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偽物令嬢〜幸せを手にした元悪役令嬢は平和で平穏な愛しい日々を暮らしています〜  作者: あいみ
真の悪役令嬢はどちらか〜貴方は私の未来の旦那様♡〜
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私だけの味方【カナイア】

 きゃーー!何この展開!!


 顔を叩かれて気分は最悪だったのに、駆け付けてくれたレイ様が悪役令嬢から私を守ってくれた。


 ふふ、見た?あの無様な顔。レイ様に拒絶されて、絶望したような。


 ──ざまぁみろ!!


 私のレイ様に馴れ馴れしくするからよ!!


 「痛みは引きましたか」


 回復魔道具を貸してくれたおかげで、傷はすっかり治った。


 侍女は傷が残らないことに安心する。


 「まだ痛むので、レイ様。さすってくれませんか?」

 「大丈夫そうで良かったです」


 伸ばした手は、不意に立ち上がったレイ様に触れることはなかった。


 魔道具を棚に戻し、少し距離を取って座る。


 「それで?何があったのですか?」

 「はい?」

 「シオンが理由ともなく人を叩くはずがありません」


 ここで何も知らないと嘘を突き通すと後々、バレたときが面倒かも。


 「実はぁ。あの店の人が私に無礼を働いたんですぅ」

 「具体的には?」

 「公女であるこの私に!平民のドレスがお似合いだなんて言うんですよ!?酷いと思いませんか!?」

 「本当に、平民が着る服だと、商会の人間が言ったんですか?」

 「んーー。言ったわけじゃないですけどぉ。見るからに地味でダサい水色のドレスを勧めてきたんですぅ」


 真剣な熱い眼差しで見つめられると、脳が溶けるよりも早くドキドキで心不全を起こしてしまいそう。


 胸の高鳴りが聞こえていたら恥ずかしいな。


 「ね?無礼でしょう?リーネットと特に親交のある我がスリパフェル国の公女に対して」

 「そう……言ったのですか?彼らに」

 「ええ!もちろん!!」

 「本当ですか?レディー?」


 私から後ろに視線が外れた。


 「え!えっと……は、はい」


 はぁ!?何なの、この侍女。


 レイ様に見つめられて頬を染めるなんて。


 「事情はわかりました」

 「レイ様?どちらに」

 「部屋に戻るだけですが」

 「ご一緒します!」

 「結構です。それよりもレディー。今日はもう、部屋から出ないで頂きたい」

 「なぜですか?」

 「長旅でお疲れでしょうから、今日はもう休んで欲しいだけです」

 「まぁ!レイ様のお心遣い、感謝致しますわ!!」


 こんなにも気にかけてくれるなんて。


 やっぱり恋愛ルートは解放されていたのね。


 大きく逞しい背中が、扉で隠れていく。


 あぁんもう、レイ様ったら。意地悪なんだから。


 今から休んで欲しいってことは、そういうことじゃない!きゃーー!!


 夜を私と過ごしたいなんて、遠回しすぎる言い方。


 私の部屋には邪魔な侍女がいるから、私がレイ様の部屋に出向かなくては。


 そのためにも部屋の場所を聞かないと。


 《シオン。話がしたい。どこにいる》


 慌てて追いかけると、まだ遠くには行っておらず、懐中時計に話しかけていた。


 《そうか。なら今すぐに、私の部屋に来い》


 ──な……何ですって!!!??


 私でさえ、部外者という理由から断られたのに、よりにもよってあの悪役令嬢が呼ばれるなんて。


 ありえない!!


 他人の思考を魔法で操るなんて!外道よ!悪魔よ!!


 闇に対抗出来るのは光だけ。


 私の雷魔法ではレイ様の目を覚まさせてあげられない。


 そうだわ!古来より魔女の呪いを解くのも、お姫様を眠りから起こすのも王子様のキス。

 逆も然り。


 つまり私のキスで、レイ様にかけられた洗脳は解ける。


 ──そうと決まればすぐに助けてあげないと!!


 後ろから抱きついて、振り向き様にキスをしたら、きっとレイ様は……。


 「え?え!?」


 レイ様が消えた。急に現れた女と一緒に。


 何が起きたのかわからず、レイ様がいないならこんな所にいる理由もなく部屋に戻る。


 「ちょっとあんた。よくも私のレイ様に色目を使ったわね!!」


 侍女の顔を引っぱたき、倒れた体を何度も蹴る。


 「お、おじょ、うさ……」

 「レイ様の恋人は私!妻になるのはこの私なのよ!!あんたみたいなドブスがレイ様と同じ空気を吸うことも腹立たしい!!」

 「わ、わた……そん、なこと……」

 「この売女!!身の程を弁えなさい!!あんたみたいな醜女!レイ様が相手にするわけないでしょう!!!!」

 「お、おじょ……」

 「違うと言うの?ふーん、そう。信じてあげるわ。その代わり、服を脱ぎなさい」


 慈悲深く優しい私は、この侍女の言葉を信じてあげる。


 よろよろと立ち上がった侍女は服を脱ぎ、下着姿となった。


 ──ふん、貧相な体。


 宙にかざした手から雷を発生させる。


 私の世界では、感電死で亡くなる人は少なくない。


 理屈はよくわからないけど、雷は人を痛めつけるのに最適ってことよね。


 魔力をそこそこに、死なない程度に下げてあげる私。なんて優しいのかしら!!


 侍女の顔が恐怖に歪む。


 顔や体に直接、押し当てると汚らしい悲鳴を上げながら、陸に上がった魚のように体をピクピクさせる。


 ──あはっ、面白い!!


 どんな反応をするのか楽しみで、下着越しではあるけど胸や下半身に当てた。


 かなり序盤で気を失っていたらしく無反応。


 涙や鼻水を垂らして汚らしい。


 「チッ。つまらない女」


 侍女の顔を蹴飛ばし放置。


 主の世話をせずに呑気に寝てるなんて、侍女失格。


 お父様に言いつけて、クビにしてやるんだから。


 公女であり、王族に嫁ぐことが決まっている私の侍女になりたい女は星の数ほどいる。


 そうねぇ。悪役令嬢をアゴでこき使うのは面白い。

 正ヒロインである私が、直々にざまぁしてあげたらレイ様は私に惚れ直してくれるはず。


 私はスカッとして気分がよくても、操られていたレイ様からしたら、悪魔のような女が近くにいるなんて耐えられないかも。


 相手のことを思いやれる私は聖女のような清い心の持ち主。


 慈悲を持ってして、性根の腐った悪女を侍女に召し上げてもいいけど、レイ様のことを考えたら処刑したほうがいい。


 うん!そうしよう!!


 正義の前に悪は必ず滅びなくてはいけない。

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