表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星騎士  作者: 渋谷かな
15/20

善意は悪意、悪意は善意

 地球。中国。


「ギャアアアアアアー!」


 宇宙からの無数の流れ星は、地球の悪意を直撃する。


「怪鳥が燃やされていくぞ!?」


 宇宙モンスターのジズも、神々しい光の熱い炎が燃やして上空から墜落させる。


「ギャアー!!!!!!」


 完全に悪意は消され、善意の光も消え去る。


「ああ!? ああ!? うおおおおおおー!!!!!!」


 絶望から解放された人々は発狂した。


「ありがとう。神様。」


 神に感謝する者。


「良かった! 良かった! 家族みんな生きてるぞ!」


「お父さん! お母さん!」


 人々が歓喜する空には、きれいな流れ星が輝いていた。



 ロシア。


「ギャアアアアアアー!」


 宇宙モンスターのベヒモスも、神々しい光の太陽の熱に包まれていた。


「おお!? 信じられない!? これで倒せるのか!? 救われるのか!?」


「神は人間を見捨てなかったんだ!」


 絶望に覆われていた人々は何が起こっているのか理解できず、半信半疑や神にすがるしかなかった。


「ギャアー!!!!!!」


 宇宙モンスターのベヒモスは燃え尽き、光も消え、後に残ったのは開拓された更地だった。


「ほ、星が降ってきた!?」


「いや!? これは太陽の欠片だ!?」


「神はいるのか!?」


 その様子を見ていた人々は、光の正体を考察した。


「生きているだけで幸せだ・・・・・・。」


 脅威が去っても、人々は疲れ切っていた。家もお金も残っていないのだから。


「ああ・・・・・・きれいな流れ星だ。」


 神の奇跡を見上げる人々。光が降り注ぐ空。家族の再会。助かった安堵と、何も残っていない絶望。それでも、生きている喜び。


「これから、どうやって生きていけばいいんだ?」


 善意の光は、人々の生活を完璧に救うわけではない。でも、生きる希望だけは確かに取り戻す。


「宇宙の神秘だ!」


 少年の起こした力が、宇宙騎士の戦闘力ではなく、世界そのものを救う現象として人々に強く印象づけられた。


「ありがとう! お星さま!」


 小さな子供は、純粋に空に感謝した。残ったのは、「誰が、なぜ、この光を送ったのか?」という謎だけだが残って、地球での戦いは終幕した。



 月。


「ギャアアアアアアー!」


 神々しい光に宇宙悪魔のアガレスが消滅して、光も消えていく。


「ヌッ!?」


 夜の月の支配者ツクヨミも注視して見守る。


「ツクヨミ様!? この光はぴょん!?」


 夜の月の精霊の黒うさぎも、見たことのない温かい優しさを放つ光が、無の集合体である宇宙悪魔を燃やし尽くす。


「・・・・・・。」


 何か出来事が起こったのに、まるで予想通りだと、涼しい顔をしている夜の月の支配者ツクヨミ。


「ワッハッハー!」


 そして、笑いだす。


「やはり、出てきたか。姉上。」


 長女、太陽神アマテラス。次男、夜の月の支配者ツクヨミ。おまけに、三男までいるらしい。


「ええー!? アマテラス様の光ぴょん!?」


 さすがの夜の月の精霊の黒うさぎも、太陽神の名前に驚く。

 

「まあ、いい。私は、私のやるべきことをしよう。」


 夜の支配者ツクヨミのやるべきこととは。



 太陽。


「うわあ~! きれいだ! なんて、きれいな流れ星だ! みんなの笑顔を守るための流星なんだ!」


 少年が太陽から見る輝く流星群は、一番きれいな温かく優しい希望の光だった。


「よくやってくれました。昴。」


 太陽神アマテラスも、昴に感謝していた。


「いえいえ!? 僕なんか何もしていませんよ!?」


 謙遜する少年。


「いいえ。あなたの温かく優しい心がなければ、星は悪意には命中しなかったでしょう。悪意に勝てるのは、善意だけなのですから。」


 太陽神アマテラスは、少年の活躍を認めていた。


「そんな。僕は、ただ宇宙が好きなだけの、どこにでもいる人間ですよ。」


「そんなことはありません。心をきれいに保ち続けることは、本当に難しいことなのですよ。」


 照れ笑いする少年の様な反応をする、純粋な人間は、今の時代では絶滅危惧種だった。


「そうだぞ。生きていれば、楽しいことばかりじゃない。どちらかというと、辛いことや、悲しいことの方が多い。自分は何もしていなくても、危ない奴は向こうからやってくるかるからな。」


