表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星騎士  作者: 渋谷かな
13/20

 宇宙、牡牛座近辺。


「やりましたよ! 師匠! 星を動かすことができましたよ!」


「うむ。よくやった。」


 これで少年も立派な星座騎士の仲間入りだ。


「これでルナさんたちを助けに行けます! では、師匠! 行ってきます!」


「待て待て!? 昴!?」


 しかし、引き留める牡牛座の騎士タウラス。


「なんですか!? 僕はみんなを助けに行かないといけないんです!」


「星を一つ動かせたぐらいではダメだ。二つ三つと星を動かせるようにならないと一人前の星座騎士とは言えないぞ。」


「そんな!? それじゃあ、いつまで経ってもルナさんたちを助けに行くことができないじゃないですか!?」


 仲間を助けに行きたい少年も、さすがに文句を言った。


・・・・・・ようへ・・・・・・。


「声? 同じ声だ?」


 まただ、少年の脳裏に謎の言葉が聞こえてくる。


・・・・・・太陽へ・・・・・・。


「・・・・・・。」


 少年の様子がおかしい。棒立ちになり意識を失っている。


「ど、どうした? 昴。」


 牡牛座の騎士タウラスが止めようと、少年の肩に手を振れようとした時だった。


ヂュオオオオオオー!


「なんだ!? この熱は!?」


 少年から熱い熱が醸し出され、牡牛座の騎士タウラスの手を妨げる。


「控えよ! タウラス!」


 少年の体から、威厳に満ちた声が聞こえてくる。


「か、体が動かない!? なんだ!? このプレッシャーは!?」


 星座騎士団の十二星座騎士の将軍である牡牛座の騎士タウラスが、少年の声だけに気圧された。


「はあっ!?」


 そして気が付けば、片膝を少年に対して無意識についていた。


「い、いつの間に!? 俺は膝を着いたのだ!?」


 動けない。少年の存在の威圧に、牡牛座の騎士タウラスが全く動けなかったのだ。


「よく聞け。タウラス。」


「はい。」


「今、宇宙は無に包まれようとしている。」


「なんですと!?」


 少年であり、少年ではない者が喋り始めた。


「無は、悪意の集合体。宇宙から何もなくなる前に無を倒さなくてはいけない。」


「無を倒すことができるのですか?」


「無を倒せるのは、善意だけ。温かく優しく純粋な心を持つ者だけだ。」


 ピキーン!


「まさか!? 昴!?」

 

 牡牛座の騎士タウラスは閃いた。


「その通りだ。この者は、私の依り代になれる。」


 謎の声の主は、温かく優しい純粋な心を持つ少年を欲していた。


「タウラスよ。この者を私の元に、必ず連れてこい。」


「はい。かしこまりました。で、どちらへ?」


 少年は、指を刺す。


「ま、まさか!?」


 少年が指を刺した方向にあったものは・・・・・・。


「太陽だ。」



 地球。国連本部。


「斬世界のみなさん! 史上初! 人類とタコの和平が合意に至りました!」


パシャパシャ!


 世界中の記者が、笑顔でタコの触手と握手する国連事務総長の写真を撮りまくる。


「眩しい!? 熱い!? 干上がってしまいますな!?」


「おお! なんとも上手な地球の言葉だ!」


「私は生まれも育ちも地球育ちなので。ワッハッハー!」

 

 談笑しあう国連事務総長とタコ長老。


「もう、これで思い残すこともない。」


 タコ長老は、満足そうな表情だった。


「・・・・・・。」


(なぜ? あれだけ危害を加えた我々を、人間は許すことができるのだ?)


 宇宙タコのタコ・デビルには、謎であった。



 人間との和平の主な内容。


・人類とタコが仲良く暮らす。


・タコの乱獲をしない。


・故郷を失って移住してくる、宇宙タコの地球の海への移住の了承。


・世界で暴れている巨大なモンスターと戦うための、人類とタコとの共闘。



 国連を去り、モーリタニアに戻ってきたタコ長老。


「それでは、長老。私は宇宙タコたちを率いて、巨大モンスターの討伐に出陣します。」


 司令官は解任されたが、責任感の強いタコ・デビル。


「ならん!」


 しかし、タコ長老は、タコ・デビルを止める。


「なぜですか!? 私には戦地にも行くなと、戦士として戦場で死ぬことも許されないというのですか!?」


「その通りだ。なぜなら・・・・・・戦場に行くのは、私だ。」


 なんと、戦場には自分が行くと言い出したタコ長老。


「なっ!?」


 予想外のタコ長老の言葉に驚くタコ・デビル。


「死ぬのは、老人の役目だ。未来を作るのは、これからのタコを統率するのは、君だ。タコ・デビル。」


「ちょ、長老!?」


「見ていれば分かる。君に、これからのタコを託したい。」


 タコ長老は。タコ・デビルに期待していた。他の宇宙タコから信頼されていて、他タコの意見にも耳を傾け、決して横暴ではなかった。


「それに、おまえさんがいなければ、宇宙から来るタコたちも地球で暮らしていけるか不安だろう。中には、強いからと悪さを行う悪いタコもいるだろう。おまえさんが睨みを利かせていれば、いざこざも抑えることができるだろう。ワッハッハー!」


