第359話 東部へと
「ここか」
夕方ごろ。レイとハカマダの二人が東部と中部とを分ける峡谷に辿り着いた。目の前には数キロにも及ぶ峡谷が広がっている。見ただけではその深さをはかり知ることはできず常に峡谷内には突風が吹き荒れている。
しかし気にせず車両は峡谷の上を飛ぶ。速度をそのままに数キロにも及ぶ峡谷の上を駆け抜けた。
「東部についた後はどうするんだ」
「どうするも何も拠点に行くだけだ。その後すぐにエレネイアをぶっ叩く。それによ」
ハカマダが助手席に座るレイに峡谷のその先を見るように合図する。
すると見えたのは数体の飛行型モンスターだ。羽が生えているが少し歪だ。片方の翼だけが機械に置き換わっていたり、頭部が機械に置き換わっていたり、その形態は様々。長らく東部と中部との交友を挟んでいたのにはこれらのモンスターがいたからだ。
峡谷を住処とする飛行型モンスター。この障害が立ちふさがって来ることぐらい分かっていた。ただ、想定していたよりも多い。単なる偶然か、それとも必然か。クラウディアの拠点を襲撃したことぐらいもう本部に伝わっているだろう。だとしたら障害を用意しておくことぐらい予測できる。僅かにこの状況になったのには必然が多いのかもしれない。
しかしやることは変わらない。
「お出迎えだ。作戦通り進めるぞ」
「ああ」
車両の天井部分が開き、レイが乗り出す。そして飛んでくるモンスターたちに視線を合わせた。
峡谷の向こう側に辿り着くのはこのままの速度で行けば一分とかからない。
濃霧と突風と、その中でモンスターと戦う。面倒だがレイにとってみればそこまでの苦労でもない。
「東部到着まで残り42秒」
ハカマダからの言葉を聞くと、レイはQuantaを起動し、突撃銃を造形する。そして突撃銃の照準をモンスターに重ねた。一瞬の間すらも無くモンスターは撃ち落されていく。夥しい数のモンスターがいたが、全く意に介さず辺り一面のモンスターが駆逐される。
しかしモンスターはさらに奥から、あるいは下から、様々な場所から濃霧を突き破ってレイに接近する。正確な射撃、的確な判断。テイカーとして磨いたものが如実に表れていた。
何処から来ようが一つも危機に陥るようなミスはなく、気がつくと峡谷の先が見えていた。
そして峡谷の先をモンスター同士の体の隙間から見たレイは突撃銃の銃口を降ろした。
次の瞬間、目の前にいたモンスターが内部から黒い液体を噴出しながら爆発する。連続し、連鎖する。目の前を埋め尽くしたモンスターの大群は一瞬でいなくなり、変わりにレイはその死体の上を通り抜け、無事峡谷の向こう側へとたどり着いた。
峡谷の向こう側では死体が多く散乱しており、ひと悶着、一戦闘あったのが見て取れた。そして結果はレイ側の勝利だ。
「待ってた。今案内する」
敵を殲滅して待っていたのはイース・マーダだった。そしてレイとハカマダは軽くイースを会話をすると、亡霊とアールが待つ拠点へと向かった。




