間話3 ルイ視点 「あの子との再会」
入学式の翌日から、本格的な学校生活が始まった。1年A組の教室で、ルイはカリナの隣に座っている。
教室に入ってきた時、キオも同じクラスだとわかった。
「へぇー、新入生代表だった子と同じクラスなのね」とカリナが興味深そうにつぶやく。
「そうだね…でも、私たちとは違う世界の人だから、特に関わることもないよね」
ルイはあっけらかんと答えた。キオの方をちらりと見るが、気にしない気にしないと心の中で繰り返す。
担任のシュトゥルム先生の説明が続く。身分に関係なく平等に学べる環境、と言うけれど、現実はそう簡単じゃない。でも、それはそれで仕方ないよね。
自由時間になると、すぐに貴族の生徒たちがキオの周りに集まっていく。そして王族の象徴である金色の髪をした美しい少年と親しそうに話していた。
「すごいね。あの一帯だけ、華やか!って感じになっちゃった」
カリナの言葉に、ルイは頷いた。
「同じ貴族同士なんだもの、そうなるよね。私たちだって、自然とこうやって平民...一般人同士で話してるでしょ?それと同じことよ」
特に寂しいとか、そういうことはない。そういうものだから。
昼食時間も、キオは王族や貴族のグループと一緒だった。ルイたちは平民同士で食事をする。それが自然な形。
「でも、あの人って意外と普通っぽくない?」
カリナが小声で言う。
「入学式の挨拶も、堅苦しくなかったし」
「確かにね。でも醸し出すオーラとか、やっぱ違うなーって思うかな」
カリナの言葉にセドリックも頷きつつもやはり自分とは違う世界の存在なのだと否定した
ルイはチラリとと遠くのテーブルを見た。
遠くのテーブルではキオが王族や貴族たちと楽しそうに話している。あの人にはあの人の世界がある。私には私の世界がある。
午後の魔法実習で、ルイはカリナとペアになった。光の玉を作る基本的な魔法。
「うまくできないなあ」
カリナが困っていると、ルイは優しく教えた。
「こうやって、魔力をゆっくり込めるの」
「ルイって教えるの上手ね!」
褒められて嬉しくなる。魔力はないけど、工夫は得意だ。あるもので美味しいものをなんでも作ってしまう父に似たのかもしれない。
遠くではキオと王子様のペアが完璧な光の玉を作っている。
その光景に、思わずため息が出てしまったが
目の前の光の玉に夢中なカリナには気づかれることはなかった
時間が過ぎていき、ルイは徐々に学校生活に慣れてきた。キオとは廊下ですれ違うこともあるけれど、お互い会釈程度。そういうものだと今は思っている
「ルイ、あの時の話、もう少し詳しく聞かせてよ」
ある日の休み時間、カリナがそう言ってきた。
「あの時って?」
「ほら、シュバルツ一族の人と昔会ったことがあるって言ってたじゃない」
「あ...それは...」
ルイは少し困った。でも、隠すほどのことでもない。
「大したことじゃないよ。ただ、迷子の子を家まで送っただけだもん。たまたまその子がシュバルツ一族の方だった、それだけ」
「へえ、やっぱルイって優しいよね」
セドリックが感心したように言う。
「でも、それがシュバルツ一族の方だったなんて、すごい偶然だね」
「本当にそれだけのことなの。あの頃は子供だったから、身分なんて関係なかったけれど、今はもう違うでしょ?」
ルイはあっけらかんと答えた。あの時は本当に、小さくて可愛い子だと思っただけだった。でも、今はお互い成長して、それぞれの立場がある。
その夜、ルイは寮の部屋で今日のことを振り返った。
『今日も平穏な一日だった』
キオは確かに気さくで親しみやすそうな人だった。でも、やっぱり住む世界が違う。あの人にとって、私は大勢いる同級生の一人に過ぎない。私にとっても、あの人は遠い存在。
それでいい。カリナやセドリックという素敵な友達もできたし、平民として、自分らしく過ごせばいい。
そんな風に考えながら、ルイは眠りについた。
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