金星の騎士ヴィーナス
「見えた! 金星だ!」
「ま、眩しい!?」
少年たちは、金色のピカピカの金星に着いた。
「宇宙の神秘だ! わ~い!」
少年は、純粋に宇宙が大好きで憧れていた。
「ようこそ! 金星へ!」
「うわあ!? タコも金色!?」
現れた金星のタコは金色をしていた。
「どうぞ。ヴィーナス様がお待ちです。」
「ヴィーナス?」
「金星の騎士であり、金星の守護者でもあるぴょん。」
金星はヴィーナスが統治していた。
ピクン!
月の騎士ルナの表情がこわばった。
月の城。
「よく来た! ナイト・オブ・シルバー! おまえたちは、2番だ! 私の金星が、1番よ! オッホッホー!」
金星の騎士ヴィーナスが出迎える。かなり傲慢なのか、自尊心が強い性格だった。
「誰が2番だ! 私が宇宙一の騎士だ! おまえなんか、私が倒してやる!」
月の騎士ルナもプライドが高かった。
「え? ええー!? いきなりケンカしなくても!?」
「大丈夫よ。二人が出会えば、いつものことよ。」
「そうそう。ケンカするほど仲がいいってね。」
「何を言っても止まらないぴょん。」
少年と月の騎士のアルテミスとセレーネー、月の精霊のうさぎは静観していた。
ビー! ビー! ビー!
「なんだ!?」
その時、金星に警報が鳴り響く。
「黒タコの襲来です!」
警報は、タコが攻めてきたことを教えるものだった。
「それは面白い! ルナ! どちらが一番か、タコを倒した数で決めようか?」
「いいだろう。このゲス女め!」
「何を!? ギギギギギッ!」
自分たちに八つ当たりが向かうことを、まだ宇宙タコたちは知らない。
宇宙空間。
「タコども! 金星など簡単に滅ぼしてやるぞ!」
「タコ!」
タコの騎士オクトパス率いる黒タコ100匹の大軍団で、本気で金星を占領にかかっている。
ドカドカドカー!
黒タコたちが次々に倒されていく。
「なんだ!? なんだ!? 金タコの襲撃か!?」
オクトパスには何が起こっているのか分からなかった。
再び、金星。
「すごい! 彗星みたいだ!?」
金星の騎士ヴィーナスと月の騎士ルナは剣で、端から侵略者の黒タコを次々と撃破していく。その姿は、まるで彗星の様だった。
「セレーネ―。あんたも戦ってきなよ?」
「無理。だって私は回復専門だもの。」
月の騎士のセレーネーとアルテミスは、金星でお茶していた。
「カッコイイな! いつか僕も流れ星になってみたいな!」
「ルナか、ヴィーナスに剣を教わったらどうだ? きっと教えてくれるぴょん。」
少年は、月の精霊のうさぴょんに背中を押してもらう。
再び、宇宙。
「遅かったな? 私は、1分くらいで殲滅したぞ。」
金星の騎士ヴィーナスは宇宙の黒タコの半分を倒した。
「私は59秒だ。おまえの方が遅い。」
月の騎士のルナも差がないレベルで黒タコの半分を全て倒していた。
「バカな!? タコ100匹を1分で倒し切ったというのか!? な、なんなんだ!? おまえたちは!?」
タコの騎士オクトパスは、金星の騎士ヴィーナスと月の騎士ルナの強さに戸惑うしかできなかった。
「こいつを倒した方の勝ちにしようか?」
「いいだろう。私もナンパは嫌いだ。」
新ルール。ボス、オクトパスを倒せ。
「くらえ! ナンバー1の金の一撃を! ヴィーナス・スラッシュー!」
「タコの分際で人型になってんじゃねえよ! ムーン・スラッシュー!」
金星の騎士ヴィーナスと月の騎士ルナの必殺技の攻撃。
「ギャア! 覚えてろよ!」
タコの騎士オクトパスは宇宙の彼方に吹き飛ばされた。
「私の勝ちだな。おまえは二番だ。」
「違う。月が一番。金は二番だ。」
「ギギギギギギー!」
金星の騎士ヴィーナスと月の騎士ルナが分かりあうことはなかった。
金星。
「ルナさん。僕に剣を教えて下さい。」
少年は月の騎士ルナに剣を教わろうとした。
「嫌だ。」
「ええー!? 教えてくれないんですか!?」
月の騎士ルナは、少年の願いを冷たく断った。
「剣は、人に教わるものじゃない。自分で振って覚えるんだ。」
月の騎士ルナは、最初から強かった訳ではない。修行を繰り返して、今の様に強くなったのだ。
「冷たい奴だな。剣ぐらい教えてやればいいのに。」
「うるさい。」
そこに金星の騎士ヴィーナスが現れる。
「私で良ければ、剣を教えてあげよう。」
「本当ですか? ありがとうございます!」
少年は金星の騎士ヴィーナスから剣技を教えてもらうことになった。
「あの、ヴィーナスさん。僕は地球人で、剣なんか扱ったことがないんです。」
「平和な星だったんだな。地球は・・・・・・。」
宇宙は、黒タコと金タコのタコ同士の戦いが繰り広げられていて、決して平穏ではなかった。
「分かった。初心者向け教室にしよう。まずは剣を構えて。」
「はい。」
少年は、純粋に金星の騎士ヴィーナスに剣を教えてもらえるのが嬉しかった。
ピキーン!
