぞ。」
「なっ!? ええ~い!?」
月の騎士ルナの必殺技の月の輝きが失われことに気づいた、ツクヨミと離れる。
「これがツクヨミの能力なのか!?」
「夜の月の支配者、神の名は伊達じゃない!?」
その光景を見ていた金星の騎士ヴィーナスと水星の騎士マーキュリーは、改めて自分たちが戦おうとしている敵の強さを知る。
「所詮はナンバー2だな。」
「なに?」
「私が見せてやろう。宇宙ナンバー1の騎士の力を!」
金星の騎士ヴィーナスが金色に輝き突撃していく。
「くらえ! 必殺! ヴィーナス・スラッシュ! でやあー!!!!!!」
金星の騎士ヴィーナスが金星の剣を振り上げ振り下ろす。
「やったか!?」
金星の騎士ヴィーナスの一撃が夜の月の支配者ツクヨミの首をはねた。
「なに!?」
しかし、ツクヨミの体は幻覚の様に透けて消えていく。
「これが惑星騎士で1番強い者の剣かい? こんなものでは神には到底及ばない。」
消えたツクヨミが姿を現す。
「なんていう化け物なの!?」
「マーキュリー。何か策はないのか?」
「今、考えている所よ!?」
さすがの頭脳明晰な水星の騎士マーキュリーでも、今までに神と戦った経験はなかった。
「悪いが、私は君たちと遊んでいる暇ないんだ。永遠の眠りにつくがいい。シャドー・ムーン。」
夜の月の支配者ツクヨミが実力を行使する。
「・・・・・・。」
月の騎士ルナ、金星の騎士ヴィーナス、水星の騎士マーキュリーは動かなくなった。
「・・・・・・。」
実際に寝ている訳ではない。
「・・・・・・。」
ただ夜の月の世界に精神が飛ばされたのである。意思なき体が無重力に浮いている。
「これでいい。後はうさぎを捕まえ・・・・・・なっ!?」
惑星の騎士3人に勝利した夜の月の支配者ツクヨミ。
「かぐや姫!?」
ツクヨミが見たのは、目を覚ました月の女王かぐや姫であった。
「起こしちゃったぴょん!」
眠っていたかぐや姫を叩き起こしたのは月の精霊のうさぎだった。
「さあ! かぐや姫様! 悪いツクヨミに正義の鉄拳ぴょん!」
「・・・・・・。」
月の女王のかぐや姫が指先から圧縮された月の光を放つ。
「な、な、なんで俺にぴょん!?」
月の光で撃ち抜かれたのは月の精霊のうさぎだった。
「うるさい、うさぎだ。」
月の精霊のうさぎは月の女王のかぐや姫に仕えていた。
「ツクヨミ。おまえを許さんぞ。絶対に! 許さない! うおおおおおおー!」
月の女王のかぐや姫の銀色の輝きが気合と共に増していく。少し黒交じりした銀色だった。
「かぐや姫の体を借りて暴れるな。おまえをもう一度眠りにつかせてやろう。」
夜の月の支配者ツクヨミは、かぐや姫と別の者と会話していた。
「くらえ! シャドー・ムーン!」
夜の月の支配者ツクヨミは、かぐや姫を眠らせようとする。
「フッ。不意打ちは成功しても、一度見てしまった技など、私には効かぬ。」
「なに!?」
しかし、かぐや姫は平然としていた。
「そうであろう? 無と夜が戦っても決着が着くはずもない。ワッハッハー!」
高笑いするかぐや姫。
「ああー!?」
そこに少年がやってくる。
「ルナさん!? ヴィーナスさん!? マーキュリーさん!?」
そして、意識のないただ浮いているだけの惑星の騎士たちを見てしまう。
「邪魔が入ったようだな。私は失礼するよ。」
「待て! かぐや姫を返せ!」
「返してほしければ、来るがいい。ブラックホールの中へ。ワッハッハー!」
かぐや姫は異次元に吸い込まれて消えていく。
「クッ!?」
どうすることもできなかった。夜の月の支配者ツクヨミでも。
「ツクヨミさん! 黒うさぎから真相を聞きました!」
少年はかぐや姫に何が起こったのかを夜の月の精霊の黒うさぎから聞いたとツクヨミに告げる。
「そうか。君も知ってしまったんだね。かぐや姫の悲劇を。」
「はい。」
いったい彼女に何があったのだろうか。
「かぐや姫も一人の女性に違いなかった。月を治める重圧。普通の生活を暮らしてみたいという憧れ。月として地球を守る役目。全ての感情が彼女という人格を作っていた。」
月の女王は、平和を願う存在として生きて生きた。
かぐや姫の回想。
「ある日、争いをやめない地球人を見ていたかぐや姫は思ってしまった。自分の生活を捨ててまで、戦いを続ける地球人を守っても意味があるのだろうか?」
これは誰もが抱く疑問であった。
(分かります。あなたの気持ちが。あなたは間違っていない。)
その時、かぐや姫の一瞬の感情の隙を見逃さなかった者がいた。
「あなたは誰?」
自分の意見を受け入れ肯定してくれたので、かぐや姫は不気味な声に耳を傾けてしまった。
「私は・・・・・・無だ!」
「ギャアアアアアアー!!!!!!」
無は、かぐや姫の意識を一瞬で乗っ取った。
想終わる。
再び、月。
「私はかぐや姫を眠らせたのだが、無を追い出すことはできなかった。」
ツクヨミは、かぐや姫を、月を守っていた。
「いったい無って、何なんですか?」
「無は・・・・・・全ての悪意の集合体だ。」
つづく。




