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流星騎士  作者: 渋谷かな
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決着

「諦めるもんか!」


 圧倒的な宇宙魔王の宇宙猫のクロアナのブラックホールに、仲間の騎士たちが絶望して強いそうな時、少年が声をあげた。


「確かに、ブラックホールは強敵です! でも、僕たちがみんなで力を合わせれば、きっと何とかなりますよ!」


「昴・・・・・・。」


 少年の言葉には、仲間の諦めや絶望に染まった心を照らす、太陽の温かさ、月の優しさ、星の輝きがあった。


「そうだ! 昴の言う通りだ! 諦めなければ何とかなる!」


「今までだって、苦しい時は、もがき、抗い、逃げずに戦ってきたじゃないか!」


「そうだ! 宇宙の平和のために!」


「みんな! 心を一つにするぞ!」


「おお!」


 四人の月の騎士たちが、心を一つにして最大に月を輝かせ奇跡を起こそうとする。


「私も助成しよう。月よ! 目覚めよ!」 


 月の神としてツクヨミも月の騎士たちに力を与える。


ピカピカピカーン!


 月が史上最大の銀色の輝きを放つ。


「この輝きは!? スーパー・ムーン!?」 


 満月が地球に近づくことで、光の反射が強まり、銀色に溢れるような輝きを放つ。


「ば、バカなあ!? この私が!? 全宇宙の支配者が!? ギャアアアアアアー!」


 輝きを取り戻した月の光に、悪意の無の集合体である宇宙魔王の宇宙猫のクロアナは癒しの輝きに浄化されて消えていく。


「ニャア?」


 残ったのは、ただの宇宙猫だった。


「ニャア!? ギャアアアアアアー!」


 そして、自分の作り出したブラックホールに吸い込まれ、別次元に飛ばされていき、全てのブラックホールは消え去る。


「やった! クロアナを倒したぞ!」


「これで戦いが終わるんだね! うおおおおおおー!」


 戦いの終わりに大喜びする月の騎士のアルテミスとセレーネー。


「・・・・・・。」


 今までの激しい戦いとのギャップからか、あっさり終わって納得のいかない月の騎士のルナ。


「ありがとう。お月様。」


 少年は、力を貸してくれた月に素直に感謝した。


「月の神秘だぴょん。」


 そこに月の精霊の銀うさぎが現れる。


「うさぴょん!? 今まで、どこに!?」


「これでも太陽から急いでやってきたんだ! おまえたち騎士と一緒にするなぴょんん!」


「アッハハハハー!」


 月の精霊の銀うさぎの登場に、勝利した場が和む。


「ああ~、本当に戦いが終わったんだな。」


 騎士たちは、笑えることに、戦いの終わりを実感した。


「ツクヨミ様ぴょん!」


 物陰に隠れていたであろう、夜の月の精霊の黒うさぎが姿を現す。


「大丈夫だったかい? 黒うさぎ。」


「はい。大丈夫です。ツクヨミ様や月の騎士のおかげですぴょん。」


 黒うさぎは、ツクヨミや月の騎士を褒めたたえる。


「これからもツクヨミ様や月のために、お側でお仕えいたしますぴょん。」


 そして、今まで通り月の神ツクヨミに仕えようとしていた。


「ああ、これからも・・・・・・。」


「いけませんー!!!!!!」


 その時、女性の声が月全土に響き渡る。


「かぐや姫様!?」


 現れたのは、囚われて無漬けにされていた月の女王のかぐや姫であった。


「ご無事だったんですね?」


「みんなの頑張りで、私を毒していた無も消えたのです。」


 遂に月の女王が帰還した。


「でも、かぐや姫様。どうして黒うさぎを側に置くことがいけないのですか?」


「それは・・・・・・黒うさぎが、全ての出来事の黒幕だからです!」


 この物語のラスボスは、夜の月の精霊の黒うさぎだった。


「なんですと!?」


「な、な、なにを言っているのだ!? かぐや姫よ!?」


 かぐや姫の衝撃の告白に、月の騎士たちも、月の神のツクヨミも戸惑う。


「私が捕らえられたのは、黒うさぎが、ツクヨミに無を流し込んでいる所を見てしまったからです。」


 事件の真相。月の女王の誘拐事件は、かぐや姫が、宇宙最大の悪を目撃してしまったからであった。


「ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん。」


 不気味に笑い始める夜の月の精霊の黒うさぎ。


「その通り! 無を操っていたのは、この俺だぴょん!」


