表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロストテイカー  作者: しータロ
第一章――失楽園

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/68

第36話 傾斜に楔を

 都市ロザリアの、主に中流階層が住まう場所で営業している武器屋ヘッケンカトラー。まだ朝早い時間ということもあって店内に客の姿は見えない。いるのはスキンヘッドと黒いサングラス、筋肉質で大柄な体格が特徴的なブロックと呼ばれているヘッケンカトラーの店主がカウンターの内側におり、カウンターの外側――ブロックの対面には長い赤髪と引き締まりながらも凹凸のあるスタイルをしたロベリアという175センチほどの身長の女性のみだった。

 二人は他愛ない会話を交わしながら、小気味よく進む朝の緩い時間を過ごす。このロザリアという都市はあまり発展しておらず大きな都市と比べると人は少なく、また治安もそこまで悪いというわけではないのでこの時間帯はいつも静かだった。

 ブロックはカウンター上に浮かび上がるホログラムに目をやりながら、コーヒーの入ったコップ片手に店内に置いてある銃器を見ているロベリアを一瞥する。

 何もない、ただただ淡々と流れていく静かな空間だった。互いに特に干渉することなく各々が好き好んでいる。

 しかし、こんな時間もいつかは終わる。

 そろそろ店に客がやってくる頃だと、ブロックは銃器の在庫に目を通し始め、ロベリアはコップの中身を飲み干した。

 だが、今日はいつもと少し違った。 

 少し違って、いつもよりも早く客が来た。常連というわけでもなく、二人が知っている人物というわけでも当然なかった。 

 それは、ボロボロ服を着て、痩せこけて、今にも死にそうな程に疲れ果てている少年だった。

 一体なんのことかと、泥棒かと、強盗かと二人が一瞬だけ身構える。しかし少年はそんなことを気にせずに自分の要求をぶつけた。


「なんでもする。だから代わりに水をくれ。あと出来れば食べ物も」


 それが、二人と少年――レイとの最初の出会いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