「そ、そこまで、お考えだったとは!? 私が浅はかでした・・・・・・。」 


 自分の自分勝手な考えを悔いるタコ・デビル。


「それは仕方がない。宇宙で育ってきた君は、戦って、強くなければ生きていけなかったのだから。」


 タコ長老は、タコ・デビルの人生を考えて理解した。


「これからは、その強さを平和のために、タコの平穏な生活のために使ってくれ。そうすれば、私は喜んで死にに行ける。ワッハッハー!」


 タコ長老は、巨大なモンスターとの戦いで、自分は死ぬと知っていた。


「私は主君を間違えていたようです。もっと早くに、あなたのような明主に出会いたかった。」


「後は頼んだぞ。」


 これがタコ長老とタコ・デビルが交わした最後の言葉であった。



 ブラックホール。


「アッハッハッハー!」


 自称、宇宙魔王の宇宙猫のクロアナの笑い声だけが響いている無の空間。


「飽きた。」


 興醒めするクロアナは急に真顔になる。


「無に勝てる者などいないのだ。全ての世界から、全てが消えるのだ。残るのは、私、無だけだ。ワッハッハー!」


 宇宙も惑星も生きとし生ける者がいなくなった、無だけの世界。その世界は何も生み出さない。


(あなたの思い通りにはならない。)


 その時、声が聞こえた。女性の声だ。


「誰だ!? 姿を現せ!?」


 しかし、クロアナが周囲を見渡しても誰もいない。


ピキーン!


「まさか!?」


 クロアナは、後ろを振り向いた。


「宇宙魔王様!? いや!? カグヤか!?」


 宇宙魔王カグヤは寝ている。


(その通り。私は、カグヤです。)


「意思か!? 思念だけで喋っているというのか!?」


(はい。私は私のままです。)


「ええ~い!? まだ無に呑み込まれていないとは!? しぶとい!?」


 月の女王のかぐや姫は体は無に憑かれたが、意思はしっかりと守り抜いていた。


(クロアナ。あなたの思い通りにはなりません。)


「それはどうかな? 各惑星に宇宙悪魔、宇宙モンスターを送り込んだ。いつでも全てを無に還すことができるのだ。無に体を乗っ取られた、今のおまえでは、無を消したり、全てを救うことはできまい。アッハッハッハー!」


 宇宙猫のクロアナは勝利を確信していた。


(はい。私は何もしません。)


「なに?」


(私が何をしなくても、無は滅びるのです。)


「バカな!? ふざけたことを言うな! 現に、おまえは我が手中にある! 他の者に何ができるというのだ!」


 囚われているかぐや姫の方が冷静で落ち着いていて、優位であり感情がないはずの宇宙猫のクロアナの方が乱れている。


(あなたには聞こえないのですか?)


「何が!?」


(希望の足跡が。)


「希望だと!? もう全てが終わるというのに、どこに希望があるというのだ!?」


 宇宙猫のクロアナには、何も聞こえなかった。


(無が全てを奪おうとするほど、それに抗う希望も生まれるものなのです。)


「夢や希望など、無の前では意味はないのだ! 命や物、感情も、全て無に消え去るのだー!!!!!!」


(無が深ければ深いほど、無を照らす光が輝く。)


「黙れ!? 黙れ! 黙れー! 虫唾が走るわ!?」


 無なので夢や希望の言葉を聞くと宇宙猫のクロアナは機嫌が悪くなる。


「宇宙悪魔! 宇宙モンスターよ! もう遊びは終わりだ! 一気に世界を滅ぼしてしまえ!」


 宇宙猫のクロアナは、テレパシーで各地にいる宇宙悪魔や宇宙モンスターに指示を送る。


「悪いのは、おまえだ! おまえが私を刺激するから、全てが滅ぶのが早まったのだ! ワッハッハー!」


 錯乱し狂喜乱舞する宇宙猫のクロアナ。



 火星。


「うおおおおおおー!」


 急に宇宙悪魔のマルバスの無が深まった。


「なんだ!? パワーアップしているというのか!?」


「あいつは無だから、悪意が増えれば増えるほど強くなるんだわ!?」


 交戦中の月の騎士ルナと火星の騎士マーズは、改めて無の恐怖を思い知らされる。


「宇宙魔王様の命令だ。全てを無に還せと。火星にも消えてもらう。」


 宇宙悪魔のマルバスは、今まで以上に無のウイルスを散布する。


「タコ!? ギャアアアアアアー!」


 ウイルスに感染した火星の赤タコが無に還される。


「ルナ! 早く倒しなさい! 私はウイルスを燃やすだけで精一杯よ!」


 火星の騎士マーズは、必死に無ウイルスを燃やし続けている。


「安心しろ。火星も守ってやる。」


 月の騎士ルナは、火星の消滅をかけて宇宙悪魔のマルバスと戦いを始める。


「斬れないんならなら、これは、どうだ! ムーン・ライト!」


 無であり実体のない宇宙悪魔のマルバスは剣で斬ることはできないので、月の騎士ルナは月の光で攻撃した。


ニュンンン!