 月の精霊の黒うさぎは、全宇宙の悪意の無を操っていた張本人だった。


「どうして、こんなことをしたぴょん!?」


 月の精霊の銀うさぎが尋ねる。


「こんなこと? おまえなら、同じ月の月のうさぎなら、俺の気持ちを分かってくれると思ったけどなぴょん。」


「分かるかぴょん!」


 同じ月のうさぎだが、銀うさぎのうさぴょんと、黒うさぎとではアイデンティティーが違う。


「俺は、たかが、うさぎだ。月の神でもなければ、騎士でもない。ただただ、月で餅を搗くしかない、寂しい人生だぴょん。」


 黒うさぎも孤独を抱えていた。


「そんな時、俺に、無が語り掛けてきたぴょん。」


 悪意の集合体の無には人格があるようだ。



 黒うさぎの回想。


「はあ・・・・・・俺の人生は何も変わらない、つまらない人生だぴょん。」


 黒うさぎが、まだ普通の月のうさぎだった頃、自分の人生に呆れていた。


「俺にも、月の神とか、月の騎士みたいな力があれば、人生、一発逆転できるんだろうな~。」


 そして、強い力に憧れていた。


(・・・・・・うさぎ。)


 その時、黒うさぎの心の隙間に、何者かが語り掛けてくる。


(月のうさぎよ。)


「誰か、いるぴょん!?」


 周囲を見回しても誰もいない。


(私は、無だ。)


「無?」


(私が、おまえに力を与えてやろう。)


「力? どんな力を与えてくれるというぴょん?」


(おまえが望む力だ。月の神や、月の騎士すら、おまえの思うように操れる力を与えよう。)


 無は、黒うさぎに力を授けてくれるという。


「要らないぴょん。俺は、俺で、何も変わらないから、つまらないけど、何もない人生が平和だと思って、静かに生きるぴょん。」


 黒うさぎも、不満はあるが、自分の月のうさぎとしての役目、人生を過ごそうと決めていた。


(もう! 遅い! 私を呼び寄せた時点で、おまえは無になるのだー!!!!!!)


「ギャアアアアアアー!」


 望んでいなかった。しかし、無の圧倒的なエネルギーの前に、抵抗する暇もなく、無に取り憑つかれてしまった。


「嫌だね。こんな人生。俺は一旗あげるぴょん!」


 肌の色が銀色から黒に染まり、黒うさぎの誕生である。


 黒うさぎ、誕生! 回想終わる。



 再び、月。


「ムムムムムッ! と、それから俺は、寝ているツクヨミ様に無を注ぎ込み始めた。兄弟仲が良くなく、家族愛に飢えていて、孤立していた寂しそうな、ツクヨミ様の心を無で染めるのは簡単だったぴょん。」


 弱い心に近づく、悪意の黒うさぎの暗躍。



 回想。


「やめなさい! 何をしているのですか!?」


 運悪く、月の女王のかぐや姫に見つかってしまった。


「見~た~な~!」


 黒うさぎから、膨大なおどろおどろしい無が現れる。


「キャアアアアアアー!」


 無は、かぐや姫を食べてしまう。


「・・・・・・。」


 一瞬で、かぐや姫は、無に覆われて捕まってしまう。


「まったくバカな月の女王だぴょん。」


 黒うさぎは、計画は頓挫していないと思われた。


「ぴょんぴょん!」


 黒うさぎは、揚々と去っていく。


(・・・・・・何とかしなければ!? 無の暴走を止めなければ!?)


 かぐや姫は、薄れゆく意識で、宇宙好きの少年に託す。


(昴・・・・・・お願い、宇宙を救って・・・・・・。)


 確かに、かぐや姫は、第1話で、少年に呼び掛けている。


 月の願い、回想終わる。



 月。


「あの時の声は、かぐや姫様だったんですね!?」


 宇宙に少年を導いてくれたのは、月の女王のかぐや姫だった。


「こらー! 無! ウサギの体から出ていけぴょん!」


 月の精霊の銀うさぎが、無に言い放つ。


「こいつは、俺に魂を奪われた時点で死んでいる! このうさぎは、もう俺の体でしかないのだ! ワッハッハー!」


「なんて、酷いことを!?」


 残念ながら、黒うさぎは無の犠牲になった。


「正体もバレたし、もう隠れることもない。この世から悪意が消えることはない! 無限の悪意が俺に無限のエネルギーを与えてくれるのだ! 死ね! 俺は、神も騎士も超える力を手に入れたのだ! ダアアアアアー!」


 黒うさぎから、膨大な無が放たれる。


「ギャアアアアアアー!」


 月の神ツクヨミ、月の騎士たち、少年も、無の膨大な悪意のエネルギーを浴びせ続けられててしまい拘束されてしまう。


 ピキーン!


「んん!? ツクヨミ、かぐや姫、月の騎士が3人!? 確か、もう一人いたはず!?」


 捕まえている人数が足りないことに気づいた。


ガシッ!


