宇宙悪魔バエル
宇宙、牡牛座付近。
「タウラスさん! 僕に修行をつけてください!」
少年は強くなるために、牡牛座の騎士タウラスについてきた。
「まあまあ、そう急ぐな。まずは俺の強さを見せてやろう。」
そう言うと、牡牛座の騎士タウラスは精神を静かに集中させる。
ピカーン!
「アルデバラン!」
アルデバランは、牡牛座の目に位置する赤い一等星である。
「すごい!」
牡牛座の騎士タウラスが放った赤い光は、宇宙の彼方まで飛んでいく。
「どうだ? 俺が鍛えれば、これぐらいはできるようになるぞ?」
「はい! どこまでもついていきます! タウラス師匠!」
少年は、牡牛座の騎士タウラスの強さに憧れた。
「いいね~。その意気だ。おまえも星座騎士なのだから、星を自由に操れるようになるだろう。」
「ええー!? 僕なんかが星を操れるようになるんですか!?」
「そうだ。星を操り、星になるのが、星座騎士だ。」
「すごい! 僕も星になれるようにがんばります! 僕は流れ星になります!」
少年の修行が始まる。
地球。モーリタニアのタコ解放戦線の本拠地。
「報告です! イギリス! オーストラリア! 降伏しました!」
タコ解放戦線の司令官タコ・デビルが引きいる宇宙タコ軍団の猛攻が世界を席巻していた。
「よし! これで地球の半分は制圧したな。引き続き手を緩めるな! 我々を苦しめてきた人間を許すな!」
タコ・レーダーで世界各地の戦いの戦況が一目でわかる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。タコ・デビル。」
その時、地球タコの代表のタコ長老が声をかける。
「なんですか?」
「もうやめてくれ。」
「はい? 何を言っているんですか? 人間は我々、タコを虐待してきたの敵ですよ。」
タコ解放戦線の司令官タコ・デビルは、人間を悪だと思っている。
「確かに人間は、タコを乱獲してきた。我々をぶつ切りにして、鉄板で焼いてタコ焼きにして食べたかもしれない。」
なんと残酷な人間の行い。
「だが、人間は取り過ぎると漁獲量を調整して、我々、タコが絶滅しないように調整してくれた。人類皆殺しにしないといけないほど、人間は悪ではない。」
地球タコのタコ長老は、年の功もあり長い年月、人間の行いを見てきた。
「しかし、ここで人間を根絶しなければ、今回の攻撃で恨みを抱いた人間は、必ず復讐してくるでしょう。」
人間とタコの憎しみの連鎖である。
「だから、相手を全て滅ぼさなければ、戦いは終わらない。これも全て、我々、タコのためです。」
なぜ戦う? 復讐? 自己利益?
「いいや。もういいだろう。世界の半分も手に入れたのだ。きっと人間も話し合いに応じるだろう。」
タコ長老は、地球での生活に対して不満はなかった。
「タコ・デビル。おまえたちはやり過ぎだ。地球のタコたちは、ここまでの戦争を望んではあおらん。地球は美しい惑星なのだ。分かってくれ。」
宇宙から見る地球のタコは迫害を受けているように見えた。
「では、長老は、我々の思い過ごしだというのか!?」
しかし、それは宇宙タコたちの一方的な思い込みだったのかもしれない。
「そうだ。戦いは戦いしか生まない。もうやめるんだ。」
地球タコの代表のタコ長老の言葉は、宇宙タコのタコ・デビルに届くのか。
「残念です。長老。どうやら地球人は、我々との話し合いや和平など望んでいないようですな。」
「なっ!?」
タコ・レーダーには、地球軍の戦闘機がモリターニヤを攻めようと飛んでくるのが映し出される。
「これも、おまえたち宇宙タコが人間に危害を加えるからだぞ。先に仕掛けたのはタコ・デビル、おまえたちだ。」
「もう、それを言っても遅いでしょう。何もしなければ我々は滅びるだけ。対応しなければ滅びるだけです。」
タコ解放戦線の司令官タコ・デビルと地球タコの代表のタコ長老の思想と思想がぶつかり合う。
「どうしまうか? タコ・デビル様。」
「私が出る。地球人がタコを攻撃してこなくなるようにな。」
司令官のタコ・デビルが自ら出撃する。
「なんということだ!? もう引き返すことはできないのか!?」
人間とタコがたこ焼きパーティーをする日はやってくるのか。
地球。モリターニヤ上空。
「モリターニヤのタコの巣窟に攻撃をしか・・・・・・んん!?」
戦闘機のパイロットが何かを見つけた。
「どうした?」
無線は地球軍の本部とつながっている。
「た、タコが空に浮いている!?」
戦闘機のパイロットが見つけたのは、タコ・デビルだった。
「ふざけるな! 任務中だぞ!」
状況を理解していない無線相手。
「ほ、ほ、本当だ!? タコが!? うわああああー!」
タコ・デビルが放ったタコ拡散ビームが戦闘機に命中し爆破させる。
「何か勘違いしているな。地球人は。今からタコの進化を教えてやろう。二度とタコに歯向かわないようにな。」
そういうとタコ・デビルは拡散ビームを一点に集中し圧縮し始めた。
「くらえ! 地球人! 地球のタコは私が守ってみせる! オクトパス・波動砲! 人間よ! タコにひれ伏すがいい! だああああああー!」
モーリタニアのあるアフリカ大陸に強大なビームが放たれる。
ゴゴゴゴゴゴゴー!