「ダメか!?」


 しかし、月の光は無に還された。


「俺は無。如何なる攻撃も無に還すことができるのだ。おまえに勝ち目はない。」


「チートかよ!?」


 本当は泣き言の一つでも言いたい現状であった。


「それでも、それでも何か方法はあるはずだ! でやあー!」


 ルナは月の剣で斬りかかる。


「いいのか? 俺に触れると無に還るぞ?」


「それはどうかな?」


 月の騎士ルナは月の剣で、宇宙悪魔のマルバスを斬った。


「これは!?」


 月の剣を銀色の光の輝きで何重にも加工し、宇宙悪魔のマルバスに触れても、月の剣が無に還らないように工夫した。


「どうだ? 無に還らなかったぞ。」


「だが、剣では俺は斬れないぞ! 無ウイルスを食らえ! プシュ―!」


 宇宙悪魔のマルバスの反撃を受けてしまう月の騎士ルナ。


「クソッ!? こいつを倒す方法はないのか!?」


 絶体絶命のルナ。



 地球。アメリカ東海岸。


「あ、あんなに大きいの!?」


 大西洋を泳いで、タコ長老たちがアメリカの東海岸にたどり着いた。


「ガオー!!!!!!」


 宇宙モンスター鯨のバハムートの大きさにビビっていた。


「長老!? あんな化け物とどう戦うんですか!? 逃げましょう!?」


「ダメじゃ!? 人間と和平の道を選んだのだ!? ここで逃げては、後で人間に何を言われるか分からない!? タコの未来のために、人間と共に戦わねば!?」


 タコ長老が自ら戦地に赴く映像は全世界に映像で流されている。


「がんばれ! タコさん!」


「ビームで倒しちゃえ!」


 正直、人類の化学兵器では、巨大な宇宙モンスターには、全く通用しなかったので、タコのビームしか希望はなかった。


「我が国で核を使うだと!? そんなことは許さないぞ!」


「じゃあ!? どうするんだ!? 地球が滅んだら責任を取ってくれるのか!?」


 人類滅亡の危機でも、人類は核爆弾を使うことをためらい、大国の威厳を保つために責任のなすりあいが行われ話合いは進まなかった。


「みんなの命を貰うぞ。」


「おお!」


 タコだけは、タコ長老の元に一つにまとまっていた。



 月。


「困りましたね。剣でも決着が着かない。無と夜ですからね。」


「さすがに神が相手では、どうしようもない。」


 善戦しているのは月で宇宙悪魔アガレスと戦っている、夜の月の支配者ツクヨミくらいであった。


「封印でもしてみますか?」


「無は封印できない。なぜなら無は、全ての悪意の集合体だから。」


「悪意の集合体?」


「人や物のような物質ではない。悪意は感情だ。生きているものは楽しいと思えば、悲しいとも思う。時には、嫉妬や憎しみの悪意の感情を抱く。だから無は消えることはない。」


 無という、絶対的で、何もない感情。


「知っていますよ。そろそろ決着をつけましょうか?」


 善戦しているのは夜の支配者のツクヨミだけだった。



 金星。


「こうなったら! 必殺! ヴィーナス・インパクト!」


 金星の騎士ヴィーナスは、必殺技の月の衝撃を宇宙悪魔ウァサゴに放つ。


「無駄無駄。無には実態がないから、おまえの技は効かないよ。」


 しかし、宇宙悪魔ウァサゴは体を無にしてかわす。


「当たらなければ、攻撃にならない!?」


 追いこまれていく金星の騎士ヴィーナス。



 水星。


「ギャア! 苦しい!?」


 水星の騎士マーキュリーは、宇宙悪魔ガミジンの操る、宇宙の支配者を目指すタコ・キングのゾンビに触手で首を絞められる。


「喜べ。他の惑星にも宇宙悪魔は行っている。みんな仲良く無に還るのだ。」


 宇宙悪魔のガミジンは高みの見物。


「み・・・・・・みんな・・・・・・。」


 絶体絶命の水星の騎士マーキュリー。


 地球だけでなく、宇宙全域に無の恐怖が覆いつくそうとしていた。


 つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