「なっ!?」


「私、油断しないので。」


 月の騎士ルナが黒うさぎの背後に現れ、黒うさぎの頭をワンハンド・キャッチしている。


「バカな!? 勝利に浮かれて隙だらけだったはずだ!?」


「失礼な。私を、そこの、アン・ポン・タン、と同じにしないで貰えるかな?」


「グサッ!」 


 アン・ポン・タンは、月の騎士のアルテミス、セレーネー、少年のことである。


「酷い! それでも、友達か!?」


「かぐや姫様とツクヨミ様もいるんだぞ!?」


「・・・・・・。」


(私たちは、アン・ポン・タンだったんだわ・・・・・・。) 


 かぐや姫とツクヨミは、相当のショックを受ける。


「そうだ! 今度は、おまえの夢を叶えてやろう!」

 

「悪いが、私は、自分の夢は自分で叶える主義なんだ。」


 無の悪魔のささやきに、聴く耳を持たない、月の騎士のルナの騎士道。


「おまえの体を寄こせ! 無で呑み込んでやる!」


 黒うさぎが無を発動させて、月の騎士のルナを呑み込もうとする。


「ん!? 無が出ない!? なぜだ!?」


 しかし、黒うさぎは、無を出すことができなかった。


(今度、生まれ変わったら、私も自分の力で夢を叶えようと思います。)


 無の発動を止めたのは、黒うさぎになる前の、普通のうさぎの意思だった。


「これで終わりだ!」


 月の騎士ルナが、手から月の光を、黒うさぎに注入する。


「ギャア!? お、俺を倒しても、また次の無が現れるぞ!? ギャアアアアアアー!」


 黒うさぎが月の光に包まれて、遂に消滅していく。


「また、戦うさ。」


 これは月の騎士としてのルナの覚悟であった。


(ありがとう。)


 普通のうさぎの意思は成仏して、宇宙の輝きになっていく。


「こちらこそ。」


 戦いの余韻を感じながら一人呟く。


「今度こそ!? 今度こそ!? 本当に終わったんですね!?」


「はい。もう悪意は感じません。」


「やったー!!!!!!」


 月の騎士たち、少年は喜びを爆発させた。


「これからは私たちも仲良くやっていきましょう。」


「はい。平和のために。」 


 月の女王かぐや姫と月の神ツクヨミが、月を銀色に輝かせる。



 金星。


「ブラックホールが消えた。あいつらやったんだな。」


 金星の騎士ヴィーナスは、月の騎士たちの勝利を喜んだ。



 水星。


「おめでとう。月の騎士たち。」


 水星の騎士マーキュリーも、戦ってくれた月の騎士たちに感謝した。



 火星。


「今度、危機が起こったら、私が、宇宙を守ります!」


 火星の騎士マーズは、自分の活躍に納得がいかなかった。



 牡羊座。


「やりましたね。昴。」


 少年を信じていた、牡羊座の騎士アリエス。



 牡牛座。


「よくやった。さすが俺の弟子だ。」


 少年の活躍に、自画自賛の牡牛座の騎士タウラス。



 太陽。


「全てが終わったのですね。」


「zzz。」


 弟の荒神スサノオは、無を全て取り払われ、姉の太陽神アマテラスの膝枕で眠っていた。


「別に強いから、勝った訳ではない。悪意の集合体の無を滅ぼしたのは、温かく優しい心。」


 強いだけだは、ブラックホールに、無には勝てなかった。


「純粋に、みんなを守りたい。みんなと仲良くしたいという、昴の思いが、バラバラだった意思を一つにまとめ上げたのです。」


 みんな仲良くしたいという、子供の素直な心こそが、世の中を照らす太陽そのものだった。


「昴の優しさが、宇宙を一つにした奇跡。」


 昴が無邪気で心の温かい優しい少年で良かったと思う、太陽神アマテラス。


「やはり、昴は、太陽と月と星を宿し、宇宙を導く運命でしたね。」


 少年は、光で全てを照らす、宇宙の中心”になるための子であり、統治ではなく調和、 支配ではなく共存、 力ではなく光による結びつき。


「ああ~! なんて美しい光でしょう! 新しい世界の始まりです!」


 太陽系、さらには宇宙の秩序を取り戻したら、希望の光が輝きだし、新しい夜明けの幕開け、太陽・月・星の均衡が回復した。



 月。


「ルナ。」


「なんだ?」


「私たちのことを、アン・ポン・タンって言ったよね?」


 平和になったが、月の騎士のアルテミスは根に持っていた。


「言ってない。」


「いいや! 言った! 私たちをバカにしたでしょう!?」


「記憶にございません。」


 とぼける月の騎士ルナ。


「なんだと!? 言われた、こっちは覚えてるんだよ!? ウッキー!!!!!!」


「まあまあ、アルテミスも抑えて。」


「そうですよ。せっかく平和になったんですから、ケンカしないでくださいよ!」


 つまらないことでケンカできる環境が月に戻ってきたのである。

 

「普段通りだな。」


「そうだね。」


「平和が一番。」


「アハハハハッ!」


 苦しい戦いを共有した、月の騎士たちの仲間の友情の絆が深まった。


 つづく。

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