サハラ砂漠に穴が開く。
ザバーン!
砂漠に湧き水なのか、海面よりも引くなったからか、水で満ちる。
「これでいい。タコが住みやすい環境になった。ワッハッハー!」
タコ解放戦線の司令官タコ・デビルの表情は満足に満ち溢れていた。
宇宙、惑星タコ。
「ワッハッハー! 圧倒的ではないか! 我がタコ軍団は!」
宇宙の支配を目指すタコ・キングは、地球でのタコ解放戦線の司令官タコ・デビルの活躍に大満足であった。
「それに引き換え、おまえたちは?」
タコ・キングは、眼下のタコの騎士オクトパスとクラーケンを冷ややかな目で見る。
「いつになったら、惑星騎士たちに勝つんだ! いつ月は我がものになるのだ! タコが月で餅つきを行うのはいつになるのだ!?」
タコ・キングは、不甲斐ないタコの騎士たちにお怒りだった。
「も、申し訳ありません。」
「俺も頑張っているんです! ですが、月の騎士たちが強すぎて・・・・・・。」
タコの騎士オクトパスとクラーケンは反省するしかなかった。
「言い訳は結構だ! 結果を出せ! 結果を! 参加することに意味はない!」
「ははあ!」
激怒するタコ・キングに震えるしかなかったタコの騎士たち。
(クソッ! 好き放題言いやがって! なら、おまえが相手してみろよ! 俺たちの苦労も知らないで! このパワハラ・タコ野郎!)
特に責任を取りたくないタコの騎士クラーケンは、心の中で反抗した。
ニュンンン!
その時、タコの騎士クラーケンの悪意に反応し次元を歪ませる。
「なんだ!?」
そして、ブラックホールの出入り口からから、一人の黒い騎士が現れる。鎧は宇宙空間柄であった。
「無礼だぞ! おまえは何者だ?」
タコ・キングは偉そうに尋ねた。
ビーン!
黒い騎士が無の光を放つ。
「ギャアアアアアアー!」
一瞬で宇宙の支配者を目指すタコ・キングの首が飛んだ。
「タコ・キング様ー!?」
「な、何なんだ!? おまえは!?」
動揺するタコの騎士オクトパスとクラーケン。
「私は、お前に呼ばれたものだ。」
「なっ? 俺が呼んだだと?」
「そうだ。私は、おまえの悪意により呼ばれて、ここに現れた。そして、おまえの悪意を実行した。」
無の騎士は、あくまでもタコの騎士クラーケンの悪意に呼び出されたという。
「いったい!? おまえは何者だ!?」
「私は、宇宙魔王様の配下、宇宙悪魔バエル。」
無の騎士の正体は、宇宙悪魔バエルだった。
「宇宙魔王!? 宇宙悪魔だと!?」
「そうだ。全てを無にする。」
惑星タコは、タコ・キングが亡くなり大混乱になる。
月。
「遂に動き出したか。」
夜の月の支配者ツクヨミは、無の気配を感じた。
「来ますね。ツクヨミ様ぴょん。」
「ああ、そうだね。」
拘束を解かれた夜の月の精霊の黒うさぎ。
「何が来るぴょん?」
ツクヨミに寝返った月の精霊の銀うさぎ。
ニュンンン!
時空が歪み、小さなブラックホールから悪魔騎士が現れる。
「ギャア!? こいつ一体ぴょん!?」
月の精霊の銀うさぎはホラーに恐怖する。
「私が現在の月の支配者のツクヨミです。あなたは?」
「私は宇宙魔王様の配下の宇宙悪魔のアガレス。」
礼儀正しく相手が名乗ったので、質問に答える宇宙悪魔のアガレス。
「月を無にして、宇宙魔王様に捧げる。スペース・シェイク。」
ゴゴゴゴゴゴゴー!