 牡牛座の騎士タウラスも、今回の昴の活躍を称えた。


「師匠。」


「普通は、成功しなければ純粋な心は保てない。一度でも失敗や挫折すれば、心は黒く染まってしまう。人間は弱い生き物だからな。」


 少年は、純粋に宇宙が好きなだけ。他人と自分を比べて卑下することもない。他人を悪く言うこともない。


「そうですね。僕は頑張りました! 大好きな宇宙を守るために! みんなと仲良くしていくために!」


 少年の表情は満足感で満ちていた。


「あれれ? どうして僕の心は純粋なんだろう? う~ん。」


 本人は気づいていないが、宇宙が好きな少年は、宇宙が好きな自分のことが大好きである。だから、自分のことを嫌いにはなっていない。だから他人のことも悪く言わないから、きれいな心を保てているのである。


「ワッハッハー!」


「クスッ。」


 牡牛座の騎士タウラスと太陽神アマテラスは少年の挙動が面白かった。人間の少年には分からなくても、神や大人の騎士には、少年のことが理解できるのであった。


「ふあ~あ。」


 慣れないことをして疲れ切っている少年はあくびをする。


「疲れたのでしょう。太陽のベットで寝るといいでしょう。」


「いいんですか? ありがとうございます。」


 太陽神アマテラスは、少年を太陽に飛ばす。


「まったく面白いですね。昴は。」


「はい。宇宙の危機は去りました。これも昴とアマテラス様のおかげです。」


 太陽神アマテラスと牡牛座の騎士タウラスは少年のことを気にいっていた。


「あの者は、昴は、太陽と月と星を宿す者です。」


「なんと!?」


「きっと宇宙を導く者になるでしょう。」


 少年の宿命は、太陽と月と星のある宇宙を導く者になるという。


「昴は、大変な運命の元に生まれたのですね!?」


 さすがの牡牛座の騎士タウラスも弟子の運命を聞いて驚愕する。


「さあ、私たちも昴に負ける訳にはいきません。これからが本当の戦いですよ。」


「本当の戦い!?」


「そうです。タウラス、今すぐに星座騎士団と惑星騎士団を私の元へ集めなさい。」


 決して敵対している訳ではないが、ライバル関係の惑星と星の騎士を集めろという太陽神アマテラス。


「えっ!? 星座と惑星の騎士を全員ですか!?」


 さすがの太陽神アマテラスの命令に驚く。


「はい。これから戦うのは、悪意を操り、無を集合させて、手先を作り出した大物です。」


「ええー!? あの宇宙悪魔や宇宙モンスターたちは、誰かが作り出したものだというのですか!?」 


 ドンドン明かされていく真実は、牡牛座の騎士タウラスの想像を超えていた。


「あなた一人では太刀打ちできません。全員の力を合わせ助け合わなければ倒すことはできないでしょう。もしかしたら、それでも黒幕には勝てません。」


 太陽神アマテラスは、今回の大惨事を引き起こした真犯人を知っていた。



 地球の戦後。


「そっちを持ってくれ!」


 無が消えた後に残るのは 善意の連鎖。少年の流星は、ただ敵を倒すだけでなく、人々の心に希望を灯す。


「おお! 共にがんばろう!」


 互いに助け合い、支え合う姿。恐怖を乗り越えたことで、絆がより強くなる。


「何もないけど、何もない日常が幸せだったんだわ。」


 戦いの後に描かれる日常は、守るべきものを強く感じさせ、日常の尊さが同時に響く。


「死んだ人の分まで、しっかり生きなくっちゃ。」


 朝の光  長い闇が晴れ、太陽が昇る。人々は恐怖から解放され、温かい朝日を浴びながら「生きている」ことを実感する。


「お父さん! お母さん! 大好きだよ!」


「私たちも、大好きよ!」


「アハハハハッー!」


 日常の再生、市場に人が集まり、子どもたちが笑いながら遊ぶ。家族が食卓を囲み、普通の生活が戻ってくる。


「ピヨピヨ!」


「アホー! アホー! アホー! アホー!」


 象徴的な自然  焼け野原に草花が芽吹き、鳥が鳴き始める。自然の復活が人々の心を癒す。


「・・・・・・。」


 しかし、人々は笑顔を失くし、黙り込む。


「・・・・・・終わりだ。夢も希望も失くしてしまった。」


 戦いの後の荒れ地には絶望しかなかった。


「被災者なんか知るか! 捨て置け! 政府の復旧が最優先だ! 私がいてこそ、国があるのだ! 私の国だ! 私の生活を最優先で復興しろ!」


 権力者は自分のことを優先し、別に死んでも誰も気にしないような、弱者のことに興味はなかった。


「食料は!? 住む所は!? 家族を助けてくれ!? 政府は、偉い人たちは、一体何をしているんだ!?」


