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偽物令嬢〜幸せを手にした元悪役令嬢は平和で平穏な愛しい日々を暮らしています〜  作者: あいみ
真の悪役令嬢はどちらか〜貴方は私の未来の旦那様♡〜
9/11

禁じられた森【カナイア】

 レイ様の意地悪!!


 すぐに追いかけてきてくれると信じていたのに。


 ううん。追いかけてこなければいけないのよ!


 だって私はヒロイン。レイ様を攻略出来る唯一無二の存在。

 その私を蔑ろにするなんてありえない!!


 いくら闇魔法で操られているとはいえ、キャラクター補正?がかかっていたら、多少の理性は残っているものでしょ。


 「お、お嬢様。あの……本当に入るんですか?」


 昨日、モブ達が話しているのを聞いた。


 一角の森と呼ばれる立入禁止禁止区域には魔物が住んでいる。

 洞窟にしか咲かない花を見に行ったとき、魔物に襲われたと懐かしそうに話していたけど、私は聞き逃さなかった。


 あの!!悪役令嬢も一緒にいたということを。


 なんて女なの!!魔法も使えないモブ平民の子供を殺そうとするなんて!!


 レイ様が助けに来てくれたらから良かったものの、一歩間違えれば……。


 そんな非道で最低な人間が、我が物顔でこの国を出歩いているのが我慢ならない。


 国民の意識を乗っ取って、自分の過ごしやすいように奴隷扱いしているんだわ!!


 悪役令嬢。必ず私が貴女を断罪してあげる!!


 「いいこと!!必ず!レイ様に助けに来るようにするのよ!ヒロインを助けるのは王子様の役目。義務なんだから!!」

 「しかし……」

 「私に逆らうの?」


 かざした手の平から雷を起こせば、侍女の顔は強ばる。

 その手で触れようとすれば大袈裟に一歩下がって逃げた。


 「無能なあんたでも、レイ様を呼ぶことは出来るわよね?」

 「は、はい!!」

 「ふふ。じゃあ早めにお願いね。私の美しい美貌に傷でもついたら大変だから」


 暗い森の中に足を踏み入れる。


 背筋がゾクリと凍り、不気味な雰囲気が漂う。


 木々が高く陽の光が差し込まないから、余計にそう感じてしまうのだ。

 前に進むことを躊躇ってしまうような、先の見えない暗さ。

 酸素が薄いのか呼吸が辛い。


 雨が降ったかのように地面はぬかるんでいる。


 方向感覚が狂ってしまいそうなほど、辺りは同じ樹しかない。


 先に進むにつれて指先が震え出す。


 本能が恐怖していた。森に住む魔物に。


 ──ふ、ふん!どうせ下級や中級でしょ!!


 雑魚魔物なんかに負けるほど私は弱くない。


 カナイアは公女として非常にレベルの高い教育を受けて、魔法の才能だってある。


 訓練と称して領地の魔物退治も経験していた。


 雑魚如きに遅れをとるはずがない。


 私は美しいだけでなく、強さも兼ね備えている。

 その私が魔物に恐怖?


 いいえ、そんなことないわ。魔物のほうが私に恐れをなして逃げるのよ。


 光魔法を持っていなくても、主人公(ヒロイン)は存在そのものがチート。


 本能で生きる知能の低い魔物は、私の強さを感じ取る。


 どんな魔物が現れたって、私の敵ではない。


 「早く来ないかな、レイ様。私の勇姿を目にしたらきっと、ドキドキして私のことばっかり考えるようになっちゃう」


 そんなことになったら大変じゃない。


 四六時中、私のことを想って、顔を会わせれば人目もはばからず愛を囁いたりするのね!


 嫉妬に狂った悪役令嬢は、私とレイ様の愛のパワーでやっつける。


 それこそが正しい世界の在り方。


 だって私はヒロインなんだもん。


 死ぬはずだった魂がゲームの世界に転生するなんて、物語の主人公にしかありえない奇跡。


 そう!私は今、奇跡の世界で生きているんだ。


 舞台となるリーネットには史上最悪の悪役令嬢もいる。


 キャストは勢揃い。ストーリーも出来上がっている。


 あとは私が悪役令嬢を討ち、レイ様とラブラブで幸せな未来を築くだけ。

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