(なんだ!? この感じは!? この剣すら握ったない地球の若者から、プレッシャーを感じる!? まるで、太陽と月と星が混じったような気配を感じる!? なぜだ!?)
金星の騎士ヴィーナスは少年に違和感を覚えた。
「僕は弱い! だから僕も強くなって、悪いタコを倒すんだ! 大好きな宇宙を、僕が守るんだ!」
少年は、純粋に強くなりたいと剣を振る。
「そうだ。何も考えるな。まずは剣を数振る所から始めよう。」
「はい! えい! やあ! たあ!」
「いいぞ。おまえは必ず強くなる。がんばれよ。」
「ありがとうございます! だあ! どりゃあ!」
金星の騎士ヴィーナスは、少年に見込みがあると楽しんだ。
「必ずかぐや姫様取り戻すんだ! そのために僕も強くなるんだ! やあー!」
この時は、まだ誰も気づいていなかった。少年の剣の軌道が輝いていたことを。
惑星タコ。
「ワッハッハー! 無様だな。オクトパス。」
豪快にやられたタコの騎士オクトパスを出迎える、同じくタコの騎士のクラーケン。
「うるさい! まさか月の騎士と金星の騎士が同時に出て来るとは思わなっただけだ。」
「言い訳は結構。今度は俺の番だ。地球を守る月の騎士は必ず倒さなければいけない。地球の救援になんて向かわせるものか! 地球の同胞を助けるんだ!」
タコの騎士クラーケンは、タコ将軍のタコ・デビルの地球タコ救出作戦を成功させたかった。
「見ていろ。邪魔者は俺が消してやる。」
今度はタコの騎士クラーケンが、月の騎士たちの抹殺に出撃する。
(フッ。好き勝手言っていろ。俺でも勝てないんだ。おまえなんかが勝てるものか!)
負けず嫌いのタコの騎士オクトパス。
(・・・・・・だが、あれ程までに強い月の戦士たち!? いったいどうすれば勝てるというのだ!?)
戦って初めてわかる。タコと月の戦士のレベルの差。オクトパスは鳥肌ならぬタコ肌が立つぐらい実感した。
ピキーン!
(こうなったら、タコを強化するしかない! 今に見ていろよ! 忌々しい月の騎士どもよ! おまえたちを倒すのは、この俺だ!)
タコの騎士オクトパスは、宇宙タコを鍛えることを始めるのであった。
金星。
「悪いな。一緒についていってあげたいんだが、金星も人材不足でな。」
金星はヴィーナスが金だこたちをまとめているので、金星をあけることはできなかった。
「星の運営って、大変なんですね。」
「そうなんだ。私たちは元々はタコだからな。タコが人型に進化することは、稀でしかない。」
金星の騎士ヴィーナスや月の騎士たちも、元々は宇宙タコである。
「ということは、地球人である僕も、タコだったんですね!? タコが陸に上がり、人間の形に進化した。タコはご先祖様だ! 地球に帰ったら、タコに優しくします!」
自分のルーツを知り興奮する少年。
「それはそうと、次はどこへ向かうんだ?」
「水星に行こうと思う。」
かぐや姫を探して、月の騎士たちは水星を目指す。
「水星か・・・・・・水タコには気を付けるんだな。」
水星にもタコはいる。
「そんなことは言われなくても分かっている。帰りに金星に寄ってやる。覚悟しておけ。私が1番だ。」
「生きて帰ってきたら、相手をしてやろう。どちらが1番か決着をつけようではないか。」
「望むところだ。」
金星の騎士ヴィーナスと月の騎士ルナは、お互いの強さを認め合っていた。
「ありがとうございました。」
「気をつけてな。」
「あばよ。」
月の騎士たちは金星を去る。
宇宙空間。
「金星から水星までの距離は5000万キロメートルだ。地球から金星までよりも遠い。」
「分かってるって。タコが待ち伏せしているって言いたいんだろ? ルナは心配性だな。」
「うるさい。」
「もっと素直に優しく話せばいいのに。」
これが月の騎士三人の普段通りの会話だった。どこか距離があるのに、どこか距離が近かった。
「こ、今度こそ、僕も戦うんだ!? いつまでも守ってもらってばかりではいられない!? 僕だって、ヴィーナスさんに剣の修行をつけてもらったんだ!? タコの1匹くらい剣で倒して見せる!」
少年は気負っていた。慣れない宇宙空間。慣れない剣。慣れない戦いに。
ピキーン!
