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間話2 ルイ視点「孤高の新入生」


ルイ視点

王立魔法学校の入学式。ルイ・リンネルは灰色の髪を丁寧にまとめながら、鏡の前で最後の身だしなみチェックをしていた。


『とうとうこの日が来た』


平民でありながら、王立魔法学校への入学を許可された。魔力はそれほど高くないが、勉強を真面目に頑張ってきたかいがあった。


「ルイ、準備はできた?」


隣のベットに腰掛けている同室になったカリナ・マージェンが声をかけてくる。キャラメル色の髪に緑色の瞳の少女で、褐色の肌をしている。異国の出身らしく明るくて人懐っこい性格で、昨夜はずっと故郷の話をしてくれた。


「うん、大丈夫。カリナは?」


「バッチリよ!楽しみね、新しい学校生活」


カリナの屈託のない笑顔に、ルイも少し緊張がほぐれた。


二人で女子寮を出て、大講堂へ向かう。途中でセドリック・モイヤーと合流した。彼は同じ町の出身で、幼馴染といえる間柄だった。


「おはよう、ルイ、カリナ」


「おはよう、セドリック」


三人で話しながら歩いていると、講堂前で人だかりができているのが見えた。


「何かあったのかな?」とカリナ。


「あ...多分、あの馬車の人たちじゃないかな」


セドリックが小声で答える。見ると、様々な豪華な馬車から降りてくる人たちがいた。金髪、黒髪、青髪...それぞれが貴族の特徴的な髪色を持っている。


「貴族って私たちとなんか違うのね」


カリナが興味深そうに見ている。


「そうだよね。私たちとは住む世界が違うっていうか」


ルイは笑って答える。身分の違いは現実だし、それを特別悲しいとも思わない。それぞれに自分の人生がある。




入学式を行う大講堂は圧倒的な豪華さだった。天井には三大竜の壮大な絵が描かれ、ステンドグラスから七色の光が差し込んでいる。


『すごい...』


自分の座る平民の席は後方だったが、それでも十分に感動的な光景だった。前方には貴族たちが座っており、その髪色も相まってとても美しかった。


「わあ、きれい」


カリナが素直に感動している。


「本当にすごいね」


セドリックも目を丸くしている。


式が始まり、校長の挨拶が続く。そして、新入生代表挨拶の時間になった。


「新入生代表、キオ・シュバルツ・ネビウス様」


その名前を聞いた瞬間、ルイの心臓が跳ね上がった。


『まさか...』


壇上に立った人物を見て、ルイは息を呑んだ。夜空のように深い黒髪、紫の瞳、上品で美しい容姿。


『もしかして、あの時の...』


七年前の記憶が蘇った。迷子になって泣いている小さな男の子。帰れないと泣いており、放っておけなくて自分の家へと連れて帰った。

両親も快く受け入れてくれて、一緒に食事をしたり料理をしたのを覚えている。



『信じられない』


まさかこの学園で再び会うことができるとは思っていたかった

でも、もう七年も前のこと。あの時は小さな子供だったけれど、今は立派な貴族の青年になっている。きっと、あの時のことももう覚えていないだろう。


「私の目標は楽しい学校生活を送ることです」


キオの言葉に、会場がざわめいた。格式張った挨拶ではなく、率直で親しみやすい内容だった。


「この学校で、たくさんの方々と出会い、たくさんのことを学び、皆様と一緒に成長していけたらと思っております。家柄に関係なく、一人の学生として、どうぞよろしくお願いいたします」


その言葉に、ルイは胸がキュンとした。家柄に関係なく...まるで、あの時の優しい子供のままのような気持ちが伝わってくる。


でも、現実は違う。今の私たちは、それぞれ違う世界にいる。


「素敵な挨拶だったわね」


カリナが感心している。


「確かに。あまり貴族っていう感じじゃなかったね」


セドリックも同意している。


「そう…だね」


キオが席に戻る途中、自分と目が合った気がした。でも、それは偶然だろう。たまたまこちらを向いただけ。


『気にしない、気にしない』


何が気にしないでいいのか自分でも分からなかったが

とりあえず心の中で自分に言い聞かせた。




式が終わって、生徒たちが講堂から出ていく。


「ルイ、さっきからちょっと元気ないけど、どうしたの?」


カリナが心配そうに聞いてくる。


「ううん、何でもない。ただ、圧倒されちゃっただけ」


「そうよね。本当にすごい学校だものね」


寮に戻りながら、明日からの学校生活について話し合った。


「同じクラスになれるといいわね」


「そうだね。貴族の人達とも一緒なのかな…」


「そうじゃない?確かクラス分けは貴族も平民も分け隔てなくするって校長先生話してたし」


カリナの言葉にルイはますます心が落ち着か


その夜、ルイは一人でベッドに横になりながら考えていた。


『まさか、あの子がシュバルツ一族だったなんて』


でも、もうそれは過去のこと。今は立場も環境も全く違う。あの時は小さな子供同士だったから、身分なんて関係なく接することができた。でも、今は無理だろう。


『それでいい。私には私の道がある』


料理人になって、家族の洋食店を継ぐという夢がある。魔法を活かした料理を学んで、いつか両親を喜ばせたい。


『頑張ろう』


そう決意して、ルイは眠りについた。明日から始まる新しい学校生活。きっと、素晴らしい四年間になるだろう。


でも、心の奥のどこかで、あの美しい黒髪の少年への記憶が、小さく温かく光っていた。それに気づかないように、意識的に心の扉を閉ざしながら...

最後までお読みいただきありがとうございます。

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