宇宙悪魔のアガレスは、無の力で地震を起こす。
「地震ぴょん!? 月に地震はないぴょん!?」
「月の神秘ぴょん!」
正確には、月震という地震があるらしい。
シーン。
一瞬で月の地震が止まった。
「やれやれ。困ったね。私の月で好き勝手出来ると思っているのかい?」
夜の月の支配者ツクヨミは、簡単に地震を止めてみせる。
「・・・・・・。」
宇宙悪魔のアガレスは、その事態に戸惑う。
「無と戦ったことがあるが、私も月の力を扱えるのでね。君の好きにはさせないよ。イクリプス。」
夜の月の支配者ツクヨミは、宇宙悪魔のアガレスの輝きを奪い取ろうとした。
「・・・・・・。」
しかし、輝きの無い宇宙悪魔のアガレスには効かなかった。
「だよね。無には光を奪う技は効かないんだよね。」
状況を理解した宇宙悪魔のアガレスは無の剣を抜く。
「なら剣で、おまえを倒す。」
「仕方がない。私も剣で相手をするとしよう。」
夜の月の支配者ツクヨミは、久しぶりに月の剣を抜く。
「いくぞ。」
宇宙悪魔のアガレスと夜の月の支配者ツクヨミの戦いが始まった。
金星。
「まだ現れていないと安心したが、ギリギリだったようだな。」
金星の騎士ヴィーナスが金星に帰還した。
「おまえを無にして、宇宙魔王様に捧げる。」
しかし、宇宙魔王かぐやの配下の宇宙悪魔ウァサゴが現れた。
「マーキュリーは遠いから間に合わないか。」
水星に戻った水星の騎士マーキュリーの心配をする。
「他人の心配をする前に自分の心配をしろ。無の光。」
宇宙悪魔ウァサゴが無の光で攻撃してくる。
「見える。見えるんだよね。私って、存在自体が輝いているので。」
金星の騎士ヴィーナスはキンピカに輝いていた。
「金星は私が守る! おまえなんかに好き勝手にはさせない! ヴィーナス・ライト!」
金星の騎士ヴィーナスは金色の光で攻撃する。
「フン。」
しかし、悪魔ウァサゴは無に姿を消してしまう。
「なに!? どこへ行った!?」
金星の騎士ヴィーナスが周囲をキョロキョロと見回しても、宇宙悪魔ウァサゴの姿はない。
「もらった!」
宇宙悪魔ウァサゴが金星の騎士ヴィーナスの背後から現れる。
「奇襲するなら、大声を出すな!」
完全に金星の騎士ヴィーナスの読み勝ちであった。
「なっ!?」
しかし、また悪魔ウァサゴは姿を無にして、金の剣の一撃をかわす。
「ケッケッケッ! おまえは絶対に私には勝てない。なぜなら、私は存在のない無なのだから!」
「クッ!? 実体のないものをどうやって倒せというのだ!?」
金星の騎士ヴィーナスは苦戦を強いられる。
水星。
「ギャアアアアアアー!」
既に水星では、宇宙悪魔ガミジンの猛攻が始まっていた。
「タコタコ!?」
水タコたちが、水を吐いて応戦するが、実体のない宇宙悪魔ガミジンには水は当たらない。
「遅かった!?」
そこに水星の騎士マーキュリーが帰還する。
「やめなさい!」
「タコタコ!」
水タコたちは、水星の騎士マーキュリーの帰還を喜ぶ。
「んん? やっと現れたか。水星の騎士。おまえを無にしてやる。」
「誰が無なんかに去れるものですか! 私が、あなたを倒して、水星を守ります!」
水星の騎士マーキュリーは水星の平和を背負っている。
「くらえ! マーキュリー・スラッシュ!」
水星の騎士マーキュリーが宇宙悪魔のガミジンに斬りかかる。
「えっ!?」
しかし、宇宙悪魔ガミジンは体を無にして斬られない。
「なんなの!? あなたの体は!?」
「私は無。無に姿はない。だから斬ることはできない。」
「物理攻撃は効かないということね!?」
冷静に相手を分析する水星の騎士マーキュリー。
「おまえに面白いものを見せてやる。ガミジン・リザレクション。」
宇宙悪魔ガミジンは何かをゾンビとして生き返らせた。
「タ・・・・・・タコ・・・・・・。」
「タコ・キング!?」
宇宙悪魔ガミジンが呼び出したのは、宇宙の支配者を目指していたタコ・キングであった。
「どうして!? タコ・キングが!?」
「こいつは死んだ。だから私が操ることができる。」
「タコ・キングが死んだですって!? そんなことは信じられないわ!?」
「でも真実。死んでいなければ、私は操ることはできない。」
「ほ、本当なの!?」
宇宙魔王の存在が、全宇宙で混沌を引き起こしていた。
つづく。