「キター! タコぴょん!」
月の精霊のうさぎがタコの気配を感知した。
「くるぞ!」
月の騎士たちは戦闘態勢に入る。
宇宙空間、タコ側。
「ワッハッハー! 月の騎士4人とうさぎ1匹。オクトパスは、こんな奴らに負けたのか? ワッハッハー!」
タコの騎士クラーケン率いるタコの軍団である。
「いけ! タコども! 一気にケリをつけるんだ!」
「タコタコ!」
宇宙の黒タコたちが月の騎士たちに突撃する。
「これで俺も将軍に昇格は確実だな! ワッハッハー!」
タコの騎士クラーケンは、この時、勝利を確信していた。
宇宙空間。月の騎士側。
「タコ!」
黒いタコたちが襲い掛かる。
「タコ串にしてやる! 必殺! ムーン・アロー!」
月の騎士アルテミスが月の矢を放つ。
「タコ!?」
銀の矢で3匹のタコが串刺しにされ倒される。
「私は、敵の指揮官を狙う。援護は頼んだぞ。」
「任せとけ! エッヘン!」
態度は悪いが月の騎士ルナは仲間を信じていた。月の騎士アルテミスと友情の絆で結ばれていた。
「出る!」
月の騎士ルナは銀色の軌道を描きながら突撃していく。
「よし! やるぞ! ムーン・アロー! 乱れうち! それそれ!」
月の騎士アルテミスは調子に乗って銀の矢を放ちまくる。
「やめろ!? 矢がルナに当たるだろうが!?」
「大丈夫だよ。ルナはもういない。ルナは誰よりも早いから。アハッ!」
月の騎士たちは互いの力量を把握しているので、矢を放ちまくっても大丈夫だという信頼があった。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・はあ・・・・・・。」
戦闘が始まり、緊張して動けない少年。
「タコタコ!」
無常にも黒タコが少年に襲い掛かる。
「うわああああー!?」
触手で殴れ吹き飛ばされる少年。
「これが戦い!? 痛い!? 負けたら・・・・・・本当に死んでしまうんだ!?」
敵の攻撃の痛みを改めて、殴られて実感する少年。
「・・・・・・やる。やってやる! 僕だって! うおおおおおおおおー!」
少年は怯える心を奮い立たせ、黒タコに斬りかかる。
「タコ!?」
少年の月の剣が三日月の様に黒タコを切り裂く。
「ギャアアアアアアー!」
タコは宇宙のチリになって倒された。
「や、やった!? 僕でも倒せたぞ! 僕なんかでも倒せたんだ! やった! うおおおおー!」
初めてタコを剣で倒した少年は大喜び。
「喜んでばかりいるな! 次のタコがやってくるぴょん!」
月の精霊のうさぎが少年の気を引き占める。
「よ~し! この調子で、僕がタコを倒すんだ! 宇宙の平和は僕が守るんだ!」
初めて剣でタコを倒して自信をつけて成長する少年。
「くらえ! タコ! 月の光! ムーン・ライト!」
「タコ!?」
少年は得意の月の光を放ち、銀色の光で黒タコを迎撃していく。
「いいぞ! おまえはやればできる子だと思っていたぞ! がんばれ! ゴウゴウぴょん!」
月の精霊のうさぎは、ただ応援しているだけだった。
宇宙、タコの騎士クラーケンとルナ。
「ワッハッハー! 月の騎士よ! ここがおまえの墓場だ! 死ね!」
タコの騎士クラーケンが月の騎士ルナに襲い掛かる。
「死ぬのは、おまえだ。 必殺! ムーン・スラッシュー!」
「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ!」
「忘れたな。」
タコの騎士クラーケンは、月の騎士ルナの一撃に敗れ去った。
「はい! みんな! ダメージは私が回復してあげるよ! ムーン・ヒーリング!」
「ありがとうございます! 傷が治りました! すごいですね!」
月の騎士セレーネーが仲間の傷を回復させていく。
「だいぶん宇宙空間にも慣れてきたぞ。剣でタコを倒すこともできたし、僕は少しずつだけど、経験を積んで確実に強くなっているんだ。」
少年は実戦を重ねるごとに、自分が強くなっていくことを感じることができた。
「もっともっと強くなって、僕が宇宙を平和にするんだ!」
少年の宇宙の旅はつづく。
つづく。