「ギャアアアアアアー! バタッ・・・・・・。」


 被災者は、時間の経過と共に、反乱を起こす力もなく、倒れていくしかなかった。


 その時だった。


 地球全土の全ての人に声が聞こえてくる。


「私は、月の神、ツクヨミです。」


 破壊された地球に月からメッセージが届く。


「この度、被災した地球に、月から食料や資材などを支援したいと思います。」


 人類初の月からの救済だった。


「月!?」


「月に神が住んでいたのか!?」


「もしかして。怪物を倒してくれたのもツクヨミ様なのか!?」


「ありがとう! 月よ!」


 人類は、月からの善意に感謝し、感動した。



 地球、月からの支援。


「うさぎさんだ!?」


 月からの支援物資を地球の被災地に届けてくれたのは、月の精霊のうさぎたちだった。


「たくさん支援物資を持ってきたぴょん!」


 月の光に導かれ、たくさんの支援物資が届く。


「どうぞ。搗きたてのお持ちだぴょん!」


「ほ、本当に!? 月でうさぎが持ちをついていたんだ!?」


 月名物のうさぎのお餅は、地球人に大ウケ。


「これはムーン・ハウスです。簡単にお家になるぴょん!」


「いいんですか!? いただいても!?」


「もちろん。これも月の神秘だぴょん!」


 更地には次々と革新的なデザインのムーン・ハウスが建設されていく。


「うわあ!? 手が動く!? 骨折が直ったぞ!?」


「月の光には、癒す効果があるんですよ。折れた骨をつなぐくらいは簡単ぴょん!」


「寝たきりのおばあちゃんも見てくれますか?」


「訪問診療もやるぴょん!」


 ムーン・ライト・ヒーリング。本来、月は、静寂や癒しを司る。


「困ったことは言ってください! 月のうさぎは何匹でもいますからぴょん!」


「あの・・・・・・ペットの犬が見つからないんですが、一緒に探してもらってもいいんでしょうか?」


「もちろん! お安い御用だぴょん!」


 うさぎたちは、労働力としても困っている人々の役に立つ。


「うさぎさん。カワイイ。お家で飼いたい。」


「てれるぴょん。」


 可愛い月のうさぎたちは、地球人に愛された。


「ああー! ありがとうございます! ツクヨミ様!」


「月だ! これからは月の時代だ!」


「月でも、これだけのことができるのに、政府は一体何をやっているんだ!?」


 助けられた人々は、必死に尽くしてくれる、カワイイうさぎに愛着を持ち月に感謝し、薄情な人間の権力者たちに憤慨した。


「あいつらは何なんだ!? ウサギを捕まえて、鍋に入れてしまえ!」


「無理です!? 今、国民は月の支援に感謝しているんですから!? 今、愛されているうさぎに手なんか出したら、クーデターが起こりますよ!?」


「ええーい!? 忌々しい月だ!」


 月の善意に、地球の権力者たちは、月との対決姿勢を見せるかに見えた。


「これを、どうぞぴょん。」


 夜の月の精霊の黒うさぎは、地球の権力者の元へ、手土産を持ってやってきた。


「これは何だ!?」


「月の石だぴょん。」


「石ころなんかいるかー! ふざけるな!」


 地球の権力者は、石を黒うさぎに投げつけるためにおおきく振りかぶった。


「月の石は、ムーン・ストーンといわれて、レアアースの代わりになり、莫大な富を生むぴょん。」


ピキーン!


「なに!? レアアースだと!?」


 地球の権力者は、月の石が資源だと知る。


「ツクヨミ様は、月の石を輸出しても良いと言っているぴょん。」


 夜の月の支配者ツクヨミに抜かりはなかった。


「ようこそ! 地球へ! 地球と月で平和条約を結びましょう! ツクヨミ様にお伝えください! うさぎ様!」


「分かったぴょん。」


 お金が儲かると聞くと手の平を返し、地球の権力者たちは、月を受け入れた。



 月。


「全て、私の言った通りだよ。私は何もしなくても、全てを手に入れられる。ワッハッハー!」


 夜の月の支配者ツクヨミは月で笑った。


「さすがです。ツクヨミ様ぴょん。」


 夜の月の精霊の黒うさぎは夜の月の支配者ツクヨミに忠誠を誓っている。


「あなた、本当に悪党ね。私よりも性格が悪いわ。困っている人を助けて、支配の種を巻くなんて。」


 その場に、宇宙悪魔や宇宙モンスターを操っていた、自称、宇宙魔王の宇宙猫のクロアナもいた。


「善意は悪意、悪意は善意だよ。」


 つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