8章
誤字脱字報告よろしくお願いします。
残存チーム、三。安全エリアは、廃ビル群の中央広場。遮蔽物は少ない。逃げ場はない。
「……露骨だな」
俺が呟くと、夏芽が乾いた笑みを浮かべる。
「最後は正面衝突、ってことだね」
RiotDogから奪ったポイント。混戦で奪った追加分。今、俺たちは暫定一位。つまり。全員の標的。銃声が鳴る。別チーム同士がぶつかる。
「待つ?」
「いや、削らせてから入る」
その時だった。空間に、強制通知。
《特別権限発動》
「……は?」
空が、歪む。広場中央に、光の柱。そこから現れたアバターは――
「冗談だろ」
純白のコート。黒い手袋。冷たい瞳。――月城彩葉。
『状況確認』
彼女の声は、直接脳内に響く。
『上位二チームの力量差が、想定以上』
他チームがざわつく。
「なんで会長が……!」
「プレイヤー参加なんて聞いてないぞ!」
彩葉は、淡々と続ける。
『よって、バランス調整を実施』
その瞬間。俺たちのHPバーが、半減した。
「っ……!」
夏芽が歯を食いしばる。
「ハンデ……!?」
『違うわ』
彩葉の視線が、こちらに向く。
『試練よ』
彼女のステータスが表示される。
《月城彩葉》
《特別介入権限:一時的ステータス上昇》
《撃破時、全ポイント総取り》
広場の空気が凍る。つまり。全員で彼女を倒せば逆転可能。だが。
(この人が、そんな甘い設計をするか?)
次の瞬間、彩葉が動いた。速い。銃声。一人、即脱落。動きに無駄がない。判断が冷酷。
「白斗!」
「わかってる!」
撃つ。
読まれる。
位置を変える。
さらに先を読まれる。
――強い。
これはテストじゃない。本気だ。
『どうしたの?』
彩葉の声。
『壊れないのではなかった?』
挑発。だがその奥に、確かにある。期待。
「夏芽、右から回れ」
「了解!」
俺は正面に出る。囮。弾丸が、肩を削る。HPが赤に近づく。それでも前へ。
「どうして、そこまで前に出るの?」
彩葉が、問いかける。
「決まってるだろ」
息を吐く。
「――勝つためだ」
次の瞬間。夏芽の弾が、彩葉のHPを初めて削る。ほんの僅か。だが。彩葉の目が、細められる。
『……いい連携』
彼女は一歩下がる。広場中央。全チームの視線が集まる。
『ならば、最終条件を追加する』
嫌な予感しかしない。
『神埼白斗』
名指し。
『あなた一人で、私を撃破しなさい』
空気が止まる。
「は……?」
『成功すれば、全負債免除』
『失敗すれば――あなたのみ即時退学』
夏芽が振り向く。
「ふざけないで!」
『これは提案ではない』
彩葉の声が、鋭くなる。
『選択よ』
盤は、完全に一対一へ。俺は、武器を握り直す。
(……本当に、やる気か)
月城彩葉は、微笑んでいる。
壊すか。飼うか。その天秤が、今ここにある。
俺は一歩、前に出た。
「いいだろ」
喉が、やけに静かだ。
「その条件、受ける」
夏芽が、何か言いかける。でも止めない。広場に、二人だけが残る。観測者と、試験体。いや。女王と、挑戦者。
会長さん乱入ですねハイ




